すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 301 田可尾@天神南(福岡県)

鮨 田可尾

仲買人をされていた鮨職人、と聞いて長らく気になっていたお店。

写真撮影NGである事も含めて情報がそこまで多くはありませんが、割と通寄りの鮨好きの評価が高いお店であるように思います。

お店は意外な場所にあり、知らなければ少し入りづらいかもしれません。

f:id:edomae-sushi:20190826183013j:plain

店内に入ると落ち着いた空気が流れており、鮨店としても「大人向け」と言えるように感じました。

そして、使用される器が素晴らしく、塗り物にも目を瞠ります。

親方は大変無口な職人さんですが、それは初見の印象のみ。

実際にお話を振ると優しく応えてくれ、鮨と魚の造詣の深さに驚いた次第です。

田可尾さんのシャリ

そして、肝心の握りは抜群に美味しいです。

シャリは理想的な人肌の温度に保たれており、口の中ではらりと上品にほどけます。

味付けは酸味がほんのりと強めで、お米の香りが心地良い。

親方は正確な小手返しで握られ、握りの形が美しい!

返した後の左手の親指の使い方が印象的でした。

また、握りのみならず切り付けも美しく、写真に撮れないのが少々残念に思いましたが、むしろ記憶に焼き付いたので結果的に撮れなくて良かったのかなと思ったり。

 

最後に、奥様との無言の二人三脚が大変美しかったです。

長年助け合ってこられたんだな…としみじみ感じました。

そのような所作にも気づける方ならば、こちらの握りが気に入られるのではないかと思います。

 

頂いたお酒

旭菊・大地 純米吟醸オーガニック米、田中六五・純米ハネ木搾り

 

田可尾さんの握りの詳細

茶豆

固茹でで、香りの良い枝豆。

 

こちらは酒肴よりも圧倒的に握りのお店だと感じたので、すぐに握りに移行しました。

 

ガリ

甘みに加えて辛味もあり、薄切りでシャキシャキした食感。

 

昆布〆。絶妙な〆加減で、しっとり。

昆布の旨味も香りも上品で、一貫目からテンションが上がる味わい!

 

白甘鯛

もっちりした身を噛みしめれば旨味が高まる。

最初にシャリの美味しさが伝わり、そしてタネの美味しさが判る。

徒にタネが勝たないバランスに驚嘆を覚える。

 

肉厚な身に包丁を深く数本入れている。

鯛の香りが高まる仕事…軽く脱水しているのか。

 

アラ(九絵)

心地良い弾力の身は包丁によって歯切れが良い。

これも香りを楽しませてくれる。

 

皮は炙らず。鰆の香りと穏やかな酸味を味わわせる。

季節外れのタネであるが、目利きで仕入れられたそう。

望外の旨味の強さに意表を突かれた。

 

ヤリイカ

斜めに細かく包丁を入れて。

包丁によってシャリとの一体感が高く、イカそのものも甘い。

 

北寄貝

とろんと口腔を撫で、シャクシャクと弾ける。

甘み、そして香りが広がりゆく。

 

海胆

通称「猫島」と呼ばれる相島(あいのしま)産。

旨味が濃密で、これは美味しい海胆。

凛々しさが残る味わいで、気品を感じた。

 

車海老

茹で置きで甘みを引き立てる昔ながらの仕事。

肉厚な車海老に海老味噌を噛ませて。

 

鮪赤身

塩竃。酸味が強く旨味もある赤身。

もしかすると山葵を少しだけ多めに使用されたか?

 

鮪赤身

大間。漬け。強い旨味に強い血の香りが漂い、食感はむっちり。

これが何と冷凍モノ!

先の塩竃の爽やかさを遡及させるストーリー。

こんな手があったか!と驚かされる。

 

鮪中トロ

これも大間。とろーんととろけ、上品な旨味と酸味が広がる。

 

小鰭

包丁は斜めに。

しっかりした〆加減で、酢の酸味も回している。

旨味が広がり、香りが立ち上がる良き〆。

 

〆ているのでぶりっとした食感の後に生っぽい食感に移行する。

生姜をタネに乗せ、ネギをシャリに付けると言う、少し個性的な薬味の使い方。

 

これは旨い!絶妙な〆加減。

バシッと強い〆ながら、艶めかしさを残す。

 

春子

これも〆が巧み!

みっちり且つしっとりした食感で、オボロとの調和も良い。

 

蝦蛄

多く子を持ち、香りが強い蝦蛄。

煮ツメの見た目は大変濃厚そうだが、タネとのバランスが良くて意外。

 

関門。波を立たせて切り付け。

周囲と中心の火入れのギャップが良い。

また、香りも楽しませてくれる。

 

柔らかく蒸して、汁に漬け込んだ鮑。

 

穴子

皮目のトロトロ感を活かした穴子。

恐らく対馬産だが、特性を活かす仕事だと感じる。

 

玉子

かなりみっちり、しっとりした玉子で、芝海老と芋か。

 

気付けば頂いた握りは20貫+玉子!

良いお酒も2合頂き1.7万円とは、福岡で満足度が非常に高いお店です。

渋くて、美味しい。

細部の完成度やバランスが卓越しており、強く印象に残りました。

接客にガタガタ言う人や自己中心的なかまってちゃんにはヒットしないと思いますが、個人的にストイックな雰囲気は鮨店の魅力の一つだと感じます。

 

店名:鮨 田可尾(すし たかお)

シャリの特徴:温度、硬さ、酸味、塩気など全てのバランスが絶妙なシャリ

予算の目安:15,000円〜20,000円

最寄駅:天神南駅から350m

TEL:092-711-7711

住所:福岡県福岡市中央区渡辺通5-15-4 シティパレス南天神1F

営業時間:17:00~23:00

定休日:日曜