すしログ No. 21 すし処めくみ@野々市(石川県)

f:id:edomae-sushi:20150313174715j:plain

鮨好きのみならず鮨職人からも高く評価されており、金沢ではグルメな方が一、二に挙げるという鮨店です。

既に相当の人気を誇っており、訪問2ヶ月前の予約解禁日に押さえました。

 

お店は駅から離れた場所にあり、住宅街に突如として白壁の建物が現れます。

f:id:edomae-sushi:20150313174716j:plain

上品な外観と意外な立地は期待を高めてくれます。

木製の引き戸や表札も凛とした雰囲気を発しております。

店内の内装も実に上品、上質。

檜を贅沢に用いた内装は、空間自体が寡黙ながらに主張しており、自身の琴線に触れます。

箸も香りの良い利休箸。

全てが一体化しており、ご主人の美学を感じます。

 

翻って、鮨は極めて個性的。

圧倒的な人気を博しておりながら、かなりマニア向けのシャリです。

まず赤酢の香りが立ち、硬さは良好で口の中ではらりとほどける。

酸味は低く、甘みもほぼ無し。

塩の使い方も独特で、強くはありませんが、後をひく塩気です。

米の一粒一粒に塩が染み込んでいるイメージ。

ハッキリと個性を感じられるシャリです。 

ただ、温度と米の香りが極めてネック。

温度はかなり高く、タネの香りを阻害するほど米の香りが強い…

結果として、海胆、白子、岩牡蠣など、香りの強いタネに合わせ過ぎな印象を受けます。
(白子、岩牡蠣は白眉でした)

 

握りは精度が高く、特に左手の親指の使い方と、

整形時の右手の親指の運びが巧いように感じました・

また、捨てシャリをしないところも好印象です。

 

ガリもまた赤酢が強く、甘みは低く、ほのかに漂う。

細かく刻み、ガシュガシュとした食感が個性的です。

 

握りの前に炙ったボタン海老の尻尾と頭を頂き、11貫と玉子、椀を頂き、10,000円。

コスト的には満足度が高いお店ですが、シャリと仕事は模索の過程にあるのかなと感じました。

シャリの熱さと米の香りによって鮃の香りを感じにくい。

 

槍烏賊

斜めに細かく入れた包丁が独特の食感を生んでおります。

タネの握り方も個性的で、折り畳むよう。

甘みが強く美味ですが、米の香りがタネに勝ってしまう。

 

炙りボタン海老

火入れが非常に良く、シャクシャク、とろり。

熟成を掛けているのか深い甘みが滲みます。

 

海胆

はだて。軍艦ではなく握りで。

シャリとの一体感が非常に強く、ご主人の握りの技術を体感しました。

 

白子

大盛りの鱈の白子を軍艦で。

温度が素晴らしく、甘みを引き立てます。

 

大ぶりな切り付けで、背から二回隠し包丁を。

時期を考慮するとコクは強い。

 

小鰭

非常に細い切り付けで、皮目を残した浅い〆。

香りはあるが旨味は少ない。

しかし、江戸前へ掛ける情熱と言うか、気概を感じられ、嬉しい。

 

赤西貝

食感重視の石川名物の貝ですが、薄切りにして程よく食感を楽しませてくれます。

今まで頂いた中で一番の切り付け。

 

三枚付けと、珍しい。

蒸し加減が抜群で、柔らかく美味。

ただ、折角の鮑の香りを米の香りが邪魔してしまいます。

 

毛蟹のちらし寿司

毛蟹とシャリを混ぜたちらし寿司。

 

岩牡蠣

蛍火で二時間焼いたという牡蠣は極めて美味。

濃厚な煮ツメも輪郭を強調します。

 

玉子

車海老の香りをかなり前面に出し、ふんわりジューシィな仕上げ。

今回頂いた中で最も美味しかったです。

 

岩海苔を使用した、上品な出汁の吸い物。

 

ご主人は毎日片道100km離れた能登の漁港に行かれ、目に適った素材を仕入れておられるそう。

また、魚の知識も半端ない。

今回は正直なところ期待値を上回りませんでしたが、握りの技術はかなり高いので、将来さらなる進化を遂げられた際には再訪したいと思います。 

 

店名:すし処 めくみ

シャリの特長:赤酢の香りが立ち、硬さは良好。高い温度と強い米の香りが好みを分ける。

予算の目安:お昼10,000円、夜24,000円 →おまかせ40,425円~

最寄り駅: 額住宅前駅から1,547m。金沢駅からタクシーで片道約3,000円。

TEL:076-246-7781

住所: 石川県野々市市下林4-48

営業時間:平日18:00~21:00、日曜12:00~20:00 ※ランチは水曜日と日曜日のみ営業

定休日:月曜、火曜不定休

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA