すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 330 宮泉@加賀山代温泉(石川県)

珍しい石川の柿の葉寿司を作り続ける名店、宮泉 

【柿の葉寿司】と言えば何はともあれ奈良県を頭に浮かべますよね。

そして、続くのは和歌山県。

奈良県の柿の葉寿司については、食べ比べ企画を行ったことがございます。

すしログ No. 86 【柿の葉寿司の食べ比べ】奈良でおすすめの柿の葉寿司は?

しかし、石川県にも【柿の葉寿司】の文化があり、奈良や和歌山のものとは異なる進化を遂げました。

f:id:edomae-sushi:20200511145650j:plain

奈良や和歌山では酢飯にタネを合わせて柿の葉で包むのに対して、石川では柿の葉の上に酢飯を置き、タネだけでなく桜海老、紺海苔、生姜などを添えて、葉で包むこと無く桶に重ねて食されます。

もともとは初秋の秋祭りの頃、収穫に感謝するために作られていたそうです。

ちなみに、奈良の柿の葉寿司は夏祭りに食されていました。

存在を知ってから非常に気になっていたのですが、奈良に比べて提供するお店が極少なので、なかなか頂けずにいました。

以前、加賀旅行の折に、こちらのお店を知った時は嬉しくなったものです。

f:id:edomae-sushi:20200511145636j:plain

すっかり家庭内での郷土寿司となっているのかと思いきや、商業化しているお店があるとは!

しかも、1966年から続いているそうで、知名度は高くなくとも実力を予感させました。

この度、新型コロナの影響で旅行者が減っているのは間違いないので、お取り寄せで注文してみました。

f:id:edomae-sushi:20200511145644j:plain

石川県・加賀地方の柿の葉寿司について

何故柿の葉寿司が生まれたかと言うと、加賀地方も奈良・吉野や和歌山・九度山と同様に、柿の木がたくさんあったことに因むようです。

上記の通り祭事の際に作られ、感謝やもてなしの意味がありました。

起源は非常に古いようで、前田利家が加賀に入場した折には、領民は柿の葉寿司で歓待したエピソードは有名なようです。

なお、加賀(石川県)には幾つかの郷土寿司があります。

酢飯を用いる寿司だと他に【笹寿司】、【押し寿司】、おからを用いる【いわしの卯の花寿司】。

乳酸発酵させて作る「飯寿司(いずし」も有名で、【蕪鮓】、【大根鮓】、【川魚のナレズシ】などがあります。

バリエーションの豊富さは、流石、加賀百万石と言ったところです。

 

宮泉さんの柿の葉寿司

公式サイトを見ると、【セット(詰め合わせ)】は鮭・鱒・鯖で構成されています。

しかし、単品での組み合わせ注文も可能で、その場合は鮭・鱒・鯖に加えて鯛・椎茸も選べます。

しかも、全て同じ価格で160円!なんと良心的な。

わざわざお取り寄せするならば、自分の好きな組み合わせにする方が楽しいですよね。

僕は鮭2枚・鱒4枚・鯖4枚に加えて鯛4枚・椎茸2枚で構成しました。

【中箱】の最低発注数は12枚で、最大は20枚、【大箱】の最低発注数は21枚で、最大は30枚となります。

f:id:edomae-sushi:20200511145650j:plain

箱を開けると大きな柿の葉が目に飛び込み、奈良の柿の葉寿司に慣れた眼を驚かせます。

f:id:edomae-sushi:20200511145655j:plain

そして、大きな柿の葉をめくると、遂に「加賀式柿の葉寿司」とご対面!

独特なビジュアル、ぎっしり詰められた図が否応なしに期待を高めてくれます。

f:id:edomae-sushi:20200511145707j:plain

こちらの酸味は酸味が利いていて、割と強めの甘みが特徴です。

各タネの〆加減が強めなので甘みが気にならず良好なバランス。

海老と微塵切りのガリが大変良いアクセントになり、最初に桜海老で香ばしさを感じ、最後にガリでサッパリと口直し。

農村で発達した郷土寿司にしては上品な心配りが光ります。

押しているけど酢飯ははらっとほどけ、これは奈良とは別の魅力がある柿の葉寿司です。

鱒はサッパリ味なので押すタイプの寿司との相性が良好。

柿の葉の香りも気持ち良い。

f:id:edomae-sushi:20200511145718j:plain

鮭は鱒よりも香りが強く、日本人ならば誰もが好きな味わいです。

f:id:edomae-sushi:20200511145712j:plain

鯛にはレモンが添えてあり、少し怯みます。

レモンの香りや酸味が過剰で邪魔する事も多いので…。

しかし、実際には使い方が上品で爽やかな薬味に。

鯛もしっかり〆ているので、北陸らしい仕事です。

f:id:edomae-sushi:20200511145702j:plain

鯖は酢を浸透させる〆加減ですが、食感はしっとりです。

食感が硬いと急激に野暮ッたいので嬉しい限り。

f:id:edomae-sushi:20200511145728j:plain

〆は割と珍しい椎茸で。

f:id:edomae-sushi:20200511145723j:plain

甘味が程良く上品で、何よりも一番の美点は食感。

コリコリ感のある戻し方・煮方が魅力的です。

九度山の九和楽さんの椎茸も秀逸な仕事でしたが、こちらの椎茸も大変美味しいのでオススメです。

f:id:edomae-sushi:20200511145734j:plain

食後は同じく加賀市にある丸八製茶場さんの献上加賀棒茶を。

ただでさえ美味しいお茶ですが、土地の食べ物と合わせると喜びが高まりますね。

 

見た目も美しくて楽しいので、贈り物にも最適な郷土寿司だと思います。

最後に、大切なこととなりますが、こちらは無添加なのが素晴らしいです。

お土産やお取り寄せとなると、アミノ酸や保存料などの添加物を用いたものが多いので。

まあ、宮泉さんをリサーチした際、無添加であることを確認して発注したのですが(笑)

郷土寿司はもともと日もちする食べ物なので、真っ当に作るお店が増えると良いなと思います。

 

店名:宮泉(きゅうせん)

予算の目安:柿の葉寿司はタネによらず1個160円

最寄駅:加賀温泉駅から4,900m

TEL:0761-76-1511

住所:石川県加賀市山代温泉2-95

営業時間:8:00~17:00

定休日:年末年始