すしログ日本料理編 No. 201 鰻禅@本所吾妻橋

こちらは東京の鰻店の中でもトップクラスの人気を誇り、2時間以上待ちの行列が出来る事で知られています。

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鰻好きとしては訪問しなければならない名店と言えますが、行列嫌いの自分は避けていました。

しかし、コロナの影響で空いていると聞き、これは好機!とすぐさま動きました。

とは言え、11時の開店時間だとリスキーなので、20分以上前に到着。

これが大正解で、何とか最初の1回転目の前半に潜り込むことが出来ました。

コロナの影響も無くなりつつあるようです。

こちらはお客の注文の後に鰻を割く昔ながらのお店。

1回転目でも前半と後半だと1回転分の時間差があるので、ご注意を!

まあ、鰻店ってひとたび座ってしまえば、気長に待つのも醍醐味ですよね。

親方はかつて新宿十二社(西新宿4丁目近辺の旧地名)にあった宮川で修業された方。

2014年に再開発のため現在の店舗に移転されたそうです。

お店は「街の定食屋」と言ったざっくばらんな雰囲気で、女将さんの接客もまた下町的。

人によっては気になるのかもしれませんが、僕は大変ほっこりする接客・雰囲気だと思います。

親方はご高齢ながら動きが俊敏で、来るお客さん来るお客さんに訪問のお礼と所要時間予測をお伝えされていて、きめ細かい接客だと感じました。

鰻禅さんの鰻の特徴

さて、自身が感じたこちらの鰻の特徴は、下記の通りです。

  • 圧力鍋を用いて一気に蒸し上げる身は独特の柔らかさ
  • 熱源はガスなので香りは穏やか
  • 辛口のタレ
  • お酒を注文した際のサービスが充実していて凄い

柔らかすぎない食感こそがこちらの特徴であり、この食感を表現するために圧力鍋とガス火を選択されているのかもしれません。

なお、食べあるキングのスイーツの人は「炭火」と書かれていますが、明らかにガス火です(笑)

鰻好き、グルメと言っている人たちでも、熱源が分からない、あるいは気にしない人が多くてビックリするところ。

味に大きく影響してくるのですが…

僕にとって紀州備長炭による炭火が理想ですが、それは関西や岐阜関の地焼きに慣れているからかもしれません。

備長炭を用いると燻香が付加されるので、否応なしに食欲を刺激される香りが魅力となりますが、職人さんによっては敢えて香りを穏やかに仕上げる為にガスを選択されるのでしょう。

また、ガス火の温度は最大でも700℃ほどとなりますが、紀州備長炭の場合1500℃まで上がります。

香りだけでなく火入れにも影響が出てくるので、自身の仕事に合う熱源を選択されているのだと思います。

この度頂いたお酒

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アサヒ中瓶600円

小瓶は熟撰500円となり、流石アサヒのおひざ元です。

先に軽く触れた通り、お酒を飲む人へのサービスが凄いです。

二皿出てきます。

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まずは、かぶと(関西で言う「半助」)の山椒醤油炊きと肝の味噌炊き。

肝のホロ苦さが堪りません。

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そしてもう一皿は【ヒレ巻き】!

他のお店では勿論個別オーダー品となるので、これは嬉しい。

ヒレはニラではなくネギで巻いて上品に仕上げています。

鰻禅さんの鰻重の詳細

この度頂いたのは鰻重の【特上】4,100円となります。

【上】は3,600円となり、鰻のクオリティとサイズが異なるそうです。

…と言う情報を事前に確認していたので、【特上】を選択しました。

元から高級料理で毎日食べるようなものではない鰻で500円をケチる理由は皆無ですよね。

長時間待ち登場する重箱。

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まず、年季の入った輪島塗の重箱に目を奪われます。

ここまでの年代モノは珍しい。

どうやら前述の新宿十二社・宮川で使用されていたものだそう。

これは素晴らしいです。

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さて、こちらの鰻は前述の通り食感に個性があります。

身はホロホロと程良く柔らかく、トロトロまでにはなっていません。

そして皮はくにゅっとした食感の後にモチモチ感があり、独特です。

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地焼きとは異なる皮目の凝縮感は圧力鍋で蒸す事が一因でしょうか。

また、表面については、江戸前としては割とカリッと感があります。

焼きの手順は白焼き、蒸し、つけ焼きの流れ。

蒸し時間はセイロに比べて非常に短めです。

野田岩さんが50分なのに対して、こちらは10分程度でしょうか。

焼きは熱源から遠火で、じっくりと焼き上げられます。

ジロジロ眺めるのは失礼なので、トータル5秒程度の観察ですが。

タレは醤油利かせたスッキリ味で、甘みが抑えめなのは大変好み。

ご飯の炊き加減もバッチリで、α化し易い水分を有しつつ粒が立っています。

鰻重のご飯はいたずらに硬く炊くだけではダメなので、技術を感じさせますね。

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香の物は家庭的な味わいに癒される手作り。

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肝吸いは鰹出汁を利かせつつ方向性としては大衆的な味わいです。

具がたっぷり入っているところや、具が麩、蒲鉾である点などは高級鰻店としては珍しい。

肝は火入れがしっかりで、ぷるぷるした食感です。

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卓上の山椒のクオリティは申し分無く、香りと痺れがバッチリです。

接客やサービス内容などから、まさに下町の名店と呼ぶにふさわしいものだと感じました。

自身の好みは炭火焼きですが、魅力を最大限楽しませて頂きました。

飲食店は心が和まないといけないものだと再認識。

野田岩さん(横浜)の記事

鰻禅さんのお店の情報

鰻禅(食べログのリンク)

店名:鰻禅(うなぜん)

予算の目安:鰻重上3,600円、特上4,100円

最寄駅:本所吾妻橋駅から50m

TEL:03-3624-0475

住所:東京都墨田区吾妻橋3-6-18

営業時間:火〜金11:00~18:00、土・日11:00〜16:00

定休日:月曜

※売り切り仕舞のため、要注意

※予約は出来ませんが、訪問すればお席が空いた時にお電話頂けます

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