すしログ日本料理編 No. 109 縄屋@京丹後(京都府)

前回の2016年10月以来、1年ぶりの訪問となりました。

こちらは訪問する度に好きになるので、毎回記事を書いてしまいます(笑)

近場にあれば、もっと訪問したいお店…

今や東京の日本料理店の多くは価格が高騰し、高級食材、果てはキャヴィアやトリュフを用いるまでになっておりますが、こちらは日本料理の本質と日本料理のこれからの可能性を感じさせてくれます。

また、地方で日本料理を頂く喜び、即ち、土地の風土を愛で、新たな食材と出会う喜びがあります。

本質的には、僕は高級食材でなくても独自の目利きを用いて食材を仕入れ、「そこに行かねば頂けない料理」に仕上げる料理人が好きです。

「そこ」と言うのは必ずしも地方に限った話ではなく、首都圏であっても同様。

似通った食材でピンのもの(一級品)を貴ぶ食べ手も増えていますが、それは偏に大海に漂う泡沫に等しい行為だと思います。

流行り廃りに右往左往するのは食べ手も料理人も愚の骨頂。

東京の日本料理バブルについては、食べ手が冷静になる必要があると、敢えてキツく警鐘を鳴らしたいと考えます。

縄屋さんのコースの詳細

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この度頂いた料理たち。

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金目鯛

旨味が強く、たっぷりの胡麻の風味が盛り上げる。

金目鯛は塩で軽く〆ている模様。

金目鯛の下には錦糸瓜が敷かれており、赤酢を用いてサッパリと金目鯛を抑制する。

酢の香りも料理のアクセントとなっている。

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ウスバハギの肝、芥子酢味噌

カワハギとウマヅラハギは有名だが、ウスバハギは一番知名度が低いのでは??

体長1mほどにもなるそう。

頂いてみると、非常にクリーミーで濃厚な口当たり。

そして、酢味噌の合わせ方が抜群。

辛めの芥子が鼻に抜ける。

それでいて、カワハギ科特有の香りも楽しませてくれる。

旨味の余韻はありつつも、上品な食後感を与えるので、2品目であっても重くなる事は無い。

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甘海老の塩麹漬け、オクラ

甘海老は塩麹で旨味が凝縮されており、シンプルに旨い。

オクラの青く爽やかな香りが穏やかに寄り添う。

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キノコの茶碗蒸し

アミタケを使用。

頂いてみるとキノコの風味が活きており、実に旨い。

秋を感じさせる。

あしらいの栗の渋皮煮が、茶碗蒸しには意外な甘みでサプライズ。

どことなく粘りある食感は、キノコの粘性が活きてるのかな?

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鰤とこなれずし、水茄子

名物のこなれずし。更なる高みに!

こなれずしの酸味とコク、鰤の脂の甘み、醤油餡…その全てが調和し、料理としての一体感が素晴らしい。

こなれずしが鰤の力強い旨味と香りを包み込み渾然一体。

醤油餡は良い醤油を使用しているのが明白。

調味料の凄さを調理技術で活かしている。

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鰤の部位は腹と血合い寄りの数種類か?

脂が乗っている腹側は走りながらに悶絶級。

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白カジキの山椒焼き、天然舞茸

食欲をそそる香り!

そして、相変わらず素晴らしい火入れ!

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カジキの脂は活性化し、身はレアに…

それでいて中心まで火(熱)が通っており、歯切れが良い。

味付けも秀逸で、優しい甘み(味醂)のある醤油味。

脂の旨味を炭の香ばしさが加速させつつ、山椒がピリリと引き締める。

和食のステーキです、これは。

とても、炭火だけで構築したとは思えない、神業。

ボリュームも多く、大満足です(笑)

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イチジクの胡麻酢和え、

あしらいはザクロ。

濃密な胡麻に熟成期間の長い酢を調合しているのか?

イチジクの甘みを爽やかに感じさせるセンス溢れる口直し。

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ガザエビと人参の天麩羅

レアな火入れで、甘くぷりぷりに仕上げている。

人参は香り高く甘みあり、余韻に野趣。

とろみを付けたツユを少量振っている。

ツユはエビ出汁に軽く塩味を付けたものか?

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お食事:栗おこわ

うーん、香り良い!栗の甘みもたっぷり!

お米(餅米)の炊き加減もバッチリ。

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そして、香の物も留め椀も共に秀逸(本当に!)。

味噌は熟成されており味わい深く、椀種はもっちりした生麩。

ちょっとだけ菜っぱが入ってるところに心意気を感じさせる。

心意気と言うか、素朴な優しさと言うか。

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水菓子

こちらの水菓子での強めの抹茶使いが大好きです。

餡も美味しいし。

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自家製干しぶどう!

 

この度も更に好きになりました(笑)

縄屋のお店の情報と予約方法

予約についてはお電話のみです。

予約解禁日は訪問前月の1日です(5月に訪問する場合は4月1日に解禁)。

場所が遠隔地ではありますが、全国から食好きを引き寄せる名店で、席数も限られているので、余裕を持ってご連絡するのがベターです。

縄屋(食べログのリンク)

縄屋(ヒトサラのリンク)

 

店名:縄屋(なわや)

予算の目安:6,000円、12,000円のコースに税サ

TEL:0772-65-2127

最寄駅:車がベター(JR峰山駅から7.6km)

住所:京都府京丹後市弥栄町黒部2517

営業時間:お昼12:00一斉スタート、夜18:30一斉スタート

定休日:火曜、水曜、臨時休業有、年末年始は12/24~1/4迄休業、12/30、31はお節のみ

※完全予約制です

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