すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしコラム No. 10 飯尾醸造「富士酢プレミアム」「赤酢プレミアム」を飲み比べしてみました

以前、個人ブロガーとしては前代未聞の「赤酢の飲み比べ」企画を実施しました。

すしコラム No. 9 鮨ブロガーが鮨向けの赤酢を飲み比べしてみました

 

鮨の根幹は酢飯(シャリ)であり、酢飯の魂はお酢なので、鮨好きならば押さえておきたいと言う魂胆です。

そして、全ての鮨ファンのご参考になれば嬉しいなと。

今回は更に、鮨ファン待望の企画を実施する運びとなりました!

 

いきなりですが、皆様は飯尾醸造さんの【赤酢プレミアム】はご存知でしょうか? 

飯尾醸造の赤酢プレミアム

これはプロ(鮨職人)仕様のお酢で、一般入手が困難な代物となります。

…が、今回なんと【赤酢プレミアム】を拝受したので、「飯尾醸造さんのお酢の飲み比べ」が実現しました!

飯尾彰浩さん、ありがとうございます!

 

飯尾醸造さんのお酢を扱う鮨店は増えていますが、酢飯ではない液体の状態で頂いたり、他のお酢と飲み比べたりする経験は稀有。

きっとご参考になるかと思いますので、お楽しみください!

 

さて、企画に入る前に、飯尾醸造さんについて、ちょこっとご説明を記載致します。

富士酢を使った事がない方は、是非ともご参照ください。

なにせ市販品の【富士酢】は非常に美味しいお酢で、僕も10年以上常備していますので、心からオススメ致します。

 

目次

 

飯尾醸造とは?美味しい米酢「富士酢」とは?

飯尾醸造さんは京都府京丹後(宮津市)にあり、1893年(明治26年)に創業された老舗の醸造蔵です。

日本で農薬が広まり始めた昭和30年代から無農薬米を使用するお酢造りに取り組まれていて、時代を大きく先取りしています。

無農薬米を使用するお酢は今でも珍しいので。

一言で言うと、飯尾醸造さんは「全国でも意識の高いお酢メーカー」です。

個人的に、高いお酢=美味しいと思い込んでいた20代半ばの頃、飯尾醸造さんのお酢造りを知って衝撃を覚えたものです。

 

飯尾醸造さんは無農薬米の使用だけでなく、「醸造用アルコール」を添加していないところも特徴です。

お酢は日本酒と同じくお米が原料の発酵調味料ですが、大量生産品は原価を掛けずに生産量と生産速度を上げるため人工的なアルコールを添加して作ります。

要はお米をケチるために。

その上、「醸造用アルコール」は遺伝子組み換え作物が原料である事が一般的です。

それにも関わらず表示義務が無いので、消費者は分かりにくい点がネックです。

お酢は「身体に良い」イメージが強い調味料ですが、健康に気を遣うならば、原料も考慮した方がベターでしょう。

しかも、プラス数百円程度で、明らかに美味しい味になりますので!

 

そんな飯尾醸造さんが生み出した銘酒ならぬ「銘酢」こそが【富士酢】です。

まず、使用するお米の量が違います。

一般的な大量生産品の「米酢」は1リットルあたり40gのお米しか使いませんが、【富士酢】は実に5倍の200gを使用されます。

アル添をしていない真面目な「純米酢」であっても1リットルにつき120gほどであるのが一般的なので、その1.67倍ものお米を使用されていることになります。

結果として、お酢の「酸味」だけでなく「旨味」を強く感じる、まろやかなお酢が誕生します。

 

そして、上位モデルの【富士酢プレミアム】については、なんと1リットルあたり320gのお米を使用されています。

「大吟醸のように繊細で、しかも旨みがあるお酢」がコンセプトで、まさに「プレミアム」なお酢です。

お米を大量に使用することで、旨味が向上するだけでなく、お酢特有のムレ香(イソバレルアルデヒド臭)を消すことが出来るそうです。

 

さらに今回飲み比べする【赤酢プレミアム】。

これは「赤酢」の名前の通りお米を原料とする米酢ではなく、酒粕が原料となるお酢で、10年以上もの歳月をかけて熟成させています。

冒頭に記載した通りプロの鮨職人や料理人限定のお酢なので、市販されていません。

しかし、ご安心ください。

市販品だと、【赤酢プレミアム】【富士酢プレミアム】【富士酢】をブレンドした【富士手巻きすし酢】がありますので。

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本記事を読んで頂き、自分も作ってみたいと思われた方は【富士手巻きすし酢】をご利用ください!

今回飲み比べした飯尾醸造の米酢と赤酢

飯尾醸造のプレミアムなお酢

  1. 純米富士酢
  2. 富士酢プレミアム
  3. 赤酢プレミアム10年熟成
  4. 上記3種の酢飯用ブレンド

 

上記の4種類について、以下の観点で考察します。

  • 香り
  • 酸味
  • コク
  • 酢飯における食味(酸味、お米の甘み)

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写真:左から時計回りで、1〜4になります

 

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写真:シャリ(酢飯)を切った状態です

 

1.  純米富士酢

香り:米酢としては上品な香りで、麹のような香りがあるのが特徴的です。

酸味:スッキリした酸味が持ち味ですが、舌や喉がヒリヒリする酸味ではありません。

コク:旨味が強く、甘みとして認識します。

酢飯における食味(酸味、お米の甘み):酸味が強く立ち、お米の甘みとのコントラストは中々です。

 

2. 富士酢プレミアム

香り:純米富士酢よりも穏やかで、こなれた優雅な香りです。

酸味:確かな酸味がありますが、旨味が先に来るのでキリッと引き締めてくれる印象。

コク:結構驚くほどに旨味と甘みが強いです!飲んで美味しいお酢です。

酢飯における食味(酸味、お米の甘み):酢飯で頂くと富士酢よりも段違いに旨くて驚きます。お酢の旨味と酸味がしっかりと主張しつつ、お米の甘みが引き出されます。酢飯にしても麹香が残り、特徴的な酢飯になります。

 

3. 赤酢プレミアム

香り:一般的な長期熟成タイプの赤酢よりも、熟成香が穏やかです。

酸味:一般的な赤酢より穏やか。前回飲み比べた中で最も穏やかだった私市(キサイチ)さんの赤酢よりも穏やかに感じます。

コク:非常に強い旨味と甘みがあります。突出して「旨い」赤酢だと感じました。

酢飯における食味(酸味、お米の甘み):酢飯で頂くと酸味が更に穏やかになり、旨味もあいまってまろやかに感じます。そして、香りが良いです。

 

4. 上記3種の酢飯用ブレンド

赤酢プレミアム、富士酢プレミアム、純米富士酢を6:3:1の比率でブレンド。

これは飯尾醸造さんが鮨店に推奨するブレンド比(だと思います)。

この比率の鮨酢はプロの鮨職人でないと作れないので、鮨ヲタ的に調合して酢飯を切った時は喜びで身が震えました。

結果として、思い入れはさて置き、正に酢飯に合う味のお酢になります!

香り:富士酢らしい優雅な香りがあります。

酸味:純米富士酢の酸味が活きます。

コク:赤酢プレミアムと富士酢プレミアムの強い旨味が活きます。

酢飯における食味(酸味、お米の甘み):単体で切るよりも酸味、旨味、お酢の香りのバランスが上がり、これぞ酢飯!と言う味になります。

 

まとめ:飯尾醸造さんのお酢の飲み比べで感じたこと

飯尾醸造さんのお酢については、自身が昔から愛好していると言う事実を差し引いても、非常に美味しいと再認識しました。

むしろ今回の検証に当たり、気持ちをリセットして客観的に臨んだ上で。

飯尾醸造さんのお酢の特徴は、端的に以下の通り表すことが出来ます。

香りが上品で、酸味もまた然り。

強い旨味があり、お米の味を活かすお酢なり。

「無農薬米」「静置発酵」「長期熟成」と言う言葉だけでは伝わらない、確かな美味しさのあるお酢です。

 

そして、今回も、酢飯用のお酢については単体よりもブレンドした方が美味しくなると言う結論に至りました。

単一の醸造蔵のブレンドで、ここまで美味しくなるとは素晴らしいです。

 

お酢好きな人も、お酢に無頓着な人も、飯尾醸造さんのお酢を使ってみてください!

特に【富士酢プレミアム】は本当にオススメです。

飯尾醸造さんにて、自社のお酢を使用しているお店のマップを作成されています。

何と全世界規模!

 

また、飯尾醸造さん公式で、このようなレシピ本がございます。

 

前回の比較記事も合わせてご参照ください。

ウェルカム・トゥ・お酢ワールド!