すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 295 くるますし@松山(愛媛県)

くるますし 

こちらは松山で暖簾を継ぐ若き俊英のお店です。

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僕はお店を訪問する前に文字情報をあまり見ず、握りの写真を見る程度に留めるのですが、訪問して鮨好きからの評価が高い理由に納得しました。

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お店は大変スタイリッシュな外観で、内装もキリッとしております。

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店内の空気は淀みが無く、清潔感ばっちりです。

正に檜舞台と言える漬け場で、親方は刃渡り30センチの大物を軽妙に振るわれる弱冠28歳。

如何なる人間であっても歳で判断する性質を持ち合わさない自分ですが、年齢に対するその才能には驚かされました。

くるますしさんの概要 

具体的に自分が驚いたポイントとしては、以下の通り。
・タネに対する細部の仕事への配慮
・熟成の見極めの巧さ
・親方の味覚の精度
・調味料、食材のセンス
・シャリの味覚調整のみならず、温度調整も行う芸当

「タネに対する細部の仕事への配慮」については、職人であれば誰しもがやっているだろう、と思われるかもしれません。

ただ、こちらの二代目親方・高平康司さんの配慮たるや、「研究者」とも言える程だと感じました。

伝統的な鮨の「仕事」のみならず他ジャンルでの「調理」を意識した新たな仕事を生み出そうと言う気概に満ちた配慮です。

そして、特に最後の温度調整に関しては、東京の人気店の幾つかが試みている非常に新しい仕事であるが、それを松山で試み、成果を出されている点に目を瞠りました。

 

握りの手も軽やか。

シャリは酸味が強い、赤酢のもので、当世流。

過度に硬く炊く事無くほろりとほどけさせ、温度は少し温かめ。

味付けは上品ながらに個性を持ったシャリだと感じます。

 

最後に、オススメ頂いた自然派ワインとの相性が良く、印象に強く残りました。

僕は鮨店ではビールか日本酒しか飲みませんが、信用出来る方ならば魅力的だと気付かされました。

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熟撰生、石鎚・吟醸夏吟、山丹正宗・短稈渡船、賀儀屋・番外編シングルタンク直汲み純吟No. 20、石鎚・純吟山田錦、Dario Princic ヴィノビアンコ 2015

 

くるますしさんのコースの内容

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赤海胆

二神島産。海胆だが3日寝かせているそうで、西条の「絹かわなす」の焼き茄子と合わせている。

絹かわなすは甘みが軽やかで、焼きの香ばしさは上品。

海胆の甘みが強いので、邪魔せず味覚的バランスを取っている。

出汁の塩梅も上々。

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白甘鯛

八幡浜産、12日熟成。

これも良い仕事。

寝かせる代償を皮目の炙りで補強しており、焼き霜ではない点にセンスを感じる。

旨味は熟成を掛けているので強い。

香ばしさと食感によって熟成に新たな魅力を与えている。

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胡麻鯖の漬け

地物。凄い脂の乗りに驚く!

今までに九州で頂いたものも含めて、トップクラスの美味しさ。

脂に加えて、ぶりっとした食感は胡麻鯖の妙味。

これはびっくり胡麻鯖だった。

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赤海胆と同じ二神島産。

香りが素晴らしい。

旨味もゼラチン質もたっぷりで、身はぷりっぷりっと気持ち良い食感。

塩、酒、水、全て不使用との事!

抜群であった。

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鮑の肝

身と同じく香りが良い。

素晴らしく濃密な味わいで、シャリの酸味と乳化する。

直前まで餌を食べていたと言う活の鮑との事だが仕事が良い。

鮑は柔らかくすれば良いと思っているお店や、風味の弱い鮑を出す高額店が馬鹿馬鹿しくなる。

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マナガツオ

塊(サク)の状態で焼き、福井の地芥子を添え、中島の新玉ねぎ醤油漬けと共に。

藁で燻した後に炭火で焼いて仕上げる調理の細かさ。

それも、身をしっとりと仕上げており、美味い。

燻蒸香が食欲をそそり、付け合わせ調味料のセンスも魅力。

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鱧の出汁

塩ではなくかん水数滴で調味、あとは水ではなく吟醸酒を使用。

旨味がたっぷりで、ゼラチン質も滲み出ている。

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ガリ

甘みがあるが、赤酢の旨味がまとめるガリ。

噛みしめると酸味と辛味が高まる。

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スルメイカ

食感を楽しませる包丁。

同時に、シャリを味わわせる一貫目だと感じる。

藻塩の水塩を用いており、塩気がまろやか。

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アコウ

これは1日のみ寝かせている。魚体は1キロ。

薄切り二枚でつけられ、甘みが素晴らしい!

シャリの酸味との相性も考えられている。

食感の強さを巧く表現するための薄切り二枚だと感じる。

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イサキ

10日熟成。バツッよりもぷりっとした食感。

旨味は強く、香りは穏やか。

シャリの温度が封じ込められた脂を活かす。

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鮪赤身

これはシャリの味わいが先行する印象を抱く。

漬け加減はともかく。

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縞鯵

12日熟成。旨味と脂がひたすら強いので、シャリに合う。

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鮪中トロ

湯霜にして漬け。赤身と同様に脂、旨味がしっかりなのでシャリに合うのだが、直前にシャリを交換され、温かいシャリに合わせられた。

よって、脂が活性化し、中盤を盛り上げてくれる。

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小鰭

朧を噛ませ。しっとり〆だが、酢を回しており、小鰭の香りは上品にまとめている。

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ワタリガニ軍艦

地物。内子も使用し、熱々で乗せる。

ワタリガニの香りを楽しませる一貫。

内子によって旨味を補強。

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Dario Princic ヴィノビアンコ 2015

親方との話の中でワインと煮ものの相性の良さを聞き、試しにお願いした。

結果的にこの後のタネとの相性が本当に良く驚く。

ジョージアのワインだと更に決まるとの事。

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江戸前の古典的な漬け地の味付けと浸透具合。

しかし、火入れは軽やか。

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赤海胆

八幡浜産。素晴らしい温度の戻し方。

溶けやすい海胆であるが、常温まで戻している。

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車海老

地物。茹で上げ。短時間で茹で上げているが、頭とボディで湯に通す時間が異なる。

車海老の甘みを引き出している。

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穴子

笹の葉を用いて温め、しかも焼き込んでいる。

身はみっちりした食感。

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玉子

芝海老と大和芋を使用。

みっちり、じゅわりとした食感。

甘みは軽やか。

 

文中にある事柄に加えて、微調整するポイントは存在します。

しかし、それを補って余る才覚があるのは間違いありません。

また、自身の仕事を追求する月日も十分にある年齢。

またお伺いするのが楽しみです。

 

店名:くるますし

シャリの特徴:赤酢を使用し、酸味が強めのシャリ。温度管理が抜群。

予算の目安:おまかせ13,000円〜

最寄駅:勝山町駅から200m

TEL:089-932-3689

住所:愛媛県松山市一番町1-6-9

営業時間:1部18:00~、2部20:30~

定休日:水曜(2019年8月より)

※完全予約制となります