すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 346 鮨 橋口@浅草

名店の仕事を継ぎ、俊英職人が握る鮨

こちらは浅草で知る人ぞ知る名鮨店です。

先代・橋口親方はかつて台東区で名店とされた「高勢」の系譜にある親方で、2004年に独立開店されました。

そして、2014年に移転された後、現在は浅草寺・二天門のそばにお店を構えています。

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お店は鮨店よりも懐石料理店に近い雰囲気があり、総ヒノキの数寄屋造りで、カウンターもヒノキの一枚板。

カウンターの手触りは見事で、丁寧に磨かれています。

観光地、浅草にあって非日常感を味わわせてくれる空間です。

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現在は2代目の奧親方が暖簾を守っておられ、どちらかと言うと「通」な人たちに愛されています。

ちなみに、「高勢」の系譜については、かつて鮨の先輩に教えて頂いたところだと下記の通りです。

  • 高勢(根岸)→政財界や球界御用達の鮨店であり、「座るだけで1人5万円」と言われる「日本一高い鮨店」であったが、不動産投資に手を出しバブルの崩壊と共に閉店
  • 高勢(浅草)→通称「二号店」で、現在はご子息が「鮨貴乃」として運営
  • 大塚高勢→高勢(根岸)初代に弟子入り、現存
  • 新高勢(象潟)→高勢2代目のご子息である高勢3代目が営んでいたが、2016年にご逝去され閉店
  • 橋口(先代橋口親方)→新高勢で修業、2004年に独立されたが、2017年にご逝去
  • 橋口(2代目・奧親方)→新高勢で修業し、橋口に入店
  • 浅草高勢→新高勢で修業、現存
  • 明 高勢(旧店名:和びすとろ鮨 明)→高勢3代目のご子息、現存

浅草橋口の2代目親方、奥親方の仕事

2代目の奧親方は鮨職人としての実力はかなりのものですが、変わった事に、途中職人を辞められた時期があります。

飲食とは全く別のお仕事をされていたそう。

その間調理技術こそ上がらずとも、人間力を上げられ、それが今の親方の味になっているように感じます。

しかも、料理人に戻られた時も、鮨ではなく天麩羅職人としてゼロから歩まれたとの事なので、変わってますよね(笑)

天麩羅店で働いている時に、先代・橋口親方からお声が掛かり、2度目に呼ばれた際に鮨職人として復活を遂げたそうです。

兄弟弟子と言う関係性、「高勢」の取り持つ縁と信頼。

実に職人気質で格好良いものです。

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奥親方の仕事については、王道の江戸前鮨のタネと仕事を施しながら、十分な個性を与えるのに成功しています。

恐らく鮨好きな方であってもタネと写真を見ただけでは個性を判別しづらいかもしれません。

しかし頂いてみると、一貫一貫の味に存在感があり、食べている内に満足度がどんどん高まっていきます。

小鰭の〆が巧い…と言ったテクニカルで実際的な理由もありますが、最大の理由は、塩梅です。

細かい江戸前仕事の塩梅が良い。

今までに試行錯誤を行い、ご自身の味覚とセンスで調整されてきたのは明白です。

頂いてみると細部に個性を感じる鮨なので、鮨通を惹きつけるのだと実感しました。

男気溢れる握りです。

シャリについては先代の頃は米酢だったそうですが、現在は赤酢と米酢をブレンドしたものです。

お酢はヨコ井の與兵衞と金将をブレンドされています。

やや硬めに炊かれたお米は、ほんのりと程良い温かさで、まろやかな味の方向性。

「劇薬」與兵衞を用いつつ、全てのタネに合う味に仕上げておられます。

そして、こちらは酒肴も美味しい。

刺身は握りで出さないものに絞られていて、それでありながら仕事も施されています。

握りに出す魚を切って出しただけの刺身は鮨店で食べて残念に思いますからね…

そして、他の酒肴についてもオーソドックスなものと創作的なものを織り交ぜていて面白く、しかし、握りを中心にした品数とポーションにまとめている点が嬉しい。

酒肴の内容を見ると、鮨店の硬派度合いが分かりますよね。

おまかせは15,000円一本で、相場を考えると非常に良心的です。

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この度頂いたお酒

磯自慢、日高見ひやおろし、黒龍、而今

 

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真鯛

昆布〆。むっちりした食感で、昆布の香りが力強いものの、鯛の旨味も十分。

これは〆加減だけでなく切りつけの厚みでもバランスを取っておられる。

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関東のブランド産地、佐島のもの。

これが大変美味しい。

ぶちっ!と切れて、しっとりとほどける蛸は、香りが抜群!

そして、旨味も溢れ出る。

柔らかく仕上げず、旬の蛸の香りを十分に楽しませてくれる仕事だ。

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イシガキガイ(エゾイシカゲガイ)

軽く火を入れて、コリッと感を出しているか?

香りがフルーティで甘みがあるのは、この貝の持ち味だ。

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穴子、オクラ餡掛け

揚げた穴子はサクッと衣が弾け、身がしっとりホロホロ。

餡が秀逸。

塩気と出汁が穏やかで、オクラの香りが活きている。

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煮鮑

柔らかく仕上げつつ、むちむちした食感が気持ち良い。

また、香りも上々。

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太刀魚の漬け焼き

幽庵地の漬け焼きで、食欲を刺激する香り。

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新烏賊のゲソ

くにゅっと柔らかさを保つ炙り加減で、香ばしい。

この後、握りに移行します。

 

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ガリ

甘みを利かせつつ、酸味もあってフルーティな味のガリ。

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小鰭

皮の食感が独特。

艶めかしさを感じさせる柔らかさで、するっと溶けるような皮。

佐賀のものを〆てから1日寝かせている。

新子の大きなサイズなので、立て塩で7分程度。

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新烏賊

むっちりした身はコリッと弾け、とろっととろける。

徐々に墨烏賊らしさを高めているのが分かる。

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鮪赤身

切りつけの厚さに驚いた。

産地は大間との事だが、今の時期の大間としては抜群の脂を誇っている。

仕事は軽い漬け。

よって、赤身の香ばしい香りが強く活き、酸味も楽しませつつ、旨味が脇を固める!

脂は恍惚とともに舌に残る。

仕入れてから1週間との事なので、実際は10日程度の寝かせか。

ちなみに、仲卸は米彦(こめひこ)。

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中トロ

香りが強い中トロ!

そして、脂のノリも凄い!

…が、これも酸味が味わいを引き締めてくれる。

久々に鮪で唸ったワンツーコンボ。

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車海老

茹で上げてから、しばし置いて落ち着かせ、黄身酢朧を噛ませて握る。

黄身酢朧は甘みだけでなく黄身の香りを感じさせる個性派な味わい。

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サゴシ

魚体が50cm以下の鰆の呼び名だが、東京で「サゴシ」とは珍しい。

「サゴシ」は関西の呼び名で、関東だと「サゴチ」が一般的なので。

脱水してねっちり、しっとりさせた身を藁で炙っているが、藁の香りの付け方が個性的。

ドライなフレイバーと言うべきか。

藁炙りの鰆は人気の仕事だが、バッチリ個性がある。

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肉厚な鯵で、ぶりっとした身は脂があり、引き締まっている。

生姜+浅葱の合わせ調味料の塩梅も良い!

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いくら軍艦

濃密で旨味があるが、食後感は爽やかな味わいのいくら。

40℃少々の低温でバラしているので、卵の味を楽しませてくれる。

旬の走りのいくらだと特に嬉しい仕事だ。

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海胆

宮城のミョウバン無添加モノ。

非常に濃密な味わいで、香りも良い!

後味はクリアで余韻は濃厚。

香りが気持ち良く残る。

ミョウバンの収斂味が本当に無い。

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穴子

対馬。小型なので脂は多すぎず、身がしっとり。

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シジミとアオサの美味しい椀。

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干瓢巻

干瓢はブツッと力強い食感で、味付けは超濃厚。

甘みだけでなく醤油も利かせ、山葵をバッチリ使用した干瓢巻。

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玉子

芝海老に車海老を合わせて試作しているそう。

車海老が入ることでみっちりしている。

実は研究中との事で、高勢の玉子を目指しておられるそうだ。

かつては芝海老に白身魚を加え、卵白をメレンゲ状にしていたそうだが、今は違う。

奥親方ならではな高勢の玉子を完成される日を楽しみにしている。

トータルとして、満足度は抜群です。

味は古典の進化系ですが、昔ながらの鮨店の良さを伝承する鮨店だと感じました。

再訪必至。

 

店名:鮨 橋口(すし はしぐち)

シャリの特徴:横井の赤酢と米酢を巧みにブレンドし、全てのタネに合わせるシャリ。

予算の目安:おまかせ15,000円〜

最寄駅:浅草駅(都営・メトロ・東武)から230m

TEL:03-3847-0334

住所:東京都台東区浅草2-35-13

営業時間:17:30~22:00(L.O.21:00)

定休日:日曜、祝日