すしログ日本料理編 No. 195 半兵衛麸@清水五城(京都府)

こちらは清水五条にある麩と湯葉の専門店です。

創業は1689年(元禄二年)に遡り、現在は11代目の当主が継がれているそう。

麩は日本料理の源流に近いところにあり、精進料理では主役級の食材だと思います。

「麩」と聞くと一般的には味噌汁の具で脇役だと思われがちですが、生麩を頂くと、イメージが変わるでしょう。

見た目にも美しいし、調理法によって大きく味を変える食材なので、現代、未来にも通用する食材です。

半兵衛麸さんの外観と内観

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半兵衛麸さんは清水五条駅からほど近い場所にあり、雰囲気も良いです。

暖簾をくぐると120年前からあると言うおくどさん(竈)が出迎えてくれ、奥には石灯籠のある坪庭が目を引きます。

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僕は訪問したタイミングが丁度ひな祭りだったので、華やかな気持ちになりました。

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ちなみに、そもそも麩とは何か?

すぐに答えられる人は結構少ないのではないかと思います。

お店の説明によると、小麦粉に水を加えて練り、寝かせた後でんぷんを洗い流し、水で冷やしてできるグルテンに、もち粉を加えて蒸したもの。

それこそが生麩となります。

そして、グルテンに再度小麦粉を加え釜で焼き上げたものが、焼き麸となります。

更にお店によると、今から35年ほど前は、生麸は「料亭や仕出し屋さんが使う食材」で、家庭で料理される事がほとんど無かったそうです。

よって、購入を躊躇われる人が多かったため、料理教室を始め、後に茶房を始める事にしたとの談です。

茶房ではお昼限定で、麩と湯葉のコース料理を提供されております。

【むし養い】とは、

「小腹を満たして、お腹の虫をおさえる簡単な料理」

を指す京言葉との事ですが、

実際には「簡単な料理」とは謙遜に過ぎず、

多用な料理に舌も眼も喜ぶ事は間違いありません。

金沢にも麩の名店・加賀麩不室屋さんがあり、茶寮でコースを頂く事が出来ます。

そちらとの対比としては、半兵衛麸さんの御料理の方が洗練度が高いと感じました。

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半兵衛麸さんのむし養い

・焼き麸の酢のもの
・湯葉と焼き麩の炊いたん
・生麩の時雨煮
・縁高
-生麩の田楽
-生麩(花麩)
-生麩の炊いたん
-ご飯、香の物
-麩饅頭
・汲み上げ湯葉
・湯葉と麩の揚げもの
・生麩の煮もの
・生麸と湯葉のみぞれ和え
・蓬麩の白味噌仕立て
・水菓子

半兵衛麸さんのむし養いの詳細

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酢のもの(右)

戻した焼き麸を細切りにして、椎茸、キュウリ、ゴマと和えたもの。

生麩の時雨煮(左)

これは精進料理らしい一品!

凝縮された食感はあたかも肉のようで、味付けもパンチが利いている。

縁高のご飯と共に頂く。

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湯葉と焼き麩の炊いたん

キリッとした出汁で、甘みを付けていない。

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縁高

生麩の田楽はあわ麸と蓬麸?もっちり、ねっちりと力強い食感。

上質な生麩らしいグルテンの気持ち良い弾力だ。

同時に香りも楽しませてくれる。

田楽味噌も上品で、麩の風味を損ねない調味。

黄色が美しい生麩には山椒をバッチリまぶしている。

麩饅頭は桜色の可愛らしい見た目で、餡も桜餡。

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汲み上げ湯葉

大豆の香りと甘みを楽しめる。

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湯葉と麩の揚げもの

揚げた湯葉と焼き麸、玉麸。

ほのかな塩味で上品に頂く。

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生麸と湯葉のみぞれ和え

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銀杏、キクラゲ、百合根が入った生麩や胡麻麩を揚げて、みぞれ餡。

麩の美味しさを活かす出汁の力を感じさせる。

ああ、京都らしいなあ…と。

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蓬麩の白味噌仕立て

力強い出汁と白味噌の風味の椀。

麩の縁に芥子が塗ってあり、工夫が光る。

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水菓子

抹茶のアイス。

なお、2階には「お辨當箱博物館」があり、必見です!

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貴重な弁当箱があり、弁当箱から京都の華やかな文化を見る事が出来、

こじんまりとしているものの見応えがあります。

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半兵衛麩さんのお店の情報

半兵衛麩(食べログのリンク)

店名:半兵衛麩(はんべえふ)

予算の目安:むし養い3,780円

最寄駅:清水五条駅から90m

TEL:075-525-0008

住所:京都府京都市東山区問屋通五条下ル上人町433

営業時間:お店9:00〜17:00、茶房11:00〜16:00(L.O14:30)

定休日:年末年始

※むし養いは完全予約制です

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