すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ日本料理編 No. 190 割烹新多久@村上(新潟県)

割烹 新多久

新潟の最北部にある村上。

当地では平安時代より鮭が食されてきて、江戸時代には藩の重要な財源でした。

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長い歴史の中で生み出された鮭料理は、ゆうに100種類超。

一時期は衰退が危惧されたようですが、料理店と専門店の力で文化として復興が果たせられました。

 

専門店で最も有名なきっかわさんは、珍しい鮭食品を作られており、【塩引鮭】の加工場は必見です。

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今回ご紹介する新多久さんは1867年(慶応3年)に創業された老舗で、鮭の時期には【鮭づくし】コースを頂けます。

村上には鮭のみでコースを組み立てるお店が他にもありますが、こちらがもっとも「モダン」と言われ、新潟県内の料理人にもファンが多いようです。

一例として、新発田の小林さん(登喜和)新潟市の本間さん(兄弟寿し)の口に上がり、新潟の人から愛されている事を実感しました。

新多久さんの概要

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お店は重厚感があり、一見すると敷居が高そうですが、店内はモダンな洋風。

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重厚感もあり特別な気持ちも味わいつつ、リラックスできる素敵な雰囲気です。

御料理を頂いた感想としては、見事!の一言。

伝統的な郷土料理を現代に通用するよう巧みに表現されており、これぞ未来に残すべき日本料理だと感じました。

しかも、食材のほぼ全てを「新潟産」ではなく「村上産」でまかなっている点は凄い。

東京では日本料理にキャヴィア、トリュフ、フォアグラなどの海外食材を多用するバブル料理が跋扈する中、こちらの御料理は真に日本らしく、硬派でありながらスタイリッシュだと感じました。

そして、同一食材のみでコースを構成すると料理人のセンスと腕がダイレクトに表れるものですが、全くもって申し分無し。

奇抜な事を決して行わず、緩急を付けて最後までワクワクさせる手腕には感銘を覚えました。

提供スピードも申し分無く、品数が多く、他にお客さんがほぼ満席だと言うのに、的確に2時間ほどで提供されました。

 

【鮭づくし】コースは3,000円、5,000円、7,000円、10,000円と分かれており、今回は友人たちと一緒だったので7,000円のコースを頼みました。

事前のお電話で確認したところ、料理の品数が変わるそうです。

 

【鮭づくし】コース(7,000円)
・先付:飯寿司
・八寸:はらこ、焼漬、鮭のすっぽん、白子、酒びたし、ほっぺた、めふん
・煮物椀:子皮煮
・御造里:鮭の焼霜造り
・蒸物:鮭の酒びたしの飯蒸し
・油物:鮭の湯葉揚げ
・酢の物:氷頭なます
・湯物:雅味煮(がじに)
・留肴:焼き鮭
・御食事、留め椀、香の物
・水菓子:酒粕ムース

  

新多久さんの鮭づくしコースの詳細

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先付

飯寿司(いずし)。

ナレズシの一種で、北陸から北海道に見られる麹を用いるタイプ。

お米のみのナレズシよりも糖化が進み甘みが強くなる。

こちらのものはとりわけ上品に仕上げており、お米の甘みが活きている。

鮭の香り、食感も良い。

はらこ(いくら)は脱水されており、ぶちっとした食感に。

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八寸

はらこ味噌漬、焼漬、鮭のすっぽん煮、白子、酒びたし、ほっぺた味噌、 めふん。

めふんは塩漬けした5年モノで、とろろと合わせて食べ易くしている。

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はらこ味噌漬は甘みが上手く用いられており、ねっちり感は低く、皮が薄い。

「すっぽん」は鮭の頭との事。

鮭の酒びたしは鮭の香りが強調され、実に日本酒に合う香り(車なので飲めなかったがw)。

焼きびたしも旨味をじっくりと楽しませる。

白子はしっとりふっくら。

珍味の盛り合わせとなるが、現代的に塩気を抑えており、優しい印象。

お酒無しでも十分に楽しめる八寸である。

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煮物椀

子皮煮。

鮭真薯は鮭の皮、身、はらこを鮭出汁で伸ばしている。

吸い地は鰹のキレと香りがあり、塩気は穏やか。

真薯は食感ふんわり、塩気穏やかに仕上げており、極めて上品。

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御造里

鮭の皮目を高温の油を用いて強い焼き霜にしている印象。

身の旨味と酸味に香ばしさが加わっている。

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蒸物

飯蒸し。

鮭の酒びたしのしっぽ部分を乾煎りして使用。

酒びたしのこなれた香りが立ち、発酵の香りはある種納豆のよう。

餅米の甘みと風味と合わさり、美味しい。

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油物

鮭の湯葉揚げ。

鮭のつみれを極薄の湯葉で巻いて揚げた料理。

揚げ湯葉の香りを上品にまとわせている。

揚げ物だがサッパリしており、ツユは出汁の塩梅が良く、甘みも優しい。

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酢の物

氷頭なます。

氷頭にありがちなクセは皆無で、スッキリ!

胃が洗われると同時に、食欲が刺激される一品。

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湯物

雅味煮(がじに)。

鮭の身、白子、肝を使用。

身もさる事ながら、内臓が旨い。

甘く、香りが良い。

端正な出汁も奏功している。

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留肴、御食事、留め椀、香の物

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鮭の焼き物に、はらこの醤油漬け、そして岩船産の新米コシヒカリ!

これは日本人として否応無しに心が躍る素晴らしい食事。

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留め椀は岩船麩と大根の菜っ葉を使用しており、嬉しくなる。

菜っ葉と郷土の麩、郷土の味噌を使用した味噌汁こそ、県外の人間が頂きたい留め椀だ。

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水菓子

酒粕のムース。

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村上には大洋酒造、宮尾酒造があるので、どちらかの酒粕か。

酒粕の香りが良く、程良い酸味があるのでスッキリしている。

酒粕を前面に出し過ぎていない点が魅力的だ。

 

頂いている途中から来年の秋もまた来よう…と実感しました。

そして、鮭以外の食材でも随分と楽しそうなので、再訪したいところです。

 

店名:割烹 新多久(かっぽう しんたく)

予算の目安:鮭懐石は10月~12月中旬までで3,000円~10,000円、

      昼は1,500円~15,000円、夜は3,000円~15,000円

最寄駅:村上駅から1,600m

TEL:0254-53-2107

住所:新潟県村上市小町3-38

営業時間:11:30~13:30、17:00~20:00

定休日:水曜

※完全予約制となります