すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ日本料理編 No. 14 SHOKUDO YArn(ショクドウヤーン)@小松(石川県)

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店名を聞いた人の大半が「不思議な響きだな」と思われるのではないでしょうか?

実は、お店の建物は小松市でかつて盛んだった撚糸(ねんし)工場をリノベーションされており、店名は「編み糸」を意味する英語「Yarn(ヤーン)」に由来するそうです。

「撚糸で細い糸を何本も撚って一本の糸を作るように、様々な料理の要素を組み合わせて、新たな料理を創造したい」というシェフの想いが込められているとの事です。 

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変わった店名を付けられるシェフの経歴も少々変わっており、スペインの伝説的な三ツ星料理店エル・ブジ(El Bulli)でモダンガストロノミーを体得され、日本帰国後は小松の「つづら」さんで日本料理、懐石料理の修業をされたそうです。

よって、料理の随所に和のテイストが散りばめられており、エル・ブジゆずりのガストロノミー=実験的料理の枠組みで、日本料理が次々と再構築されていきます。

 

こちらは、実験的な料理に加えて、金沢ではなく敢えて小松と言う場所を選ばれ、地元で考えると高額なコースのみの完全予約制を設定されておりますが、将来的に予約のハードルが高くなる事は必至なのではないかと感じました。

西洋料理のコンテクストだけでなく、日本料理の進化を体感出来る料理で、東京にあるモダンガストロノミーのお店とも互角以上だと確認しました。

オープンは2015年の8月ですが、更なる進化が楽しみなお店です。

 

僕が感じた料理の魅力を一言で述べると、モダンガストロノミーなのに「実験的である以上に実質的である」と言う点。

見た目上の新規性を志向するあまり、味覚上の個性を疎かにするモダンガストロノミーは本末転倒ですが、こちらのお店は全くもって実質的。

「面白さ」と「料理の美味しさ」を兼ね揃えております。

修行先のガストロノミーの解釈に成功していると感じました。

 

そして、そこに加賀、能登の郷土色が加わり、唯一無二の料理となっております。

なお、このように「面白さ」を持つ個性的な料理なので、当ブログでは訪問される際の興を削がぬよう、前半に文字で表現し、後半に写真を掲載します。

そして、文字部分も2つに分け、始めに【特に印象的だった料理】を挙げ、その後、【頂いた料理名のリスト】を記載した後、【他の料理】について言及したいと思います。

「サプライズがある料理」という性質を考慮して、段階的に読んで頂ければ幸いです。

お店の方も「友達に全ての写真を見せないでください(笑)」との事でしたので、文章を読んで訪問したくなった方は、絶対に写真を見ないようにしてください(笑)

最後の写真の前には【ネタバレ注意】勧告を書いておきます。

逆に、中々訪問出来ないな…という方もイメージが湧くよう、文章は出来るだけ精密に表現いたします。

 

【特に印象的だった料理】は下記の3つとなります。

 

【からすみだいこん】

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かなり細かく摺り下ろしたカラスミと大根の甘みが合致。

大根の下には天橋立産甘鯛を松笠造りで添えており、柔らかな火入れが甘鯛の上品な甘みを引き立てる。

前半に登場した料理だったが、使用されている魚の質と火入れで安心感を抱く。

トップにあしらわれた緑色の物体は、オリーブオイルキャビア。

エル・ブジのフェラン・アドリア氏が生みだしたカプセル化調理を嫌味無く使用している。

このセンスが、良かった。

 

【The Wan 2016 イタリアの香り】

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鮪の本枯節と羅臼産昆布の出汁を使いサイフォンで"追い鮪"出汁として抽出。

この実験的な汁物を魯山人と二代目・辻石斎(つじせきさい)が生みだした名椀・日月椀(じつげつわん)で供す。

椀の中には蒸し鮑と才巻海老、提供の直前にウンブレア産の冬トリュフを削る。

提供過程に絶大なインパクトを持つ椀だが、味も良い。

 

【おれが〆TANUKI】

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珍妙な料理名だと思っていたところ、オレガノを使用した〆のたぬきうどんだった。

オレガノはオリーブオイルで揚げた天かすに利かしており、それでいて出汁はアゴ(飛魚)と煮干し。

不思議な組み合わせだが、これがすこぶる相性良好。

味の接続としてトマトが使われているところがポイントで、香りを妨げず、酸味を巧く活用している。

余韻が心地良い。

即席スモークも奏功。

うどんは氷見うどんで、固茹で。

 

【頂いた料理名のリスト】

・献上加賀棒茶ブリュレ×ベジョータ44か月+ころ柿
・ODEN
・Schiacciatina all'Aonori
・からすみだいこん
・早春の能登に波の花
・AMAEBI Candy
・Takenoko 瓶テージ 2015
・Hotofu パフェ
・The Wan 2016 イタリアの香り
・Seven Spring Herbs
・たらレバ
・ヴァンテ産ピジョン+地物ぜんまい
・おれが〆TANUKI
・ぷりん
・Tirakasu
・プティフール
・グァテマラエスプレッソ

料理にはお店から8km離れた場所にある名水・遣水観音霊水を使用されているとの事。

 

【頂いたワイン】

ヴーヴレ・ブリュット、ラルジョル・ルージュ

 

【他の料理】については、下記の通りです。

 

【献上加賀棒茶ブリュレ×ベジョータ44か月+ころ柿】

ころ柿(能登の干し柿)、ハモンともにコクが強く、軽やかな苦みを持つ抹茶ベースの創作ドリンクとの相性が良い。

その創作ドリンクとは、抹茶に加賀棒茶、オレンジリキュールとお茶リキュールを合わせたドリンクで、配合のバランスが良い。

シンプルな一品目ながら、心を惹きつけた。

 

【ODEN】
米粉を使ったしっとりした食感の生地が牛すじを挟む。

柚子味噌を利かせた牛すじは、確かにおでん的…

すじ肉らしい風味が存在感を示し、生地のほのかな甘みと調和。

 

【Schiacciatina all'Aonori】

小麦の甘みと海苔の風味が後を引く。

イタリア産の強力粉とEXヴァージンオリーブオイルを使用しつつ、羅臼昆布と鰹節の出汁を使っているところが興味深い。

 

【早春の能登に波の花】

サクッと揚げた蕗の薹に、ナマコのワタをエスプーマで泡化したソース。

これもエル・ブジの調理法だが、料理に合致している。

ナマコのワタが嫌味なく香る。

 

【AMAEBI Candy】

キャンディコーティングした甘海老に抹茶塩。

これはいささか疑問が残る。

甘海老に砂糖を使用するという味覚上の好みはさておき、甘海老の温度がぬるい点が妙に間延びしたように感じられた。

 

【Takenoko 瓶テージ 2015】

オマージュたっぷりの容器に入って登場。

一年前にオイル漬けしたタケノコは酸味があり、オリーブオイルと山椒の香りがぴったり。

パンはモチモチ。

しかし、一年前って、オープン前やん!(笑)

 

【Hotofu パフェ】

ホットーフと読み、能登のにがりを使用した濃い豆腐のパフェ仕立て。

底にある醤油フレークは煎餅チックな香ばしさがあり、北海道産いくらとオリーブオイルを繋ぐ。

あしらわれた野菜はマイクロ春菊との事。

 

【Seven Spring Herbs】

1月上旬の訪問だったので、七草を使用したリゾット。

七草のソルベを溶かして頂くのが面白い。

ソルベの甘みと草の野趣が合わさり不思議な魅力。

 

【たらレバ】

真鱈と真鱈の肝を使用した魚料理。

肝は昆布で〆ている。

真鱈の香りと温度の低さが僅かに気になったが、料理の完成度としては中々。

【ヴァンテ産ピジョン+地物ぜんまい】

肉料理は、低温調理したビジョン(上に乗っているのはヒレ肉)。

フォアグラアイス添え。

10日間と言う熟成は塩梅が非常に良く、旨味が凝縮されており血の香りも爽やか。

勿論、臭みは無し。

火入れも非常に良く、レフェルヴェソンスの肉料理のよう。

満足度がとても高い。

付け合せの地物ぜんまいは非常にしっかりした食感で、鳩肉を引き立てている。

粉状のヘーゼルナッツをまぶして味の連結を図る。

 

【ぷりん】

アルミの弁当箱に入った玉子焼きを模したプリン。

素朴な味わいで、カラメルソースは濃厚。

 

【Tirakasu】

酒粕を結構強く利かせており、イチゴの酸味と相性良し。

 

【プティフール】【グァテマラエスプレッソ】

五郎島金時ペースト、鯛の即席落雁。

 

以上、非常に多様かつボリューミーなコースとグラスワインを2杯頂き、

お会計は17,820円。

勿論、決して安くはない価格ですが、価格の価値は十分にある満足度の高い内容でした。

東京であれば、もっと取られる事は間違いありません。

暫く後に進化を確認すべく再訪したいお店です。

ただ、唯一、ワインのオススメを聞いた際に当意即妙な返答が無かった点が残念。

トリッキーな立地だからこそ、マリアージュという演出も必要なのではないかと感じました。

全般的にサービスが良いのに、この点だけ残念です。

 

しかしながら、早くも再訪したいと思うお店でした。

 

【ネタバレ注意】

以下に写真を掲載します。閲覧は、本当に自己責任でお願いします(笑)

 

献上加賀棒茶ブリュレ×ベジョータ44か月+ころ柿

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ODEN

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Schiacciatina all'Aonori

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からすみだいこん

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早春の能登に波の花

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AMAEBI Candy

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Takenoko 瓶テージ 2015

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Hotofu パフェ

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The Wan 2016 イタリアの香り

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Seven Spring Herbs

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たらレバ

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ヴァンテ産ピジョン+地物ぜんまい

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おれが〆TANUKI

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ぷりん

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Tirakasu

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プティフール

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店名:SHOKUDO YArn(ショクドウヤーン)

食べるべき逸品:石川の食材をモダンガストロノミー的に解釈した創作料理。

予算の目安:5,000円~20,000円 ※昼5,000円、夜8,000円 or 13,000円(税サ別)

最寄駅:小松駅から2,600m、車がベター

TEL:0761-58-1058

住所:石川県小松市吉竹町1-37-1

営業時間:12:00〜15:00、18:00〜

定休日:日曜、月曜の昼

※前日までの予約による、完全予約制となります