すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ日本料理編 No. 198 蔵精@大多喜(千葉県)

蔵精

こちらは千葉県、大多喜にある自然食のお店です。

「自然食」と聞くと、理念やコンセプトが優先され、肝心の調理と味が素人レヴェルであるケースも多々ありますが、こちらは良い方向に振り切っております。

上質な素材を上品にまとめているだけでなく、発酵食品や発酵調味料を自作されており、個々の完成度が高い。

正直なところ、御料理を頂くまで不安があったのですが、いざ頂いてみると瞬時に笑顔になりました。

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大多喜は本多忠勝の頃より栄える城下町ですが、文化と自然が一体化した街。

お店を切り盛りするご夫妻はニューヨークに20年も住んでいたそうですが、大多喜に惹かれて移住し、自らの御料理を生み出されたそうです。

蔵精さんの御料理の概要

お店のwebサイトを見ると、御料理に対するコードが凄いです。

・卵、乳製品、かつお、煮干しなどの動物性食品、上白糖は不使用(チーズ工房【千】のチーズのみ使用)

・自然栽培、蔵付き天然麹菌の味噌、酢、醤油、甘酒を使用

・野菜は自然栽培、有機栽培、天然もの、無農薬、減農薬、慣行農法のもので、可能な限り地元、近隣で栽培されたものを使用

・お酒は天然麹菌の日本酒、小規模生産の焼酎、自然発酵ビールなど

 

このようにストイックなコードを設定しつつ、味わいは誰しもが美味しいと思う御料理なのでご安心を。

そして、美味しさに加えて驚きがあり、食材や調味料の組み合わせに妙を感じます。

【焼きしもつかれ】など郷土料理のアレンジも行っておられ、個人的に琴線に触れました。

郷土料理の多くは昔のまま作るだけでは未来に残る事は難しいと思います。

そのままの製法を残す事は必須ですが、現代的な感性を加えてアレンジする事で多くの人の心を惹きつけるのだと感じております。

 

お昼は1,800円、2,600円、3,500円の3種類をご用意されており、今回は3,500円のコースをお願いしました。

2,600円のコースに先付と前菜が付くとの事。

結果的に、頻繁にお伺い出来ない身としては、3,500円を選んで大正解でした。

こちらは単品で頂くよりも、品数の多いコースの方が魅力的だと感じました。

夜は5,000円、8,000円のコースがあるそうです。

 

蔵精さんのお昼のコース

・先付:小黒大豆の自家製藁納豆おろし和え
・前菜
 -梅人参
 -蕪の糠漬け芥子菜のマスタード
 -干し柿と豆腐味噌漬け
 -ゆべし
 -菊芋の粕漬け
・里芋の八宝蒸し
・焼きしもつかれ
・白菜オイル漬け、酒粕辣油
・お食事:醤油もろみのねぎご飯、酒粕ポタージュ、香の物
・醍醐豆腐

 

蔵精さんの御料理の詳細

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ミキ

最近作られたと言う甘みの伝統飲料。

米とサツマイモを乳酸発酵させて作る飲み物だ。

初手は酸味が強いように感じるが、予想以上に飲みやすい。

発酵の香りは非常に上品で、見た目から想起される甘みは弱い。

御料理に合う飲み物だと感じた。

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先付:小黒大豆の自家製藁納豆おろし和え

納豆よりももろみのような旨味を含んだ納豆。

ごく軽やかな納豆の香りが魅力的で、味付けはさっぱり。

見た目は地味だが、旨い!

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前菜

・梅人参

・蕪の糠漬け芥子菜のマスタード

・干し柿と豆腐味噌漬け

・ゆべし

・菊芋の粕漬け

梅人参は古式本味醂の味醂粕入りで、叩いた梅干しと合わせている。

人参の甘みと味醂粕の甘みが面白い組み合わせ。

蕪の糠漬けは漬け加減が良く、マスタードの香りもバッチリ。

豆腐の味噌漬けはかなりしっかりと漬け込んでおり、脱水され凝縮されている。

あたかもチーズのよう。

ゆべしは甘くなく、旨味もしっかりで香りが抜群。

菊芋の粕漬けにはココアパウダーを合わせ、意外にも相性が良くビックリ。

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里芋の八宝蒸し

大根の葉、里芋、ネギ、百合根、銀杏、蕎麦の実、キビ。

自然酒の発酵玄米酒粕を用いた時雨味噌と合わせている。

自然酒蔵は寺田本家か?

牛蒡の風味と菜っ葉の粕漬けの酸味や風味など、様々な風味と味覚、食感を巧く合わせている一品。

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焼きしもつかれ

【しもつかれ】は栃木県を中心とした北関東地方の郷土料理。

鮭の頭と大豆、根菜、酒粕を煮込むのが一般的なレシピだ。

こちらは焼いてアレンジするだけでなく、使用する具材にも工夫が光っている。

豆は複数種類用い、大豆、金時豆、ささげなど。

豆に加えて根菜や椎茸の旨味と香り、食感を融合している。

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白菜オイル漬け、酒粕辣油

何処となく中国的で面白い組み合わせの御料理。

【酒粕辣油】は桂皮(シナモン)の香りが利いている。

さらに穏やかな酸味を有する豆乳ヨーグルトも合わせる。

全てを頂けば、一体感の高さに驚く。

辣油は割と辛口。

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お食事

醤油もろみのねぎご飯、酒粕ポタージュ、香の物。

ご飯はもろみの味わいが利いている。

酒粕は香り良く、コクがある。

椀種はトロトロ煮込んだ大根と苦味のある葉物。

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醍醐豆腐

菩提酛(ぼだいもと)仕込みのお酒の酒粕を使用しているそう。

前述の酒粕と同様に寺田本家のものかと思われる。

力強いコクと酒粕の上品な香りが魅力。

さらに、珈琲風味を加えた落花生も香りのアクセントに。


「自然食」「発酵料理」としてクオリティが高いと感じます。

この手のジャンルは都会だと付加価値を付けて高額設定しがちですが、

こちらは非常に良心的な価格で「本当に身体に良いもの」を提供しようと言う気概が伝わります。

 

店名:蔵精(くらしょう)

予算の目安:お昼1,800円、2,600円、3,500円、夜は5,000円、8,000円など

最寄駅:大多喜駅から500m

TEL:0470-82-4949

住所:千葉県夷隅郡大多喜町桜台32

営業時間:11:30~14:30、17:30~21:00

定休日:月曜夜、火曜

※夜は3日前までの予約制で、お昼も事前連絡が望ましいです