すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 320 鮨処石ばし@赤坂(福岡県)

鮨処 石ばし

もともと鮨の激戦区だったところ、新店ラッシュが続く福岡。

全国で見ても開店数は多く、特に若い方の独立は東京なみだと感じます。

こちらの親方は福岡で名門とされる吉冨寿し(1979年創業)出身で、なんと24歳の時(2014年)にオープンされたと言うので、大変お若いデビュー!

お若い方ながら、このご時世に5年以上続いていると言うのは実力の証左。

あまたある中から今回選んで訪問しました。

 

ちなみに、福岡に近年オープンしたお店の親方は、鮨割烹のやま中(1972年創業)出身が多い模様です。

香坂(2013年)かず矢(2015年)、木島(2015年)、やま咲(2018年)など(敬称略にて失礼致します)。

福岡屈指の名店で僕も大好きな鮨さかいさんもお弟子さんを多く採られているので、今後新たな流派となるかもしれません。

石ばしさんの握りの概観

石橋さんの握りを頂いた感想としては、20代の親方として全国でも非常に高いレヴェルだと感じました。

親方のシャリは赤酢を用いつつ、まろやかな味に仕上げたもの。

酸味も塩気もパンチのある赤酢のシャリだと、技術を隠せる余地がありますが、ハッタリの利かない味付けの場合、握りの技術と魚の仕事の精度がダイレクトに表れます。

石橋さんのシャリは酸味も塩気も穏やかで、しかも少しだけ柔らかめながらに、ほどけ加減は上々です。

そして、魚への仕事とも合っており、穏やかながらに個性があると感じました。

ヨコ井の琥珀と與兵衛をブレンドされているそうですが、良い塩梅です。

お酢のブレンド数は多ければ良いと言うわけではなく、少なくて美味しいのがベストなので、親方のセンスを実感させます。

最後に、握りも流麗で、力業ではなくジェントルな手返しだと思いました。

 

使用する魚は全て九州のものを用いているので、郷土性があって面白い。

しかしながら、仕事は正当派の江戸前。

味や見た目のパンチが求められがちな世の中ですが、こちらは本当の鮨好きならば魅力を実感するお店でしょう。

 

漆喰の塗り壁に網代天井と古風な和建築であると同時に、カウンターは白木ではなく塗装で、カウンター奥はタイル張りと、少しリラックス出来る仕掛けのある意匠。

大変落ち着きながら美味しく頂きました。

 

この度頂いた日本酒

f:id:edomae-sushi:20200205225416j:plain

繁桝・特別純米雄町、屋守(おくのかみ)・純米吟醸

f:id:edomae-sushi:20200205225421j:plain

前者はスッキリした味に苦味も楽しませるのに対して、後者はまろやかな味で香りも良い。

シャリや仕事の特性に合わせて酒選びをされているのだと感じました。

横山秀樹さんの硝子器も奇麗です。

 

石ばしさんの握りの詳細

f:id:edomae-sushi:20200205225426j:plain

地蛸の柔らか煮

一品のみ酒肴が登場。

しっとり、さくりとほどけ、蛸の香りを楽しませてくれる味付け。

f:id:edomae-sushi:20200205225430j:plain

ガリ

塩気と辛味があり、食感も強い。

個人的に好きなタイプで、まろやかなシャリとのバランスも良い。

f:id:edomae-sushi:20200205225434j:plain

アオリイカ
地物。甘みがたっぷりながら、くにゅくにゅした食感もあるアオリ。

f:id:edomae-sushi:20200205225440j:plain

鮪中トロ

漬け。鮪の酸味を活かす仕事。

脂とシャリが乳化し、繊維質の食感的にもシャリとの一体感が高い。

f:id:edomae-sushi:20200205225444j:plain

小鰭

しっとり〆て香りをふんわりと立たせる。

軽やかな味ながらに小鰭の味があり、橙果汁の香りも嫌味無い。

f:id:edomae-sushi:20200205225450j:plain

地物。塩を振って2日寝かせたもの。

香りがしっかりな鮃。

上に乗せているのは縁側。

シャリの酸味を上品に楽しませてくれる一貫。

f:id:edomae-sushi:20200205225456j:plain

針魚

熊本湾産。浅葱を噛ませている。

ぷつっと千切れる食感が気持ち良く、〆の仕事の妙がある。

f:id:edomae-sushi:20200205225502j:plain

対馬産。一週間寝かせたもの。

ねっちりした身は旨味が強く、酸味が爽やかに纏める。

f:id:edomae-sushi:20200205225507j:plain

宗像産。しっかりと脂が乗っており、軽めの野趣ある香り。

これは旨い。

生姜と浅葱は叩いて混ぜるのではなく、別々に噛ませている。

f:id:edomae-sushi:20200205225511j:plain

車海老

唐津産。観音開きで味噌ごと握るスタイル。

茹で置きだが甘みを楽しませてくれる。

茹で上げが流行のスタンダードであるが、敢えて茹で置きで勝負されている点に、お若いのに意識的に江戸前仕事と向き合っていると感じた。

ご説明は「食べやすさを考慮して」との事であったが、それ以上の面白さがある。

f:id:edomae-sushi:20200205225517j:plain

対馬産。脂がしっかりしており、香りもある鯖。

皮目炙りはバーナーであるが、火は皮のみに当たっており、過剰に熱してもいないのでガス特有の香りの付着は無い。

バーナーを安易に用いる料理人が多いが、食材の魅力を損ねているケースも多々ある。

バーナー、ガス火を使用する場合、用心が必須だ。

f:id:edomae-sushi:20200205225521j:plain

春子

昆布〆。むっちりした身は昆布の旨味と香りをやや強めに纏いつつ、春子の淡い味を決して邪魔しない。

橙の果汁をこれまた嫌み無く使用。

f:id:edomae-sushi:20200205225527j:plain

赤貝

大分産。小ぶりで少々不格好だが、旨味も香りも強い。

紛れも無く豊後湾のもので、実際に当たっていた。

親方は紐を噛ませて食感と旨味を乗せている。

春子に続いて橙果汁を使用していたが、気にならず。

f:id:edomae-sushi:20200205225534j:plain

対馬産。14キロ。

脂が強く、鰤の食感も楽しませる仕事。

熟成を掛けてトロトロにした上でシャリと一体化させる仕事とは異なる魅力がある。

f:id:edomae-sushi:20200205225539j:plain

穴子

対馬産。塩と山椒で。

炭の炙りが香ばしい。

繊維質はトロトロ過ぎず、しっとりとほどける。

f:id:edomae-sushi:20200205225543j:plain

赤出汁

f:id:edomae-sushi:20200205225548j:plain

干瓢

ぐわぐわっと程良く強い食感に甘みを利かせている。

f:id:edomae-sushi:20200205225553j:plain

玉子

かなりきめ細かい玉子。

海老の香りが良く、甘みも上品。

 

またお伺い致します。

 

店名:鮨処 石ばし(すしどころ いしばし)

シャリの特徴:赤酢2種類をまろやかにブレンドし、硬くなく、ほどけ加減が良いシャリ。

予算の目安:お昼おまかせ5,000円、夜おまかせ15,000円〜

最寄駅:赤坂駅から500m

TEL:092-714-5656

住所:福岡県福岡市中央区赤坂1-2-6 パインマンション1F

営業時間:火~土12:30(一斉スタート、休日翌日は無し)、17:30~21:00

定休日:日曜、祝日