すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ日本料理編 No. 179 割烹まつ喜@奈良(奈良県)

割烹まつ喜(まつ㐂)

こちらはならまちにある小体な日本料理店です。

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建物こそ一軒家ですが、入口は控え目で、カウンター席は僅か4席のみ。

現状ネット上の情報が少ないものの、料理写真を見て美味しいと当たりを付けて訪問しました。

そして、結果的に大正解。

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奈良の川波さん、大阪の吉兆さんで修行されたと言うご主人の腕前は確かであり、素朴でありながら食べこんでいる人も満足させる説得力があります。

特に椀の吸い地の完成度は抜群で、鮎の塩焼きの技量も申し分ありませんでした。

この2点においては東京ではまず頂けない味わいなので、西の味が好きな関東の方は訪問して損は無いと思います。

もちろん、関西の方であっても、実直で美味しい日本料理を求める方ならば満足されると思います。

時代に迎合しない味、これこそが将来に残っていく味なのではないか?と、飲食バブルで狂う昨今の状況に対して思うばかりです。

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頂いた日本酒

篠峯・純米吟醸雄町夏凛、みむろ杉・純米大吟醸

後者はキリリとした苦味が持ち味の、爽やかな純米大吟醸。

華やかさは程々に、スッキリとしているので、料理を邪魔せず、同時に味がある掃愁帚。

まつ喜さんのコースについて 

こちらのコースはコースは8,000円と12,000円の2本となります。

主に大和牛を用いるかどうかの違いとの事でしたので、前者を予約の上で訪問しました。

ただ、メインの御料理はオプションで選べるので、牛肉好きでなければ前者+オプションが良いかもしれません。

僕は+1,600円で【泳ぎ鮎塩焼き】をお願いしました。

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鮎好きであり鮎の塩焼きは焼きの技量を表すので頼んだのですが、「天然物」ではなく「泳ぎ鮎」と表記されているのが粋だなと感じました。

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まつ喜さんの御料理の詳細

先付

長芋の寄せ、ミニトマトのブランデー漬け、根室の海胆。

あしらわれているのは梶の葉。

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古く平安時代には、願い事を書いたとされる葉っぱ。

実に爽やかな先付。

ひんやりと冷えた温度は勿論、長芋の自然な甘みと香りがふわりと漂い、清涼感がある。

出汁は鰹節に鮪節も混ぜており、醤油はコクのあるものをバシッと利かせている。

メリハリがある。

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蒔絵が美しい器は正法寺椀。

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椀の出汁は本枯節と水出汁昆布のみで、塩気は穏やかな吸い地。

大変美味しい。

鰹と昆布の両方の旨味を引き出しながら、香りを一切立てていない点は見事。

椀種は帆立真薯で帆立の甘みと風味が吸い地によって活きる。

秋田のじゅんさいのシャクッとした食感、玉子素麺のぷるんとした食感がアクセントになる。

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お造り

和歌山産の鰹、淡路産の鮃、五島のケンサキイカ。

調味料はちり酢、造り醤油、淡雪塩。

器は何と黄瀬戸!

モダンなデザイン性で驚いたが、山口真人さんの織部リム皿となる。

鰹は藁で炙って、地芥子を添えている。

脂が乗っており美味。

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八寸

ハスイモ・つるむらさき・モロヘイヤのお浸し、イタヤガイ、ジャガイモと三度豆の胡麻クリームアーモンド和え、鬼灯の中に揚げ玉蜀黍、鴨ロース、自家製スモークサーモン、枝豆。

奈良食材メインの八寸。

酢の物は青菜の香りを楽しませ、野菜使いが良いと感じる。

胡麻クリームアーモンド和えは胡麻の風味が強いので馴染んでいる。

枝豆は粒が大きいものを選んでおられる模様。

全て満足度が高いのだが、もっと振り切っても良いかと感じた。

全体的に端正な御料理が多いので、八寸で「遊んで」も決して下品ではないと思う。

「ご主人ならでは」の御料理で固めると、八寸のみならず全体の満足度、飲食を通しての喜びも高まるだろう。

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鮎の塩焼き

件の泳ぎ鮎は大変イキが良かった。

肌艶も良い。

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焼かれた後の盛り付けは、題して「縄張り争い」との事(笑)

付け合せの野菜はオクラで、ダビデの星と言う品種。

鮎は長時間掛けて焼かれており、焼かれている際に脂が滴り、炭が爆ぜていた。

よって燻された香りも付いており、格別の味となっている。

焼きによって旨味と香りを凝縮させており、縮こまった肝は良い風味。

振り塩も文句無し。

また、ダビデの星もうまい。

意外にも柔らかかったが、これは焼きによるものだろう。

甘みと香りが強く、名脇役であった。

調味料も単なる蓼酢ではなく、蓼に出汁とワインヴィネガーを用いたもの。

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炊き合わせ

全て地場産の野菜を使用。

大和丸なす、万願寺唐辛子、ヤングコーン。

繰り返しになるが、野菜の引き立て方が巧み。

出汁や調味も野菜の良さを崩しておらず、秀逸。

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お食事:じゃこ山椒ご飯、留椀、香の物

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お米は奈良のヒノヒカリ。

僕はサーモンハラスやトリュフを用いたご飯よりも、こう言うシンプルなご飯が好きだ(笑)

香の物も白菜の塩漬け、小梅、四方キュウリの糠漬けと、大変魅力的!

また、留椀も抜かり無く、トマト出汁を利かせている。

トマトの酸味が爽やかであり、旨味も加えられている。

敢えて説明すると、トマトはインド料理に於いて出汁として用いられているので、酸味や甘みだけでなく旨味も強い食材である。

塩梅が良かった。

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水菓子

白桃のアイス、ゴールデンキウイ、ルバーブソース。

白桃の強い甘みにゴールデンキウイとルバーブの酸味が合う。

 

異なる季節に異なる食材を求めて訪問します!

 

店名:割烹 まつ喜(まつ㐂)(かっぽうまつき)

予算の目安:コースは8,000円と12,000円の2本、メインはオプションで選択可能

最寄駅:近鉄奈良駅から600m

TEL:0742-93-6222

住所:奈良県奈良市東城戸町16-1

営業時間:お昼11:30~14:30(L.O.12:30)、夜17:30~22:00(L.O.19:30)

定休日:月曜、第3日曜、火曜ランチ

※完全予約制となります