すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 329 神田志乃多寿司@淡路町

【稲荷寿司】と【干瓢巻き】で100年以上続く神田志乃多寿司

こちらは1902年(明治35年)まで創業を遡る、老舗の寿司店です。

江戸の味を伝える老舗が密集する神田淡路町(〜須田町)エリアにあります。

近くには現存する唯一の「江戸三鮨」である、笹巻毛抜鮓(けぬきすし)もあります。

こちらの何が凄いかと言えば、【稲荷寿司】と【干瓢巻き】で100年以上勝負しているところなのではないでしょうか?

大衆的で素朴な寿司を看板メニューに掲げて1世紀以上も続いているのは、もはや「偉業」と言える気がします。

しかも、お店に伺うと【稲荷寿司】と【干瓢巻き】だけでなく、【カッパ巻き】や【沢庵巻き】などもあります。

いやはや、これには驚きました。

よく時代の流れに負けず生き残って来られたな〜!と。

看板メニューに加えて【大阪寿司】と【茶巾】も作っておられますが、東京にあって頑なに握り鮨に手を出されない点には、専門店としての矜持を感じます。

ちなみに、こちらは暖簾分け店となり、最も古い「志乃多寿司」は日本橋の總本店のようです(創業明治10年=1877年=西南戦争勃発年!)。

さらに、同じく總本店から独立した老舗だと、四谷に大正9年=1920年創業の四谷志乃多寿司もあるようです。

神田志乃多寿司さんの外観・店内

2010年にリニューアルされたそうで、建物は大変立派なビルです。

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なんと朝の7時30分から営業されていて、11時から地下のイートインスペースを利用できるそうです。

執筆時点では新型コロナの影響でイートインスペースを閉じておられ、テイクアウェイのみとなりますが、こう言ったお店で購入後すぐに頂けるのは嬉しいところですね。

なお、開店は7時30分ですが、大阪寿司と茶巾寿司は9時30分ころから販売されるそうです。

そして、お昼ごろには売り切れる可能性が高いのではないかと思います。

確実に入手したい物がある場合、予約電話が必須だと感じました。

店名の由来と「しのだ」とは?

店名に冠する「志乃多」は当初創業者の人名かと思いましたが、調べてみると日本橋總本店の初代は吉益(よします)啓蔵氏と言う方。

広島藩の江戸詰藩士で、明治維新を機に稲荷寿司の屋台を開かれたそうです。

「武士の商法」とならず、成功したケースですね。

ならば、「しのだ」とは一体??

調べてみたところ、「稲荷寿司」と同じく稲荷信仰が元になっている単語でした。

語源は、1739年に竹田出雲によって作られた人形浄瑠璃・歌舞伎の外題である「芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」。

これは狐が人間に恩返しする話なのですが、狐が住む森を「信太(しのだ)の森」と呼んでいることから「きつね」=「しのだ」となったそうです。

先の吉益啓蔵氏が創業する際、歌舞伎の名作にあやかって店名にしたのだと思われます。

創業から一貫して【稲荷寿司】がスペシャリテと言うわけですね。

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ちなみに、商品パッケージのイラストはレトロで大変可愛いです。

こちらは洋画家で「童心の画家」と呼ばれた鈴木信太郎氏の手によるもので、50年以上前に採用されたそうです。

ただ、さらっと記載されているお店のコピーに目を引かれざるを得ません。

お分かりでしょうか?

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「世界の味・日本の代表」

響きますね(笑)

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包装紙だけでなく箱のデザインも可愛らしいです。

こちらは横須賀の画家、谷内六郎氏の手によるそうです。

 

神田志乃多寿司さんの寿司の詳細

この度頂いたものは、【6個入り】と【小鯛寿司】となります。

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こちらは名物料理の【稲荷寿司】と【干瓢巻き】を個数表記で販売しており、【6個入り】とは各3個入っているセットになります。

なお、【稲荷寿司】を「しのだ」と表記しているのは上述の通りですが、【干瓢巻き】については「のり巻き」と呼んでおられます。

メニュー数は少なくともパターンが多いので、事前に購入数を決めて伺うと、店頭で悩まないかと思います(笑)

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小鯛寿司

大阪鮓を代表する小鯛を用いた棒寿司。

元祖は「すし萬」さんとされています。

こちらの【小鯛寿司】も大阪流の仕事が施されており、バシッと〆ています。

ジャクジャク噛み締めると旨味が溢れ、酢飯と馴染みます。

表面の白板昆布と間の薄い海苔が上品にアクセントとなります。

こちらの酢飯は穏やかな酸味に甘みが混ざる、非常に懐かしい味わい。

万人受けする酢飯だからこそ長年愛されているのでしょう。

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干瓢巻き(のり巻き)

一口目から甘みに驚きます!

しかも、煮汁が溢れてジューシィ。

江戸前鮨店の干瓢巻きとは全く異なる味付けです。

濃厚な味わいの干瓢巻きで、酢飯の酸味が巧みにアシスト。

非常に特徴的な干瓢巻きです。

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稲荷寿司(しのだ)

ここで真打登場。

頂いてみると、揚げが意外にもみっちりした食感でびっくりします。

2度以上煮て凝縮したような食感です。

そして、これも甘みがしっかり!

揚げはみっちりしていながら煮汁を含んでジューシィで、煮汁の量は多すぎず少なからず。

油も程よく落とされつつ、完全には落とされていません。

強い甘みの中で、酢が染みた蓮根の酸味と食感が絶妙なアクセントになります。

揚げが酢飯の下に畳み込んである為、結構食べ出があります。

しかし、一体感が高く、完成された味と個性だと実感しました。

味付けについては、日本橋の總本店が醤油、味醂、砂糖、水で煮るところ、こちらは醤油、味醂、砂糖のみで、砂糖のブレンドも異なるようです。
日本橋の總本店が白ザラメ、赤ザラメ、黒糖の3種類で、こちらは白ザラメ、赤ザラメ、黒糖、白砂糖、水あめと5種をブレンドしているそう。

もちろん数が多ければ良いものではなく、暖簾分けと言っても独自の味を作っている点が素晴らしいのだと思います。

 

ちなみに、こちらはガリも手作りされていて、酸味がしっかりで爽やかな味わいです。

【稲荷寿司】、【干瓢巻き】ともに甘いので、これで飽きが来ない仕掛け。

 

素朴な味わいながら明確な個性を持っているので、長年のファンが多いのだと実感しました。

支店が新宿伊勢丹、大丸東京、池袋西武にあるそうなので、淡路町に訪問できない方はそちらに是非。

 

店名:神田志乃多寿司(かんだしのだずし)

予算の目安:【6個入り】650円、【小鯛寿司】1,800円など

最寄駅:淡路町駅から80m

TEL:03-3255-2525

住所:東京都千代田区神田淡路町2-2

営業時間:月~金7:30~18:00、土・日・祝日7:30~17:00

定休日:火曜(祝日の場合は振り替え)