すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ日本料理編 No. 182 緒方@(京都府)

京都 緒方

こちらは京都を代表する懐石料理店・和久傳で料理長を務めた緒方俊郎氏のお店で、言わずと知れた京が誇るトップクラスの人気店となります。

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京都の人気トップクラスのお店は予約難度がかなり高く、お値段も張るので、訪問する際は長期計画を立てねばなりません(少なくとも私のような庶民にとって)。

よって中々腰を上げられない自分がおりますが、こちらは自身が尊敬する料理人の方々の評判が良いので、今回訪問を決意しました。

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お店は外観からして京都らしい雰囲気を発しております。

しかし店内は豪奢ではなく優雅に瀟洒な空間を演出しており、建築設計事務所の多大なセンスを感じさせます。

なお、完全に余談となりますが、中村外二工務店さんは元ZOZOのCEOである前澤氏が20億~30億円で入手したとされる

南禅寺智水庵の改修に携わると言う噂が…。

真偽は不明ですが、まあ、それなら手を入れても安心かなと感じさせられました。

何はともあれ、店内はカウンター席へのアプローチ、席間のゆとり、窓の全てが計算されており、大変寛げるものです。

但し、2部制なのにお客さんの半数が遅刻してくるとは驚きました。

いっそのこと、到着順に請求を傾斜配分するシステムならば遅刻する人が減るだろうな〜と感じたものです(←冗談ですよ)。

如何なるお店に於いても、遅刻は厳禁です。

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さて、カウンターの前には、時期としては大変立派な松茸が鎮座。

さらに、ご主人の鱧の骨切りがスタート。

この「演出」は一流の人気店ならではでしょう。

僕は料理人の手元にしか目が行きませんが、一般的にはウケる「パフォーマンス」なのかと思います。

実際、調理のほとんどは奥の厨房で行われます。

緒方さんの御料理の概観

御料理を頂いた感想としては、確かに凄いなと思いました。

「引き算」「素材力」などと言った言葉は薄味の日本料理点に対して頻りに用いられるタームですが、こちらはそのような軽薄なものではありません。

足していながら過剰ではなく、食材の存在感を高める料理、だと感じた次第です。

東京の一流店、紹介制のお店などよりも遥かに納得する内容。

日本料理の生命線である出汁と塩の当て方が抜群で、同時に伝統的な料理の引用と日本料理における遊び心、相反する要素をあくまでも上品に共存させる手腕には頬をほころばせる他ありませんでした。

和久傳の系譜らしく八寸はありませんし、御料理の流れも変則的ですが、それが期待感を高めてくれます。

ただ、非常に残念な点もあり、即ち魚の鮮度。

鯛の洗いで極極僅かに臭いを感じつつその場はスルーしたのですが、鰤で違和感を確信に変えました。

北海道・昆布森で神経〆にされた鰤のようですが、放血処理が甘く、寝かせるに耐えなかったようで、血合いに臭いが生じておりました。

これは、鮨店で食べ歩いているから確信できる決定的な落ち度。

他のお客さん達は絶賛されており、お弟子さんが「鰤、どうでしたっ?」と笑顔で聞いてくるもので、「美味しかったです」と答えざるを得ませんでしたが、本当はご主人に「もしかして放血処理が甘くないですか?」と言いたかった(笑)

この場を借りて表現しますので、もし万が一この文章を読まれたならば、是非とも改善されてください…!

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頂いたお酒

大洋酒造・鄙願大吟醸、賀茂鶴・広島錦純米大吟醸

 

この度頂いた御料理

・松茸ご飯
・茄子と香味野菜
・鯛の洗い、重陽の節句仕立て
・鰤
・蛸の小倉煮
・鰻の天麩羅
・鴨と無花果
・鱧の油焼き、鷹峯唐辛子
・鱧の肝の照り焼き
・玉葱と鼈
・鯖とサツマイモのご飯、香の物
・銀杏のお菓子

 

緒方さんの御料理の詳細

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松茸ご飯

日本料理店では珍しい大変重厚なガラス器で登場。

蓋を開けた時の香りは堪らない。

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松茸の火入れ、ほんの少し強めの塩気など、細部に気が配られており良い。

お米も負けていない香りと甘み。

ただ、新潟村上のコシヒカリで新米ではないとのことだったので、炊き方が良いのかな。

松茸は丹波産で、訪問の数日前から出始めたとの事。

頂けてラッキーだし、「まだ小さい」との事ながらに流石の仕入れだと感じた次第である。

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茄子と香味野菜

吸い地は鰹のキレがあり、塩気は非常に穏やか。

茄子はトロトロにせず、それでいて中心まで火を入れており、香りが良い。

「香味野菜」は茗荷と木ノ芽。

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鯛の洗い、重陽の節句仕立て

明石の鯛を宮中行事に見立てて。

これは、ありがたみに加えて爽やかな印象を与える一品。

鯛は肉厚で食感が良く、香りも強くて満足。

しかし、前述の通り、ただ一切れに匂いに難があった。

ほんの微かであり、自分以外に気づく人はいなかったようだが…

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昆布森産。塩を混ぜた洋芥子のみで頂く。

この食べ方は良いなぁ。

ただ、鮮度については前述の通りだが(笑)

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蛸の小倉煮

意表を突く取り合わせだが、蛸をみっしり、しっとりした食感に仕上げており、これが小豆の食感に合う。

いやはや、これは面白い。


そもそも桜煮の触媒である小豆を具として用いるとは。

調理法として、蛸の「香りの活かし方」としては最適ではないが、蛸の「引き立て方」としては面白い一皿だと感じた。

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鰻の天麩羅

琵琶湖産の天然物。山葵を塗り、大葉と共に頂く。

これは素晴らしい逸品だった。

甘みのあるタレを纏わせつつ、上品に鰻の香りと脂を活かす。

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鰻は肉厚で香りが良く、食感はぶりっと力強い。

その身から脂がたっぷり滲み出て、濃密に絡みつく。

それを山葵と大葉が軽やかにまとめる。

衣は天麩羅としては厚みがあり、火入れも強いので、存在感が強いのだが、全く違和感が無い…と言うか寧ろ合っている。

これは、衣が薄いと鰻が完勝してしまい、故に「天麩羅」としての調理の必然性に欠けてしまうだろう。

器はもしかして?と思って裏返して見たところ、やはり魯山人の作であった。

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可愛い。

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鴨と無花果

初手は味噌が強いと思いきや、鴨が力強い香りと旨味を発揮。

故に合う。

焼き方は正しくレアであり、フランス人も喜びそうだ。

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余韻もバッチリある鴨で早秋ながらに満足度が高い。

無花果との相性もバッチリで、酸味が良きアシスト。

器は江戸中期~前期くらいのものだろうか??

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鱧の油焼き、鷹峯唐辛子

これもシンプルに面白く珍しい料理。

鱧は大変上質で、肉厚で脂が乗っている。

旨味が強く、骨切りも流石。

「油焼き」の油は太白胡麻のようで、軽い胡麻の風味が良い。

また、添えられている鱧の浮き袋(説明がなかったけれど多分)はぷりぷりしつつ軽く舌に張り付く食感が気持ち良い。

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鱧の肝の照り焼き

前の浮き袋(多分)と合わせて面白い食材を出す。

自身は和歌山の某店で頂いて以来だ。

鱧の肝は濃密な味わいの中に鱧の香りがある。

長物の肝としては、鰻や穴子よりも上品な香りと苦味だと思う。

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玉葱と鼈

提供方法が素晴らしい。

鼈の姿は在らずして、鼈を強く感じさせる。

なんて贅沢な食べさせ方!

同時に玉葱がとろーんと柔らかく仕上げられていない点が良い。

終盤に柔らかくトロトロだと凡庸で些か下品だ。

全体を通して、旨味を高めていく構成で、自然だと感じた。

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鯖とサツマイモのご飯、香の物

イクラの飯蒸し、カレー蕎麦から選べて、全てを少しずつも出来るとの事だが、個人的に悩む事無く鯖とサツマイモを選択。

理由は、好きな鯖が旬の走りであり、食材の取り合わせが面白いから。

また、最近、日本料理では足る事を知る必要があると感じているので、実践したかった次第。

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銀杏のお菓子

銀杏の香りがしっかり!

ほの苦さも楽しませてくれる。

食感はもっちり。

これは新モノの銀杏の特徴を表しており、素晴らしい。

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旨味の強いお茶。玉露か?

 

以上、サービス料込でお会計は41,000円。

お酒はともに四合瓶で6,000円ほどの高級酒なので、1合あたり3,000円〜4,500円ほどでしょうか。

よって、税サを抜くとお料理代が2.7万円くらい。

Google等でも価格についてはネガティヴな意見が見られますが、それは人の価値次第でしょう。

個人的には大変高額ながらにある程度納得出来る内容でした。

少なくとも東京の下手な人気店・有名店で同額支払うよりも遥かに満足。

ただ、こちらは一級品の食材を用いるお店なので、時価の要素が大きい点だけはご了承された方が良いかと思います。

 

ひとえに、魚の状態について改善される事を痛切に願っております。

 

店名:緒方(おがた)

予算の目安:40,000円〜

最寄駅:烏丸駅、四条駅から450m

TEL:075-344-8000

住所:京都府京都市下京区綾小路西洞院東入新釜座町726番地

営業時間:12:00~(4名以上で予約可)、16:00~18:30、19:00~21:30の二部制

定休日:月曜