すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ日本料理編 No. 199 太華@芝公園

こちらの料理人、海原さんと話した際、なんと「タイラガイ(タイラギ)のコースを作れます」と伺って、異常にテンションが上がりました。

同一食材でコースを組むこと自体がマニアックなのに、更にタイラガイなんて!

とは言えコロナの感染リスクが低下するまで待たなければならなかったので、5月末の訪問となりました。

ベスト(旬)を考えると5月がリミットなのでギリギリ間に合った形でしょうか。

しかし、海原さんいわく比較的年間を通して作ることが出来るそうです。

 

前回の訪問記事もございます(前回は猪と鹿)。

 

頂いた感想としては、率直に「見事!」と感じました。

タイラガイの甘み、旨味、ホロ苦味、香り、食感を自由自在に変え、一皿一皿に驚かされます。

しかも、タイラガイの柱のみを使用し、海原さんらしく淡い味で構成されるところが凄い。

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肝を用いたり、奇をてらった食材や調味料と合わせたりせず、切り付けと調理法によって変化させている点は素晴らしい。

同一食材で足し算を行わずに感動を与えてくれる料理人は決して多くはありません。

脂と塩が少なくても満足出来る方であれば、深い感動を覚える御料理だと思います。

東京で貴重な日本料理店の一軒だと再認識しました。

日本ひろしと言えども、こちらでしか楽しめない味がありますね。

 

この度頂いたタイラガイ(タイラギ)のコース
・大豆
・タイラガイの刺身
・シオデ
・タイラガイの酒煮(さかに)
・タイラガイの煮汁
・タイラガイ真薯の椀
・タイラガイのとろろ
・タイラガイの焼きしゃぶ
・タイラガイの炙り
・八杯豆腐
・タイラガイの蕨和え
・タイラガイの味噌漬け焼き
・鹿すね肉の江戸味噌漬け
・鹿すね肉の味噌汁煮
・タイラガイと葉山葵のご飯
・留め椀
・水菓子:長芋の蒸し菓子

 

まさかの一眼レフにSDカードを入れ忘れており、スマートフォンでの撮影となり恐縮です!

 

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大豆

大きめの大豆で、ふっくら且つ甘い。

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タイラガイの刺身

食べさせ方が面白い。

煮切った日本酒で頂くのだが、そのまま頂くのと見事に味が変わる。

そのまま頂いても甘み、食感、香りと軽い苦みが妙味である事は疑いの余地はない。

しかし、煮切り酒で頂くと、より爽やかになり驚き。

貝のぬめりが落ち、雑味が除去されピュアな味へと変化。

調味料で味を「足す」のではなく、調味料で「引く」とは恐れ入る。

引き算の極みの提供法。

見た目こそ素っ気ないが、実際は何てアグレッシヴな料理!と興奮した。

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シオデ

名残の山菜、シオデ。

「山のアスパラガス」や「山アスパラ」と呼ばれる山菜で、香りとほの苦みが妙。

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タイラガイの酒煮(さかに)

えんどう豆、ウドと共に。

軽く火を入れて生とは異なる食感に変え、料理のストーリに起伏を加える。

タイラガイの煮汁

鰹出汁で調整された小椀。

鰹の風味とタイラギならではな旨味が口の中を満たす。

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タイラガイ真薯の椀

抜群に美味しい鰹出汁の吸い地。

そして、感動す味わいのタイラガイ真薯。

ほろっとほどけ、香りが良い。

本当にメチャクチャ美味しい椀で感動を覚える。

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タイラガイのとろろ

突いてとろろに。

タイラガイの甘みが際立つ調理法。

同時に香りとホロ苦さも楽しませる。

ご飯は酢飯なのでスッキリ。

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タイラガイの焼きしゃぶ

今までのタイラガイ料理に無い、ジャクジャクした強い食感!

ミツバの香りとタイラガイの甘みが非常に良い相性。

炙りの香ばしさ!

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タイラガイの炙り

火入れで更に食感を変え、焼き込む事で凝縮した食感を提示。

噛み締める程にタイラガイの旨味が込み上げてくる。

そして、それを引き締めるホロ苦み。

これぞタイラガイの味!と感じさせる。

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八杯豆腐

『豆腐百珍』などの江戸期文献に残る姿は細切りの豆腐だが、絞った丸型の豆腐にアレンジ。

【八杯豆腐】は出汁、醤油、酒を6・1・1杯用いて都合8杯となるので「八杯」と呼ばれる。

鰹出汁に醤油と七味を利かせ、豆腐の香りと甘みを存分に楽しませてくれる。

清涼感も抜群!

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タイラガイの蕨和え、味噌漬け焼き、黒酢昆布和え

壷に入っているのが蕨和え。

味噌漬け焼きは面白い事に、味噌を2種類使用されている。

奥が亀戸・佐野味噌店の江戸甘口味噌で、手前は日出味噌の江戸味噌。

味噌の味が全く異なり、さりげなく面白い試み。

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鹿すね肉の江戸味噌漬け、味噌汁煮

共にビックリするほど美味しく、前回訪問時から精度を上げておられる点が素晴らしい!

前回も相当美味しかったのだが、【味噌汁煮】は超しっとりでホロホロ。

そして、鹿の鉄分と香りを上品に楽しませてくれる。

【江戸味噌漬け】は繊維質が引き締まりつつホロホロで、ほどけ方はあたかもハムのよう。

すね肉は扱いにくい部位だが、見事に己の味へ昇華されている。

鹿を扱った事のある料理人ならばビックリするのではないだろうか。

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タイラガイと葉山葵のご飯、留め椀

お米にタイラガイの旨味がしっかりと浸透している。

出汁を引くのにひもを使用されているそう。

冒頭に記載したタイラガイの良いところ、即ち甘み、旨味、ホロ苦味、香り、食感の全てを吸収しているご飯。

味噌汁もいつもながら美味しい。ホッとする。

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水菓子:長芋の蒸し菓子

「かるかんのような」とのご説明。

かるかんよりもしっとりしており、トロトロ感が魅力的な和菓子。

抹茶の香りも上品。

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【タイラガイと葉山葵のご飯】は残りを持ち帰らせて頂き、翌朝頂いてもバッチリ美味しかったです。

 

今回は御料理に加えてお酒もお任せし、心行くまで食べ飲みして、お会計は15,000円。

第一次コロナ自粛を経て、こう言った質実剛健で他店では決して頂けない味があるお店は、将来的に強いと実感しました。

他店と似たような高級食材を用いるお店に行くよりも遥かに賢いお金の使い方。

 

店名:食事 太華(しょくじ たいか)

予算の目安:おまかせ7,500円〜10,000円

最寄駅:芝公園駅から210m

TEL:03-3453-6888

住所:東京都港区芝2-9-13

営業時間:18:00~24:00(最終入店 22:00)

定休日:水曜

※コースは完全予約制となります