すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしコラム No. 5 握りとはちゃうで!実はおもろい関西寿司の世界!

【江戸前の握りずし】が大好きな自分ですが、大阪や京都の寿司も大好きです。

しかし、違いについて細かく説明しているサイトが少なく、説明していても情報が間違っているサイトすらありました。

なので、今回まとめようと思い立った次第です。

当の大阪人であっても「大阪寿司?なんやそれ?」と言う人もいますし(笑)

ですが、タイトルにある通り「実はおもろい」のが大阪を中心とした関西の寿司です。

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そもそも【関西寿司】とは?

現在「すし」と聞けば、大半の人が【握りずし】を頭に浮かべると思います。

しかし、「すし」の歴史を考えると、大阪や京都の【関西寿司】の方が古い歴史を持ちます。

そもそも中国から日本に【ナレズシ】が伝わった事が「すし」の起源となり、滋賀で鮒を用いたナレズシである【鮒鮓】が生まれ、定着しました。

のっけからマニアックな話ですいません。すぐ終わります(笑)

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他にも鯖を用いたナレズシや鮎を用いたナレズシが関西各地で生まれ、和歌山県では今でもその名残を見られます。

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こう言ったナレズシはお米を乳酸発酵させて酸味を加えた「すし」となります。

紛れもなく【関西寿司】の原点ではありますが、近現代の【関西寿司】は発酵料理ではありません。

(※ちなみに、押し寿司などについて「発酵によって旨味が増す」と説明する方がいらっしゃいますが、発酵ではなくせいぜい軽い熟成です)

時代の変遷に伴い保存性よりも味や調理スピードが優先され事により、お米を発酵させるのではなく、酢によって酸味を加えたものが【関西寿司】です。

その後、江戸(東京)で更に調理のスピードが求められ、編み出されてすぐに大流行したのが【握りずし】となります。

押し寿司、棒寿司よりも手っ取り早く食べたいと。

【関西寿司】なくして【握りずし】が生まれたかどうかは不明です。

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代表的な関西寿司たち

代表的なものは、鯖を始めとする各種【棒寿司】に始まり【小鯛の雀鮨】【箱寿司】【蒸し寿司】【バッテラ】など。

【茶巾寿司】も代表的な関西寿司となりますが、生まれたのは大正時代以降(握りずしよりも後)とされます。

また、「関西寿司」と一口に言っても、大阪と京都で微妙に異なります。

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鯖の棒寿司は両方にありますが、京都の方が店舗数は多め。

それは恐らく「いづう」さんの功績と影響が大きいでしょう。

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そして、「京都らしいすし」と言えば【鯖の棒寿司】に加えて【蒸し寿司】なのではないかと個人的に思います。 

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さて、天下の台所・大阪と言えば【箱寿司】。

「二寸八分の懐石」と呼ばれ、味のみならず、見た目も重視される洗練された関西寿司です。※「二寸八分」とは箱寿司のサイズを指します

各種魚に仕事(=調理)を施した後、専用の箱型で押して作るため、手で酢飯を整形して合わせる握りずしとは全く別の「すし」となります。

また、【バッテラ】も大阪を代表する有名な関西寿司です。

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余談:握りずしが全国に広まった理由

ちなみに、これ程までに握りずしが全国に広まった理由は、何だと思いますか?

意外に思われるかもしれませんが、震災と戦争が理由となります。

1923年の関東大震災までは握りずしの職人と言えば、ほぼ東京(関東)に限定されていました。

しかし、震災で失職した職人たちは職を求めて全国に移り住みました。

いわば「東京の郷土料理」であった握りずしが、全国区となるきっかけです。

そして、第二次世界大戦後の制度変更が決定的に握りずしを優位にしました。

実は1947年に制定された「飲食営業緊急措置令」によって、日本人による飲食店の営業は禁止されてしまいました。

鮨のみならず全ての料理人にとって厳しい時代が到来したわけですが、鮨に関しては「委託加工販売」によって法令の網の目を抜ける事が可能でした。

これは、配給されたお米と調理代金をお店に持ち込む事で、握りずしと交換してもらえると言うシステム。

お米1合と調理代40円を持ち込めば、握り10貫と交換してもらえました。

「闇鮨」とも呼ばれたとか。

この制度は「すし」の中でも「握りずし」のみに限定されたため、関西寿司のお店でも職人が生きるため、お客に楽しみを供するために「握りずし」を作る必要性が生まれた次第です。

その後、鮨=握りと言うイメージが強まり、握りずしの普及スピードがどんどん上がったのだと思います。

さらに、回転寿司が生まれて大衆化して現在に至るわけですね。

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江戸前鮨と関西寿司の味覚上の違い

調理方法については大きく異なるのでさて置き、それ以外で個人的に着目する相違点は酢飯だと思います。

江戸前の【握りずし】の場合、酢飯は「すっきりした味」で「米粒がほどけ易い」事が重視されます。

かたや【関西寿司】では、多くが圧縮(押す、巻く)された状態で提供されるので、少々事情が異なります。

関西寿司であっても粘度について意識的な料理人はいらっしゃいますが、握りずしほどには深刻な問題ではありません。

それ以上に、個人的に重要な要素としては、酢飯の甘みだと思います。

【関西寿司】では【握りずし】よりも砂糖を用いた甘みが強いです。

これはある程度の期間お米を美味しく保たせるためであり、現代的な江戸前の握りずしよりも魚を強く〆るためとなります。

この伝統、習慣が今でも活きているため、【関西寿司】だけでなく、【関西の握りずし】のシャリも甘く、まろやかなものが多い次第です。

さらに、炊飯時に昆布出汁を用いるお店も多いのが特徴です。

尖った味ではなく、まろみを帯びた味こそが、関西のすし飯の味です。

今日びの赤酢のシャリに慣れた人は、【関西の握りずし】のシャリは「甘すぎる」、「大人しすぎる」と仰るケースがありますが、こうした文化的な理由を念頭に置くべきでしょう。

もちろんタネの仕事と酢飯の甘みのバランスが取れていないの(例:〆が穏やかなのに酢飯が甘いなど)は論外ですが、巧くバランスが取れていれば、それは愛すべき「関西のあじ」だと思います。

 

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大阪の美味しいお店を紹介!

すし萬(靭本町)

私が頂いたのは東京・青山の店舗で恐縮ですが、大阪寿司でこちらを採り上げないとモグリなんで…

多店舗展開して成功 されている江戸中期から続く老舗です。

美味しさと美しさを兼ね揃えており、調理上のオリジナリティもバッチリです。

定番の箱寿司であっても個性を楽しませてくれます。

吉野鯗(淀屋橋)

天保12年創業の大阪寿司の老舗です。

高級志向の上品な箱寿司と、大阪ならではな鯛や穴子の仕事が魅力。

ただ、過去に比べて味にムラがある点が気になります。

多店舗展開するならば、味の安定を前提として頂きたい!

まして本店を訪れ、持ち帰りではなく店舗で頂く人にはベストの箱寿司を提供するべきです。

寿司常(大阪天満宮)

大阪名物、バッテラ発祥のお店です。

1980年代に一度暖簾をおろされましたが、30年後に代を変えて復活を遂げられたドラマティックなお店です。

あばらや(千日前)

知る人ぞ知るバッテラの美味しいお店。

知らないと入らない雰囲気(笑)ですが、大変美しく美味しいバッテラです。

寿し寅(桜川)

非常に風情のある外観と内装のお店です。

これぞ街の大阪寿司!

味だけでなく人情も味わわせてくれる名店です。

古めかしい昔ながらのお店は、大阪でも少なくなりつつあります。

鮓直(天満)

江戸時代から続く大阪寿司の老舗です。

箱寿司も作られていますが、一番人気は【鯖松前寿司】。

良い鯖の仕入れが無いと予約していても作られない、こだわりの逸品です。

京都の鯖寿司とは異なる仕事が魅力的で、おもろさを重視する大阪の文化をこう言ったところでも感じられます。

本二鶴(日本橋)

「言い訳寿司」の異名を持つ大阪寿司。

美しい見た目に家人が騙されて、遊び人を許してしまうそうですが、成程と納得。

流石大阪人、良いネーミングを考えるなと心底思います。

たこ竹(松屋町)

大阪でも相当好きなお店なのですが、敢え無く休業中…

復活を切望しているので、掲載します!

もし復活情報を入手された方がいらっしゃれば、是非とも教えてください。

 

いかがでしたでしょうか?

自分自身、まだまだ開拓中なので不十分なところ恐縮です。

大阪寿司は今の世でポテンシャルが非常にあると思っており、大阪寿司を愛する一心で書き上げました。

大阪も新店はほぼ全て江戸前の握りずしですが、大阪寿司でも勝負出来ると思います。

アイディアはありますので、ご協力頂ける職人さん、意識の高い資本家の方がいらっしゃったら、一緒にやりましょう(笑)

なお、「自分で作りたくなった!」と言う方には、以下の書籍をオススメします。

30年以上前に刊行された本となりますが、古いからこそ、今では貴重な情報が目白押しです。
定価は7,000円オーバーの本なので、古本の流通価格は大変リーズナブルかと思います(執筆時点)。

近年発刊された関西寿司の本は極端に少ないのが残念ですね。

頼みの綱の「あまから手帖」も握りが主体ですが、それは世の流れ(店舗数)的に仕方が無いのかもしれません。

関西寿司の人気が高まれば特集本もお店も増えるので、気になった方は是非とも巡ってみてください!