すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 314 きざ㐂(き)@赤坂

きざ㐂

こちらは2018年5月に若干28歳の若さで独立した職人さんのお店です。

若い方で独立早々のお店は外す事もありますが、こちらは信頼する鮨好きの方々が高評価なので、開店時より狙っておりました。

親方の木崎倫さんは久兵衛と鮨とかみで修業された方。

対照的とも言える2軒なので、修行先のご経験とセンスから何が生み出されるのか?

大変期待しつつ、師走の休日に訪問しました。

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 お店が入っているビルとEVは大変古めかしく、特にEVは骨董品寸前(笑)

しかし、店内はキリッと端正で、清潔なのは勿論ですが、香りが良いです。

古い雑居ビルは匂い対策が大変なので、気を払っておられるのが分かります。

入口の扉が二重になっているので隔離性もあり、細やかな配慮を感じます。

女将さんの接客も明るく丁寧で、初手から好感を持てるお店です。

 

そして、頂いた感想としては、期待以上に完成度が高く、修行先の良いところを身に付けておられると感じました。

きざ㐂さんの握りの概観

シャリの酸味は鮨とかみ程には強くなく、意外にも穏やか。

とは言え、一般的には強めとみなされる塩梅でしょう。

そして、お米の炊き加減もかなり硬めです。

赤酢を旨味と共に酸味としても活用し、芯が残る一歩手前まで硬く炊く、鮨とかみでの修行を巧くアレンジされていると感じました。

握りの手数は少し多いものの、米粒のほどけ加減も良く、温度管理も細やかです。

シャリのみならず仕事の方も十分個性があるので、いわゆる昨今の鮨バブルが崩壊しても生き残っていくお店だと感じました。

あとは比喩的に申し上げると、面の力押しではなく、点の修練に努めれば、自ずと「スペシャリテ」と言うべき独自性の高い仕事を編み出せるかと思います。

 

きざ㐂さんの握りの詳細

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ガリ

酸味がしっかりしており、甘みは非常に弱く、スッキリ味のガリ。

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鮪突先の手巻き

とかみの名物となっている手巻きからスタート。

間違い無い味わいの突先を、シャリの酸味と海苔の風味を含めて感じさせてくれる。

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焼き胡麻豆腐

カリッと焼き上げ、中はとろーん。

香ばしく、旨い。

 

握りのみのコースを予約したので、すぐに握りに移行します。

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三重。寝かせてから昆布〆にしている模様。

食感はとろんと柔らかいが、後半に香りが広がり、良い寝かせ方。

昆布の香りも上品に使用している。

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墨烏賊

出水。肉厚でバツバツ、ねっちり。

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春子

〆てオボロまぶし。身質は大変柔らかく、オボロの使い方も巧い。

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赤貝

閖上。香りが良く、旨味もたっぷり。

紐を挟んで握っており、巧み。

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鮪赤身

旨味が強く、酸味も時期としては強めの赤身。

産地は大間との事。

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鮪中トロ

脂がしっかりした中トロで、香りもある。

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鮪背トロ

まろやかな脂で、旨味に加えて酸味もある点が魅力。

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鮪赤身

漬け。漬け故に味が強いのでシャリに合う。

トロの後に赤身の漬けと言う点も面白い流れ。

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小鰭

みっちりした食感で、香り良く旨味も楽しませる。

〆ものなのにシャリの酸味がやや勝ってしまう点が課題か。

特に小鰭は小鰭自体の味を引き立てる仕事が望まれる。

鮪の旬であっても、鮨は小鰭にとどめを刺す、と言うのが私見也。

鮨種の王は小鰭。

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車海老

茹で上げで温度がかなり良い。

身は柔らかく、甘みを最大限活かしている。

苦味や臭みはゼロ。

茹ではお弟子さんの手によるが巧い。

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青森。しっとりと滑らかで旨い鯵。

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いくら

かなり滑らかな口当たりで、これは飲み物級。

卵の濃度もあり、醤油漬けではなく塩いくらか?

柚子皮をいくらにまぶすのではなく、シャリ玉の底に付けているのは粋。

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キタムラサキ海胆

東沢水産のスペシャル。見た目とは裏腹にすぐに溶け、甘い。

これも見た目とは裏腹にミョウバンの収斂味は無い。

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これも柚子皮をまぶすのではなく間に使用。

鹿島産の大ぶりな蛤で、食感が柔らかい部分としっかりした部分があり、噛み応えがある。

煮ツメはサッパリなものを使用し、漬け込み地の味主体。

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穴子

こちらには濃厚な煮ツメを使用し、同時に漬け込み地も濃厚。

そして、炙りも強めなので、力強い味わいがある。

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潮汁

当日使用した魚の出汁で、旨い。

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玉子

ふわんふわん。海老は無しか?スイーツ的な方向性の玉子だが、甘みの塩梅は硬派。

 

握り原理主義の自分としては大満足の内容です。

特に11月〜12月と言う鮪の時期は、鮪連発が素直に嬉しいですね。

 

店名:きざ㐂(きざき)

シャリの特徴:赤酢を強めに利かせつつ、旨味と酸味の使い方が巧み。硬さ、温度は丁度良い。

予算の目安:ランチ握り約15貫12,000円、夜と同じ酒肴+握り22,000円

最寄駅赤坂見附駅から130m

TEL:03-6807-4110

住所:東京都港区赤坂3-21-10 赤坂清明会館ビル5C

営業時間:火〜土12:00〜14:00、18:00〜23:00、日12:00〜14:00

定休日:月曜

※完全予約制となり、キャンセルは2日前まで