すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 298 鮨しののめ@札幌(北海道)

鮨しののめ

約1年前に訪問した札幌のしののめさん。

その後訪問しようとして予約しようとしたところ、まさかの中原親方が東京訪問と言うタイミングで訪問が叶わず、結果的に盛夏の訪問となりました。

今年の札幌は異常に暑く、特に公共交通機関に冷房が効いていないので、東京よりも逃げ場が無いな…と感じました。

鮨しののめさんの概観

さて、再訪した感想としては、名店が数多ある札幌の中で明確な個性を確立していると再認識しました。

その理由は主に二つで、一に食材の仕入れ、一に創作的なアレンジ性。

道産食材の選び方も良いのですが、その他地方の食材も巧みに引っ張られ、かなり面白い素材を使われております。

東京では同じ仲買人(お店)から仕入れる人が増えておりますが、それだと似通ってしまうリスクが存在します。

仕入れレヴェルで個性を出す、と言う事も今後重要になるのではないかと思います。

親方の中原さんは九州の神経締め漁師から仕入れ、道内外問わず人を楽しませる味に仕上げておられます。

そして、次に、親方はコラトゥーラやエシャレットを用いるなど洋風なエッセンスも採り入れておられるのですが、しっかり鮨店の枠組みの中に落とし込んでおられるので嫌味になりません。

この上品なアレンジ性が今後どのように変化するのかは楽しみです。

 

最後に、今回はシャリを変えておられたので指摘したところ、「気付きますか!?」との談。

お米は東川のななつぼし、水は東川旭岳の水と、ご自身の地元の味を札幌で伝えておられ、飯尾醸造の3種類の酢をブレンドされているのは前回と同様。

今回は炊き加減と調味が変わっており、一言で形容すると「渋い」。

粒が細長いななつぼしを低加水で炊く事により、独特の舌触りと歯応えとなっております。

古米の玄米を都度精米されているそうですが、それも要因かもしれません。

渋く、幽玄な印象を与えるシャリだと感じました。

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頂いたお酒

サッポロクラシック、山城屋・Dry超辛口純米大吟醸、上川大雪・特別純米

 

鮨しののめさんの詳細

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玉蜀黍の冷製茶碗蒸し、じゅんさい

とにかく甘い!香り良い!

低温でじっくりと茹でて糖化させた玉蜀黍は、北海道の恵みを伝えてくれる。

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根室産。香りを楽しめる鰯。

少し脂が弱いので伺ったところ、根室の漁師は近場で獲れる時は沖に出ないため小型ばかりとの事(笑)

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利尻産バフン海胆、アカシマエビ

「アカシマエビ」は標準和名モロトゲアカエビか?

両方の甘みもさる事ながら、食感の組み合わせも良い。

海胆はとろけ、海老はねっちりと絡む。

そして、異なる香りで魅せる。

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鮟肝

鮟肝は天塩町産との事で初めて頂いたが、脂がメチャクチャ濃厚。

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夏鰊の炙り、ポン酢ジュレ

初手はポン酢の酸味が勝つか…と思いきや、鰊の脂と風味が超えてくる。

夏なので産卵後となるが、魚味が回復している。

鰊は風味が強い魚だが、包丁が奏功しており、上品に仕上げている。

炙りの香りも行き過ぎていない。

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蒸し鮑

シャリと肝を合わせる酒肴は今やお馴染みとなっているが、中原さんはソースとして用いている。

海苔の佃煮を混ぜる事で磯の芳しさが加わり、シャリの軽い酸味が活きており、これはソースだと感じた次第。

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この後、握りに移行します。

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ガリ

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アオリイカ

最初の食感が個性的でただトロトロではないのは包丁仕事のお陰。

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メイチダイ

熊本産。脂が強く、旨味もしっかり。

北海道で珍しいタネを用いるなと思ったところ、某神経〆の名手の魚を仕入れておられた。

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北寄貝

この、もの凄い甘みには心底驚いた!

長万部の黒北寄貝との事。

大変肉厚ながらに繊維質のほどけは良い。

ジャクジャクと良い音を立ててほどけゆく。

香りは上品ながらに十分楽しめる。

さらっと火を入れておられ、甘みを感じさせる温度帯も良い。

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鮪トロ

何と美国産!夏場にこの海域で揚がっているとは驚いた。

味わいは、脂が強く、それなりに香りも楽しめる。

魚で生態系と気候の変化まで感じられるのは嬉しい。

一昔前のようにブランド産地で脊髄反射するだけでは、今後の漁業を考えられない。

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マスノスケ(オオスケ)

漬けにして、エシャレットの微塵切りと共に。

エシャレットの香りは嫌みが無く、合っている。

脂の乗ったマスノスケを活かしている。

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小鰭

〆て5日との事で、かなりの脱水感。

朧を噛ませているが、その必然性のある小鰭の仕事。

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漬け鮪TKG(勝手にネーミング)

これは見た目を裏切らない、誰もが喜ぶ味(笑)

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海胆

イチカワの赤利尻で、ランクはピンク。

無添加の箱海胆で濃密な甘みなので、昆布塩が合う。

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いくら

仕事が面白く、西京漬けにしている。

真夏の新ものと言うだけで嬉しいが、独創的な仕事も魅力的だ。

皮は柔らかく、とろーんととろける。

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干瓢巻き

味わいに加えて食感も力強い干瓢は、正しくクラシカルな江戸前仕事。

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玉子

みっちり且つしっとりな玉子。

ぷにゅっと反発する感じもある。

海老の香りが良い。

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ゴールドキウイのソルベ、パンナコッタ

ゴールドキウイのナチュラルに強い酸味を、ミルクが受け止める。

 

繰り返しになりますが、単に個性的な仕事を試みているだけではなく、仕入れも個性的な点が素晴らしいです。

どんな食材と出会えるのか楽しみになるお店なので、引き続き足を運びたいと思います!

 

店名:鮨しののめ

シャリの特徴:飯尾醸造の酢を赤1米2種類ブレンド。温度や硬さなど良好。

予算の目安:おまかせ12,000円~

最寄駅:円山公園駅から400m

TEL:011-215-4144

住所:北海道札幌市中央区南1条西22-2-15 シーズンビル2F

営業時間:17:00~22:00

定休日:木曜