すしログ No. 214 ほかけ@東銀座

こちらは戦前に三田で創業された老舗鮨店です。

初代が1937年(昭和12年)に創業し、銀座に移転したのは戦後の1948年(昭和23年)。

現在は三代目で御年81歳となる矢﨑桂親方が50年以上暖簾を守っておられます。

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前のお店は大変な風情があったそうですが、現在は2008年(平成20年)に移転した店舗。

ただ、現在の店舗でも、今のトレンドからすると十分に風情があります。

(カウンター始め内装の多くは旧店から移築されたとの事です)

昔はこれが当たり前だったのかもしれませんが、今や一周回って斬新な雰囲気。

本物の鮨好きならば感銘を覚える雰囲気である事は間違いありません。

 

また、早く伺えば良かった!と感じたのは、雰囲気のみならず味わいも然り。

特に青魚の〆の仕事は驚嘆に値し、小さな魚体の小鰭の旨味を引き出す技量には、若手の職人さんが束になっても敵いません。

やや失礼な表現ですが、これは紛れも無い事実であり、小鰭に悩む若手職人さんは、是非とも訪問されたら良いかと思います。

鮨は小鰭に止めを刺す、とは僕が好む鮨の金言ですが、矢﨑桂親方の小鰭は、サイズが小さくても美味しいし、追加で頼んでも味のブレが無い。

どんな小鰭を入れても美味しくしなければならないのが小鰭の仕事。

昨今は鮪を求めて訪問するお客が増えたように思いますが、タネ質が物を言う鮪よりも、小鰭こそが鮨の基本であり究極。

矢﨑桂親方の小鰭は、日本でも有数の味わいです。

 

この度は〆ものと煮もののみをお好みで頼むと言う、実に変態的な内容(笑)

しかし、下記のタネを選んで良かったと心から感じ、また頂きたくなるのは必至と痛感した次第です。

 

当世流の鮨店には無い魅力が詰まった名店。

今後が少し気になるとことですが、現在、息子さんの矢﨑哲也さん(美丈夫!)も付け場に立っておられ、暖簾を引き継がれるようなので心から安心です。

家族で継承されると言うのも、昔ながらの鮨店風で胸にジーンときます。

 

頂いた握りは下記の通りです。

…とその前に、こちらのシャリについて。

味付けは赤酢と塩に少量の砂糖と、正に昔ながら。

温度と硬さは老舗としては今でも通用する範疇にある。

米粒の表面は滑らかでなく少しザラつきがあるものの、頂いてみると直ぐにほどけ、米の甘みが広がります。

親方は捨てシャリをしつつ少ない手数でざっくばらんに握られる。

酢飯の形は少々不格好。

しかし、味わいは秀逸。

このギャップが凄い。

正に「燻し銀」。

当世流のように味を強くしたり、硬く炊かずとも美味いシャリ。

流麗な握りのフォームと類まれなる味わいに、「鮨職人」が到達する一つの境地を感じました。

あたかも合気道の達人・塩田剛三の技を見るかの如く。

 

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ガリ

かなりスッキリした酸味と辛味。

酸味は余韻としても持続する。

老舗だと甘みに負ける事が多いが、これはシャープで良い。

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春子

かなり肉厚!

しかし、食感はふんわり、しっとりしており、絶妙な〆加減。

皮目を強く塩で〆る事で実現している〆加減かと思われる。

(身よりも皮目の方の塩分濃度が高い事による推察)

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小鰭

圧巻の〆。

当初はしっかり〆かと思われたが、中から圧倒的な脂の旨味が弾ける!!

そして、小鰭の香りも嫌味無く楽しませてくれる。

サイズは小さいのに、恐ろしいまでの存在感。

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当世流の塩梅よりもしっかり目の〆加減。

身はみっちりしているが、脂がとろり。

独特の食感でこれまた美味。

 

これぞ煮ツメ!と言うべき濃厚な色合いの煮ツメ!

久々に頂く上、とろりと流れる様子を見て、思わず写真を撮らずに頂いていた(笑)

食べ終えた後も撮っていない事に気付かない程。

鮨店で割れを失ったのは久々だが、春子、小鰭、鯖の流れに興奮した為だろう(笑)

煮ツメは見た目通りの美味しく、濃厚な旨味でありながら後味がクドくない。

最近減った、硬派な煮ツメである。

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穴子

羽田産!それは聞かずとも頂けば風味で分かる。

煮加減はトロッとしており、甘みを感じさせつつ、奥から香りが勢い良く押し寄せ、最後は炙りの香りがまとめる。

ふわとろ系の仕事では素晴らしいバランス。

やはり、江戸前の(穴子の)仕事は江戸前の(東京湾産の)穴子が最適だと確信した。

脂が強い対馬産の穴子が主流だが、ふわとろ江戸前仕事に薄い煮ツメでは、穴子の野趣を十分に感じる事が出来ず、香りを活かす仕事ではなく脂を活かす仕事に陥りがちだ。

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小鰭

思わず追加!

二度頂いても感動する味わいであった。

脂の旨味と香りの立ち上がり方が素晴らしい。

シャリの酸味と一致して強く、強く印象に残る。

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干瓢巻き(半分をシェア)

食感はしっかり硬めで、甘みを利かせて醤油で御す。

これも伝統的な江戸前仕事。

山葵の香り、辛味と相性抜群。

干瓢の温度は低めだが、不思議と合っていた。

塩気も強めながらに不思議と。

 

以上、6貫に巻物半分で10,700円。

お値段としては、かなり高額な部類に入りますが、頂いて損はありません。

鮨を食べ歩いてから伺うと、感銘が大きいと思います。

 

店名:ほかけ

シャリの特徴:赤酢、塩、少量の砂糖。握りの技術で魅力を引き出す。

予算の目安:1貫あたり1,500円〜1,700円くらいが目安

最寄駅:東銀座駅から70m

TEL:03-6383-3300

住所:東京都中央区銀座4-10-6 銀料ビル1F

営業時間:11:30~14:00、16:30~21:00

定休日:日曜、祝日、第3土曜

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