すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 296 鮨の間@松山(愛媛県)

鮨の間

こちらは松山でミシュラン二つ星に輝く鮨店です。

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お店は雑居ビルの1階にありますが、店内の空気は気持ち良く、キリッとした雰囲気も作っておられます。

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天井など店内の各所に散りばめられた「遊び心」が可愛らしいです。

訪問の際には是非ともキョロキョロ見てみてください。

鮨の間さんのコースの概要

こちらのコースはおまかせ一本ではなく、ある程度お客さんの希望に沿った形で提供されております。

僕は「酒肴は握りで出ないものに絞り、握りを中心で」とお願いしました。

結果的に刺身5種、酒肴2種、握り12貫+椀、玉子と言う構成でした。

 

頂いた感想としては、コストパフォーマンスに長けたお店だと感じました。

上記の内容に日本酒を2合頂き、1.4万円ほど。

ミシュラン二つ星のお店としては非常に良心的な価格です。

そして、接客も魅力の一つ。

実にフレンドリーなので、若い方でも緊張せずに楽しめるかと思います。

 

ただ、難点としてはお店のキャパに対して握りの精度が追いついていない点が挙げられます。

途中、満席になった頃から握りの形が悪くなり、鮨が2度も崩壊してしまいました。

鮨の崩壊は有名店、実力店では滅多に無いので、これは早急に改善された方が良いかと思います。

残念ながら酒飲みの同伴客が多い立地となりますが、基本に立ち返り鮨店の本分を考えられると、

将来の糧になると確信を持って断言できます。

現状に甘んじてしまっては、どこかのタイミングで行き詰まってしまいますので…

 

シャリについては、やや硬めに炊き上げ、赤酢を用いつつ甘みを用い、塩気は穏やかな仕上げ。

シャリの完成度は高く、東京の赤酢使いと違う点は好印象です。

まろみのあるシャリは松山の魚を活かすと感じました。

 

最後に、細かい事を言うと、お茶については薄い玄米茶ではなく、濃い粉茶の方がベターかと思います。

惜しい点が散見される結果となりましたが、是非とも改良されて、松山を代表するお店に育って欲しいと感じました。

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この度頂いた日本酒

川亀・純米吟醸中汲み無濾過生900円、城川郷・特別本醸造原酒900円

城川郷は純米もあったが、敢えてアル添の原酒を選択。

 

鮨の間さんのコースの詳細

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河豚のざく

味付けが強過ぎず良い。

色々な部位を楽しめる。

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アコウ、アブラメ

瀬戸内の夏を代表する高級白身魚。

アコウ(キジハタ)は脂はそこまで強くないのに旨味が凄い点が魅力。

アブラメ(アイナメ)は名前に似つかわしく濃厚な味。

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アオリイカ(右)、ヤリイカ

アオリイカの粘度と甘みが分かる食べ比べ。

これは面白い。

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茶碗蒸し

トリュフオイルとクリームチーズを使用。

味は良いが、出す意味については疑問符を抱く。

トリュフオイルは安易な足し算でしか無く、食材に香料を加える事に等しい。

せめて地の季節を感じさせる食材も用いて、それと調和させていれば印象は大分異なるのだが…。

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これはオリーブオイルと共に。

発想は良いのだが、オリーブオイルは風味が弱く、やや質が落ちていた(酸化気味)。

門外漢が「門内」の調理法や調味料を借りる場合、「門内の人間」に肉薄する知識が必要である。

でなければ、換骨奪胎にはなり得ず付け焼き刃となってしまう。

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これもオリーブオイルと共に。

こちらは脂が乗った鰹が牽引するので印象が良かった。

 

この後、握りに移行します。

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ガリ

甘みの強いクラシカルタイプ。

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昆布〆。ばっちりと〆ており、昆布の香りも強く乗せている。

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金目鯛

これも強めの昆布〆。

昆布〆2連発とは、ストーリー的に野暮ッたい。

香り、旨味的に、昆布〆は重たくなる為。

白身魚については、何も昆布で〆る事自体が江戸前仕事ではなく、〆るか否かの選択肢や〆る塩梅などが江戸前仕事の本質である。

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イサキ

寝かせて旨味を強めつつ、食感も楽しませるイサキ。

これはシャリと合っており、安堵を抱く。

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微量だが、やや臭いが出ていた。

大変暑い日であったので、この気候だと分からないものかな…と慮った次第。

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車海老

茹で上げで、レアに仕上げつつシャクシャクした食感。

これは魅力的な仕事である。

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時期的に味が弱い鯖をしっかりと〆ている。

ただ、何よりも残念だったのが、シャリが崩れた点。

車海老の前に満席となったので、混雑の影響がダイレクトに出ている。

写真のシャリを見て頂ければ、皆様も分かって頂けるであろう。

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手を伸ばして持ったところこれまた崩れたので、救おうとして素早く動かしたところ、鰯が落下!!

鰯の脂が多く、握りの際に酢飯を成形出来なかった事も一因。

脂が多い鰯は強めに〆ると握り易い。

強めに〆ても旬の上物は味が良いので。

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穴子

香り旨味ともに乏しく、煮ツメも弱い。

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ノドグロ

炙り。とろんとろんの裏切らない脂。

酢橘の量が多い点は課題。

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鮪赤身

さらす程度の漬け。

煮キリは少し甘みを感じさせる調味。

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赤出汁

濃密な出汁!

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鮪大トロ

筋張っているので細かく入れた包丁が良い配慮。

しかし、やはり大味な鮪で、香りも無い。

食感もゴワゴワしている。

夏場は無理に使わずとも良い。

良い赤身があれば、それで十分夏鮪の魅力は伝えられる。

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海胆

濃厚な甘み!

これはこの時期に訪問して良かったと感じさせる。

なお、松の香りがあり、これは今まで松山産の赤海胆の特徴だと思っていたのだが、海胆に詳しい某親方から聞くところによると、木箱の匂いとの事であった。

確かに、同じ様な木箱を用いる由良や唐津では感じない匂い。

個人的に大きな瑕疵であるとは思わないが、海胆本来の甘みを伝えるならば、海胆漁師は改善した方が良いかもしれない(今後の検討材料とします)。

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玉子

出汁巻き玉子。 

 

店名:鮨の間(すしのま)

シャリの特徴:赤酢を使用し、酸味が強めのシャリ。温度管理が抜群。

予算の目安:おまかせ13,000円〜

最寄駅:勝山町駅から350m

TEL:089-932-6101

住所:愛媛県松山市二番町1-5-18 アヴェニール神戸館1F

営業時間:18:00~23:00

定休日:日曜