すしログ No. 196 寿しひでたか@札幌(北海道)

鮨好きの方からオススメがあり、札幌でお伺いしたかったお店の一つ。

親方は北海道が誇る「蝦夷前」の名店・すし善ご出身。

すし善は多くの職人さんを育てておられ、出身の職人さんは全国に散らばっているようです。

僕が伺った中では、富山県・魚津の大門さんが印象的でした。

また、すきやばし次郎出身とフィーチャーされがちな青空さんは、当初すし善で修行されていたそうです。

こちら、ひでたかさんは札幌でもかなりの人気を誇ると聞いていたので、訪問の1ヶ月ほど前に予約してお伺いしました。

お店はすすきのの中心街から少し外れた場所にあります。

お店に入るとすっきりした内装から実直な印象を受け、席と席の間隔にゆとりがあるところに好感を覚えます。

全体的な構成としては、酒肴数品が出た後に握りが9貫出てきました。

酒肴は東京の人間にとっては一見するとオーソドックスかもしれませんが、用いられている素材は北海道の一級品が多く、見た目以上に味わいは魅力的です。

酒肴で北海道を味わい、握りで江戸を感じさせると言うストーリーテリングは、北海道で鮨を頂く楽しみがあるように感じました。

シャリは赤酢2種類に米酢1種類をブレンドしており、温度、硬さ共に秀逸。

やや硬めに炊き上げ、かなり速い6手ほどで握り、米粒はパラっと弾け、一粒残る感じの理想的な具合です。

酢と塩の塩梅は穏やかに感じましたが、鮪との相性が良く、やや強めに利かせていると思いました。

シャリの美味しさで、親方の実力を体感し、人気の理由に納得した次第です。

唯一気になった点は、握りを数人分溜めてから提供される点。

一人で伺っていると特に、握りは個々に向き合って欲しいと感じます。

かなり気配りの良い方なので、何故だろう?と考えたところ、修行先も溜めておられた事を思い出しました。

この点については脱却された方がよろしいかと思いました。

尚、こちらは日本酒の品揃えも中々面白く、道外の自分としては心から楽しませて頂きました。

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道外にはほとんど流通しない二世古の特別純米(道産酒造好適米・彗星使用)で始めましたが、

フルーティな特別純米で、夏の日のスターターとしては良いお酒でした。

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そして、次は愛宕の松の彗星純米吟醸おりがらみ。

伯楽星でも有名な宮城の新沢醸造店の日本酒ですが、これは北海道限定。

名前が示す通り、前の二世古と同じ道産酒造好適米を使用し、ややクセのある味わいが魅力的。

苦味を伴い旨味に満ちたボディがしっかりとしつつ、ある種茸的な芳香を持つ。

三杯目は自身が好きな日高見・超辛口純米(弥助でない普通の)で〆ました。

頂いた酒肴は下記の通りです。

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マゾイ

標準和名キツネメバルで、旬が特定されていないミステリアスな魚。

しっかり目の昆布〆にしており、脱水と共にグルタミン酸も強く付加されている。

しかし、身の内から固有の旨味がグイグイと伸びてきて、モノの良さを体感。

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ツブ貝

大変大きなツブ貝。襟裳産。

酢橘をサラッと用い、爽やかな香りの後に特有の苦味としっかりした旨味が訪れる。

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釧路産。これはさっぱりな脂。

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エゾバフン海胆

大量に用いて混ぜご飯に!

時期的に嬉しい積丹産。

これは圧倒的に美味しい!

とにかく濃厚で、この時期に北海道を尋ねる喜びを与えてくれる。

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エゾアワビ

これも積丹産。蒸し加減が良く、旨味と香りを楽しませてくれる。

特に香りの残し方、立て方が魅力的。

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帆立の磯部焼き

これは鉄板の味わい。

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ちっぷといくらの西京漬け

おおお!ちっぷ!

標準和名ヒメマスで、道産の上物は大変美味しい。

これは支笏湖産で、湯に通した後に漬けにする仕事。

添えられた山わさび、いくらの西京漬けと共に頂くと一体感バッチリで、秀逸な酒肴。

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玉子

本来は最後に出すのだが、焼き上がったので…との事で焼き立てを頂いた。

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焼き立てなので香りが素晴らしく、表面と中心で異なる妙味がある。

香ばしさに加えて中心部のトロトロ感が魅力。

これは嬉しい。

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メヌケ

網走産。実に蠱惑的な表情。

4キロの釣りもの(凄い!)で、1週間半熟成掛けた後に焼き霜に。

食感はプリプリしており、行き過ぎない強い旨味が妙。

実にオリジナリティを感じさせる焼きものである。

なお、醤油は2種類以上ブレンドしており、片方は再仕込み醤油だと感じたので伺ってみたところ、正解だった。

広島の醤油に小豆島の再仕込みをブレンドしているそう。

調味料にも手を抜いていないのは、素晴らしい。

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蛸の柔らか煮

超トロトロ。

しかし、噛み締めるとぷるぷる感の後にサクッと切れて、蛸の食感も残している。

蛸の甘みと香りがに加えて、強めの甘みの煮ツメを合わす。

この後、握りに移行します。

f:id:edomae-sushi:20170630205128j:plainガリ

甘みが強めで、生姜の辛味も残しているガリ。

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マツカワ

初手から北海道を代表する高級魚の登場。

カボスを使用しているが、その酸味を甘みが超えてくる!

食感も抜群で、シャクッシャクッと気持ち良い。

同時に歯切れも良好。

2キロのものを二晩寝かせている。

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これもかなりしっかり目の昆布〆で、昆布のグルタミン酸が強く浸透。

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車海老

茹で上げだが、温度がやや低い。

これは前述の「溜め」による弊害もあろう。

ただ、甘みと香りともに良く、ベストであれば更に美味しかった筈。

他の酒肴や鮨種の温度帯が良かっただけに、少し残念であった。

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毛蟹

味噌も混ぜたもの。ストレートに美味い。

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出水(鹿児島)産。軽く〆ているようで、甘みが強く旨味を感じさせてくれるが、これにカボスは蛇足な印象。

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鮪赤身

那智勝浦産の197キロ。

濃い目の醤油でさっと漬けにして、ザルに上げた後、昆布の上に乗せる。

醤油の塩分で脱水し、鮪の甘みを引き出している漬け。

鮪のタイミングでお茶を差し替えられ、素晴らしい。

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鮪中トロ

タネの温度の合わせが良く、シャリとの相性もバッチリだった。

ひでたか小鰭

小鰭

赤酢で〆で1週間寝かせたもの。

甘みが印象深く、小鰭の香りが穏やかに漂う。

これは強い独自性を感じさせる仕事で、問答無用に美味しかった。

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穴子

肉厚でむっちりした穴子。

状態が良かったので産地を伺ったところ、なんと羽田沖。

北海道でこのクオリティの羽田産を頂けるとは、驚いた。

東京以外の人にとって、「羽田なんて、空港があるところの魚が美味しいの!?」と思われるかもしれないが、上物は瀬戸内産の穴子に匹敵する味わいがある。

残念な点は個体数が減っている点。

ちなみに、煮ツメは濃厚な味わいで江戸前の王道を行く美味しいもの。

以上、トータルで2.3万円弱(日本酒3合)。

高級な価格帯ですが、頂いた後の満足感は大きいです。

道内、道外の方問わず楽しめるお店でしょう。

店名:寿し ひでたか

シャリの特徴:赤酢2種に米酢をまろやかにブレンド。温度、硬さ、ほどけ加減も秀逸。

予算の目安:20,000円~25,000円

最寄駅:すすきの駅から450m

TEL:011-200-0677

住所:北海道札幌市中央区南7条西4-1-2 延寿ビル1F

営業時間:18:00~23:00

定休日:日曜

ご参考になりましたら幸いです!

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