すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ日本料理編 No. 171 たまる@四谷三丁目

荒木町たまる

こちらは、四谷三丁目(荒木町)の車力門通りから一本入った小道にある、昔ながらの割烹です。

昔からお店の前を通る度に気になっておりました。

なにせ、入り口の低い場所に瓦が敷かれており、夏は「あなご」、冬は「あんこう鍋」と書かれた提灯が掲げられているので。

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感覚的に「食べさせる店」の匂いを、20代の頃でも感じた次第です。

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そう、こちらは季節によって看板メニューを変えるお店。

4~9月は穴子、10~3月は鮟鱇と食材を絞っており、食べるのが好きな人間には堪らない魅力があります。

そして、調理法は今は稀有となった江戸料理の仕事を用いておられます。

 

親方は奥様と二人三脚でお店を営んでおられ、御年80歳になるとの事です。

営業終了後にテニスラケットを肩に掛けてコートに行かれてもおかしくない風貌でしたので、お年には驚きました。

とは言え、先代の親父さんより20代の頃から料理を仕込まれたそうで、筋金入りの職人さんだと感じました。

たまるさんのお料理の概観

御料理の特徴としては、形容するのが少々難しいところです。

こちらの御料理は食材に施された手数が少なく、大変素朴。

メニュー数も決して多くはありません。

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しかし、問答無用に旨く、シンプルなのに個性と存在感を感じさせる味。

なかば「専門料理店」として営んでこられた説得力を感じます。

「食材に施された手数が少なく、大変素朴」と記載しましたが、下処理は徹底しており、席に座るとテンポ良く提供してくださります。

また、焼きものの熱源は、当たり前のように炭火。

見栄えの良いお店でも、

ガス火のサラマンダーや炭であってもオガ炭である事が多いので、炭火はもてなしの温かみを感じさせてくれます。

基本的に予約を受けておらず、常連さんがメインであるため、いつ来られても出せるよう、日々仕込まれているそう。

職人さんの矜持を感じさせます。

 

半世紀以上の歴史があるお店ですが、メディアの取材は断ってこられたそう。

写真の撮影許可を取った際、「メディアじゃなければ良いよ」と冗談めかして言われました。

こちらは御料理の味に加えて、ご夫妻の味が魅力と感じました。

今後このようなお店が少なくなっていくのは、本当に寂しい事です。

 

今回は旬の穴子に狙いを定めての訪問となります。

 

たまるさんのお料理の詳細

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お酒はビールは赤星、

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日本酒は白鷹純米のみ。

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先付

スッキリと冷えた、出汁で煮た冬瓜。

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ひらめ昆布〆

バシッと〆て、昆布の旨味も香りも浸透させている。

一日〆た程度ではこうはならないだろう。

とは言え、鮃の香りも楽しませてくれる。

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醤油を付けずとも旨い昆布〆だが、

付け合わせの自家製醤油は昆布〆専用との事で、邪魔をしない味わい。

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素焼

一般的に言うところの、白焼き。

噛みしめた瞬間に、誰しもが笑顔になる。

ぷりっ!と身は弾け、じゅわっ!と旨味が滲む。

ひたすらジューシーで、香りが良い。

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肉厚で香りの良い穴子なので、産地が気になったが、親方は「産地にはこだわらない」、「自分が美味いと思ったものを使い、それで良い」との談。

恐らく今回は江戸前のものだろうと推察。

対馬産は使った事が無いそうである。

付け合わせは肝の山椒煮。

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調味料は山葵醤油。

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すずめ焼き

雉焼きはよく聞くところだが、雀焼きとは。

魚を背開きにして串に刺し、醤油ベースのタレで焼いた料理。

白焼きとは異なる香ばしい香りが良い。

タレには砂糖を用いていないため、大変スッキリしている。

醤油と穴子の骨や頭などの出汁を合わせたタレとの事。

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照り焼き

こちらは【すずめ焼き】のタレに甘みをつけたものを使用。

甘みのある醤油ダレは日本人ならば誰しもが好きな味わいだが、こちらのタレは甘みの塩梅が非常に良い。

上品な甘みなので、穴子の旨味、風味を楽しめる。

そして、最初からブレる事無く、ぷりっ!じゅわっ!と良い焼き加減。

焼きは奥様の手によるが、熟練の腕前を見せてくれる。

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穴ざく

酢の強い酸味が昔ながら。

それでも嫌味ではなく、最後には飲めるほど。

独活と胡麻が独特な組み合わせ。

酢と甘みを付けて焼いた穴子は鉄板の組み合わせで、うざくよりも軽やかな味わいである。

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素揚

ありそうで無い逸品。

カリッと弾けて、繊維質がほろっとほどけてゆく。

皮はバリバリ食感で、香ばしい。

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穴子めし

甘みを付けて炊いた椎茸と白焼きの混ぜご飯。

椎茸の甘みと風味が郷愁を誘う。

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肉厚な穴子をたっぷりと使用されており、見た目はざくばらんだが、贅沢な締めとなる。

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当然ながら香の物は自家製。

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以上とビール1本、日本酒2合を頂き、9,000円弱。

価格については賛否両論あるかと思うし、確かに安くはないと思います。

ただ、個人的には舌と心に沁み渡る料理であり、本質的な「うまいもんや」とは、こう言ったお店だよな…と感じました。

 

店名:たまる

予算の目安:お酒を飲んで1万円前後

最寄駅:四谷三丁目駅から300m

TEL:03-3357-8820

住所:東京都新宿区荒木町7

営業時間:予約次第?

定休日:水曜、日曜

※事前予約が望ましい