すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 324 すし処志げる@曙橋

すし処志げる

こちらは曙橋で人気を博す鮨店です。

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ご近所に超予約困難店の敦煌さんもありますが、基本的に落ち着いたエリアです。

2020年のミシュランガイドでは、東京に4軒あるビブグルマンの内1軒として選出されております。

いきなり価格の話をするのも無粋ですが、こちらは【おまかせ】6,500円、【にぎりセット】が3,000円と破格です。

今年は気軽に訪問できる価格帯で美味しいお店も開拓しようと目論んでいるので、訪問した次第です。

 

また、現在は新型コロナウィルスの影響により、飲食業界に暗雲が立ち込めている状況。

新型コロナウィルスに対する私見は割愛しますが、鮨が不人気になる事態には陥って欲しくないと痛切に願っております。

それ故に、自分は可能な限り訪問して、発信したいなと。

「鮨バブル」は高級化を促しましたが、鮨の人気が高まり、食べ手が増えたのは否めない恩恵でしょう。

それまではデートや女子会と言えばイタリアン、フレンチなどに行っていた人たちが鮨店を訪問するようになった事は、昔から食べている人間として嬉しく感じております。

しかし、鮨が「手と手で交わされる料理」故に、予期せぬウィルスの蔓延に伴い、余計に神経質に捉えられ、お客の激減が懸念される状況になっています。

もちろん安易に大丈夫だと言うつもりは毛頭ありませんが、本質的に鮨は「手と手で交わされる料理」だからこそ、衛生管理は平時から徹底されるべきであり、それ故に他の多くのジャンルよりも衛生的な料理である事は、読者の皆さまにはお伝えしたいところです。

現状(執筆時点)、感染者数が少なく飛沫感染と接触感染が疑われているので、「特定少人数」で「接触範囲が限定的」な鮨店は、大人数が入れ替わり立ち替わり訪問する業態よりも相対的に安全であると言えるように思います。

お店を訪問する際に必ず手洗いを行い、予防に努めれば、過剰に忌避せずとも良いのはインフルエンザと同様です。

ただし、発熱と乾いた咳の症状がある場合には、決して外出・外食しないようにしましょう!

 

話が脇道に逸れてしまいましたが、こちらは「鮨バブル」など何処吹く風で良心的な価格で提供されてきました。

親方にその事を伺ったところ、矢張り意識的に低価格帯で営んでおられ、お客の間口を広げたいと言う意識を感じました。

実際に専門学校の学生カップルも訪問しており、これは昨今の高級鮨店では中々見られない光景です。

親方はその道30年の叩き上げの職人さんで、大衆店でも働いてこられたそうです。

よって、価格帯のみならず仕事の精度の高さ、接客などにも、長いキャリアの賜物を感じました。

僕はエンタメ性が高い鮨店よりも地に足の着いた鮨店を遥かに好むので、琴線に触れました。

 

さて、こちらのシャリは、硬さは普通で、温度が良好。

穏やかながら酢の酸味がふわりと漂い、塩気も強くありません。

とは言え酢の酸味は各タネで活きており、まろやか過ぎず良き味です。

お酢はヨコ井との事なので、金将か?と感じました。

すし処志げるさんの【にぎりセット】

この度頂いた【にぎりセット】3,000円は握り8貫、出汁巻き玉子、巻物半分で構成されます。

1貫あたり300~400円の換算となりますが、使用されているタネは費用対満足度が高く、全てに仕事を施しておられます。

タネは小鰭、穴子、車海老と言った江戸前王道のタネよりも、鰆、金目鯛、鰤など近年人気が高位安定しているタネが主体。

そのあたりも幅広い人気の理由かもしれません。

同時に、追加のタネは2種類のみ(墨烏賊、カンパチ)、ガリのお代わり無し、締めのお茶はカットなど、長っちり出来ないように上手くコントロールされている印象です。

人によっては「素っ気無い」と感じるかもしれませんが、価格を考慮すると「工夫」だと思います(お茶は頂きたいですが…)。

多品種にすると、お酒目当てのお客が増えて、滞在時間が長くなるものなので。

こちらは【にぎりセット】の場合、さっとつまんでさっと帰ると言う、昔ながらの粋な使い方を前提とすれば良いように感じました。

シャリ、包丁、仕事の三拍子が揃っているので、流石キャリアの長い職人さんだと感じました。

 

余談となりますが、聞くところによると、某予約困難店で修行をしている若手職人さんが訪問時に、「自分が店を出す時は高くないお店にしたい」と仰ったそう。

しかも、別々の予約困難店の方が2人も。

「鮨バブル」の状況下では早期独立、高価格帯が主流となりましたが、揺れ戻しが来るのかも、と感じました。

早期独立して修行先の親方よりも高い新店を出すと言うのは、昔の流儀で言ったら無礼ですからね…

センスがあれば対価を請求すべきだと思いますが、昨今の「鮨バブル」では間違ったお店も増えすぎたと感じます。

 

この度頂いたお酒

大信州・辛口特別純米酒、七田・純米七割五分磨きBY29

お酒のラインナップは渋さがあって良い。

1合800円で提供されている点も極めて良心的。

 

すし処志げるさんの【にぎりセット】の詳細

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ガリ

スッキリした味わいの中に旨味のあるガリ。

非常に薄切りだが、存在感がある。

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エボダイ

昆布〆。バッチリ〆て昆布の香りも含ませている。

噛み締めると旨味が溢れ、皮目のじゃくじゃくした食感が快感。

これはお酒に合う味わいの仕事。

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鮪赤身

香りと酸味の良い赤身で、血の余韻も魅力。

良い味だったので産地を伺ったところ、房州勝浦であった。

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皮目の炙った香りが香ばしく、旨味の強い鰆。

三枚薄切りにして、握りの技もある。

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タイラギ

細かい包丁が良い。

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金目鯛

軽く炙り脂を活性化。

シャリの酸味が尚更活きてくる。

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腹の部分か、脂がしっかりしている。

通常だと食感が強いところ、包丁を入れて全く気にならない。

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バフン海胆軍艦

北方領土産と思われるが、甘みが強く、明礬の収斂身が弱い。

臭みも無く、仕入れの妙を感じさせる。

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鮪のおはぎ

言わずと知れたすし匠が生み出した握り。

鮪の香りと酸味をしっかりと楽しませてくれる。

鮪の脂に逃げていない点は魅力だ。

沢庵の香りの主張は穏やかで、反対に食感が良い。

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玉子

甘みのある出汁巻きで、ほんわかした気分になる。

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鉄火巻

これも鮪の味をバッチリ楽しませてくれる鉄火巻。

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墨烏賊 追加

ねっちり感を優先した墨烏賊。

強い食感は控えめで、ぷちりと切れて、とろりととろける。

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カンパチ 追加

ねっちり感が強く、とろりとしてシャリと融合する。

そして、旨味が凝縮しており、意表を突かれる仕事。

聞けば、14日熟成されているそう。

熟成仕事は多用しないそうだが、モダンな仕事も採り入れておられ、大変面白い。

 

お会計から計算すると、追加の1貫は400円。

コース料金の枠を出ない追加価格に親方の優しさを感じます。

おまかせに追加して、大変な価格となるお店もありますので…

若い方でも「回らない鮨店」の魅力を感じられる今の世に貴重な一軒かと思います。

ふらりと寄れれば最高なのですが、人気は高いようなので、2週間前までに予約した方がベターです。

 

店名:すし処志げる(すしどころ しげる)

シャリの特徴:酸味、塩気ともに穏やかにまとめた万能タイプのシャリ。

予算の目安:握り3,000円、おまかせ6,500円

最寄駅:曙橋駅から140m

TEL:03-3226-1588

住所:東京都新宿区舟町15

営業時間:18:00~25:00

定休日:不定休