すしログ:錦糸町で独自の鮨を握る期待のお店!「鮨 海宇」

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。

こちらは錦糸町~住吉・菊川エリアにある江戸前鮨のお店です。

 

都営新宿線・住吉駅は、実は初めて下車しました。

僕のみならず、界隈に住んでいる方以外だと、恐らく大半の方が馴染みの無い駅ではないでしょうか。

下町の風情が残り、お店の近くには相撲部屋もあります。

 

そんな中、突然現れるのが、こちらのモダンな暖簾。

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店名の「海宇(みう)」をあしらったデザイン性の高い暖簾です。

しかし、お店に入ると年季の入った白木のカウンターが鎮座し、椅子には白布が掛けられており、クラシカルな鮨店を彷彿させます。

 

しかも、頭上には小暖簾が掛けられ、天井も網代!

豪奢でなくとも落ち着く、いかにも鮨店と言った内装です。

 

漬け場には細身で知的な容貌の親方が一人。

8席のカウンターをルーマニア人のスタッフと共に切り盛りされています。

なお、店名の「海宇(みう)」は少しキラキラしておりますが、親方の本名の「三浦」から採ったそうです。

この立地にあって、「鮨+名前」よりも記憶され易く、結果的に正解なのではないかと感じました。

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錦糸町「鮨 海宇」の魅力とは?

こちらは「鮨バブル」真っただ中の2019年3月にオープンしたお店ですが、価格はリーズナブルです。

10,000円のお任せ一本でされており、酒肴5品、握り13貫、椀、巻物半分で構成。

かなり満足度の高い内容です。

 

生命線のシャリは個性抜群で、ヨコ井の輿兵衛を利かせたもの。

そして、「劇薬」の輿兵衛をコントロールするため、珠玉もブレンドされています。

その味わいは赤酢が非常に強めに思われながら、酸味はそこまで強くはありません。

味覚の中では酸味が先行しますが、色合いに比べて穏やかな味わいです。

 

塩気も穏やかで、炊き加減は硬め。

ほどけ加減は良く、大ぶりながらに野暮ッたさが全く無いシャリです。

個性が十分にあり、魅力的なシャリだと感じます。

 

ただ、幾つかのタネで物足りなさを感じたのも事実…

脂や旨味が強いタネで「ぼんやりした」感覚を抱き、「何故だろう??」と考えながら頂いたのですが、その理由は恐らくお米のα(アルファ)化の問題だと感じました。

即ち、お米自体の甘み。

お米は炊飯によってα化=糊化(こか)した後、噛みしめる事で細かくなり、唾液アミラーゼと反応する事で甘みを感じるもの。

ご主人のシャリは加水率が低めで硬めに炊いています。

そして、米粒も大きめなので、握りを頂いた際にお米の甘みが最大化される前に嚥下する結果になっていると感じます。

シャリにおいてお米自体の甘みは重要なので、それを引き出すα化を課題とされると、更に美味しく、且つ様々なタネと合うようになると感じました。

 

使用されるタネは江戸前王道のタネにローカルなタネを織り交ぜるタイプ。

ローカルなタネとは、八角、真羽太、モロトゲアカエビなど。

ローカルなタネは個性の表現に繋がりますが、同時にセンスが要求されます。

つまり、仕事(調理)が適切でないと、劣化版江戸前鮨になってしまいます。

親方は基礎の仕事がバッチリしており、タネの項勢力も高いので、違和感無しに楽しませてくれます。

個人的に、特に〆の仕事が魅力的だと感じました。

親方ご自身が自信を持たれているのか、或いはたまたまかもしれませんが、〆たタネが多く、楽しませて頂きました。

錦糸町「鮨 海宇」のおまかせの詳細

「鮨 海宇」さんのおまかせについてご紹介します。

 

この度頂いたお酒

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波佐見焼きの酒器が美しい。

他の器もセンスの良いものが揃っている。

石鎚・手造純米初(うぶ)、窓乃梅酒・造閑叟(かんそう)純米大吟醸、手取川・あらばしり大吟醸生

 

蛍烏賊

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出始めの富山産ホタルイカで初春らしいスタート。

 

鮃、鮃の肝

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青森産。

芽葱を巻き、鮃の肝を添えて。

鮃は寝かせてしっとりした食感で、旨味を高めている。

味付けの塩梅が良く、肝は甘くない。

レモンも気にならない使用量で、むしろ爽やかに活かす。

 

タイラギ

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熱々の磯辺焼き。

格子状に包丁を入れ、歯切れが良い。

 

子持ち槍烏賊

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茨城産。

火入れが非常に素晴らしい。

ねっちりした卵に気を取られがちだが、秀逸なのは身。

独特の弾け方だったので聞いてみたところ、低温65℃で3時間火入れしているそう。

低温調理が見事に奏功した食感となっている。

酒肴で凝り過ぎたものを出すのではなく、江戸前王道の食材を調理で面白く仕上げる方向性は、

渋くマニアックで素敵だ。

 

メジマグロ

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これも仕事が良い。

軽い漬けにして、酸味とのバランスを取っている。

脂も乗っているメジなので、仕事が活きる。

 

ガリ

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甘みを排除し、赤酢を前面に出したガリ。

塩気は割と穏やか。

酸味が強めで、辛みと赤酢の香りが印象的。

親方が自ら言う通り個性が強いガリ。

 

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一貫目に鰆とはモダンな印象。

鰆の脂と赤酢のシャリを合わせ、タネとシャリ両方の存在感を示す名刺代わり。

 

針魚

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宮城産。

〆方が良い。

旨味を凝縮しており、一般的な針魚らしからぬ味の強さ。

 

赤貝

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宇部産。

中々の旨味と香りを楽しませてくれる。

閖上や豊前の次点ではあるが、魅力的。

包丁も飾り包丁が過ぎておらず良い。

 

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塩を振って脱水か。

味わいが凝縮されており、脂の乗りを補う仕事。

 

海胆手巻き

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室温で保管されているので、口どけが良い。

海苔と共に相互で高め合うバランスの酢飯量や巻き方。

海胆のクオリティよりも仕事で楽しませてくれる。

 

小鰭

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しっかり〆つつ、むっちり食感を表現している。

塩気は少し強めで、酸味は弱く、香りは上手く御している。

 

八角

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脂が凄く乗っている。

シャリとの一体感がやや欠けると感じ、上述のα化の必要性を感じさせる契機となった。

 

北寄貝

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包丁の入れ方が良く、北寄貝の甘みをすぐに感じる。

七味は海苔の香りが強いもので相性が良い。

 

金目鯛

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下田産。

昆布〆の塩梅が良く、昆布の香りをギリギリのところで用い、脱水は穏やか。

脂の乗った金目鯛を上手く纏めている。

 

メジマグロ

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腹側の身なので脂が強い。

口の中で米と融合すれば更に印象深いだろう。

 

真羽太

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長崎産。

旨味が強い。

 

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脂が乗っており〆方も巧み。

厚みもあるので、シャリを包む混んで一体化する。

 

シマエビ

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標準和名モロトゲアカエビ。

ぷつっと切れて、トロトロとろけ、甘みがシャリの酸味と合う。

鰯と共に柔らかいタネはシャリと巧く一体化する。

 

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浅蜊出汁。

浅蜊の身無しで浅蜊の存在感を感じさせるのが良い。

味噌も美味しい。

もしかして比較的近所の佐野味噌店のものか?

 

干瓢巻き

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しっかりした食感で、甘みと醤油は穏やかな干瓢。

甘みにコクがある感じ。

巻物を頂くとお店のシャリが分かるもの。

美味しい事が分かるので、微調整すれば更に美味しくなるだろう。

 

お会計から計算すると、お酒は1合1,000円ほどと適正価格。

しかも、品揃えも独特で魅力があります。

仕入れと仕事を工夫されて1万円で構成されており、今後が楽しみです。

センスのある方なので、微調整されて更に美味しくなると感じました。

再訪して確認したいと思います!

「鮨 海宇」のお店情報と予約方法

WEB予約は食べログより可能です。

鮨 海宇(食べログのリンク)

 

店名:鮨 海宇(すし みう)

シャリの特徴:ヨコ井の輿兵衛に珠玉をブレンドし、酸味を巧くコントロール。α化が課題。。

予算の目安:お任せコース11,000円(税込)~

TEL:03-6659-2085

住所:東京都江東区毛利1-2-8

最寄駅:都営・メトロ住吉駅から400m、JR錦糸町駅から1,000m

営業時間:17:00~22:00

定休日:日曜

 

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No. 325をリライトしました。

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