すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 282 登喜和@新発田市(新潟県)

鮨登喜和

こちらは新潟県、新発田(しばた)にある鮨店です。

新発田と言えば、新潟県で唯一現存建築の残る新発田城があります。

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天守閣はありませんが、本丸表門と旧二の丸隅櫓は見応えがあります。

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そのような新発田で、こちらは3代続く歴史ある鮨店。

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1954年に創業された老舗ですが、現在は3代目の小林宏輔親方が付け場に立ち、先代と母上、奥様とともに家族経営をされております。

当代は東京で修業された後、暖簾を継がれ、大の鮨好きらしく、全国の鮨店を食べ歩かれているそうです。

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歴史のあるお店ですが、店内の空気は清浄そのもの。

個室に加えて奥にカウンターがもう一台あり、地元の方の様々なニーズに対応している事が分かります。

昔ながらの家族経営の鮨店とは、嬉しくなりますが、それだけでなく使用するタネのほぼ全てが新潟県産と言う点も嬉しい限りです。

やはり、地方で頂く江戸前鮨は地物主体でないと面白くありません。

 

お昼のおまかせ握りは10貫5,000円と13貫8,000円の2通り。

夜は、お料理と握り(全20種)10,000円があります。

この度はお昼でしたが、ランチ限定の10貫を選択せず、13貫の方を選びました。

結果的に、大満足。

石川県とはまた異なる日本海の魚の凄さを知るとともに、親方の江戸前仕事の精度の高さを実感しました。

お話を聞いたところ、仕事に加えて調味料も変えておられるようで、試行錯誤を繰り返してスキルアップされている事が分かりました。

 

親方は小気味良い手返しで握られ、速いです。

シャリの最大の特徴は酸味。

しっかりと酸味が立ち、程良い塩気が引き締めます。

使用する新潟のタネは脂が乗ったものが多いため、この酸味が効果的に機能します。

お酢は米酢主体で、赤酢もブレンドされている模様です。

お米はやや硬めの炊き加減で、もっちりしており旨い。

コシヒカリ100%(新発田産)との事ですが、ベタ付くような粘りは皆無で、もっちりしていながら、ほどけ加減が良好です。

ちなみに、お酢の醸造所は村上の岩船酢店で、他の調味料も新潟産のみ使用されると言う徹底っぷり。

これぞ新潟で、新発田で頂くべき鮨店の一つだと感じました。

 

登喜和さんの握り

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先付

佐渡産の黒もずく。珍しい温製!

温かい出汁で提供され意外性を感じる。

岩もずくよりも太く、食感はジャキジャキ!

そして、香りしっかり。

フレッシュさを感じさせる食感と香り。

極薄切りの酢橘に調理センスを感じた。

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ガリ

甘みを付けつつ辛味がキリリと漂うガリ。

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レンコダイ(キダイ)

間瀬(新潟市西蒲区)産。

しっとりした食感で、鯛自体の甘みを感じさせる。

かすかに柚子皮を使用。

淡い味わいのキダイの活かし方に、期待が高まった。

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クロムツ

粟島(村上より北部の島)産。

提供前に皮目に焼き串を当ててジュッと焼き付け。

その香りが良く、クロムツ特有の磯の香りを軽くしている。

脂が旨く、余韻が強い。

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墨烏賊

新発田の漁師・柳さんの墨烏賊。

旨味が強いので伺ったところ、予想通り寝かせておられ、3日。

墨烏賊らしい上品な甘みを強化し、十分楽しませてくれる。

しかし、何よりも特徴的なのが食感。

パツッと弾けるような食感と、とろんととろける食感があり、細かい鹿子切りによって食感を複雑化させるのに成功している。

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イシモチ

これは炙っての提供。

パリッ!と皮が弾け、身はとろんととろけ、脂が横溢する。

結構焼き込みつつ、中心はしっとり。

香ばしさも含めて魅力的な仕事。

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メジマグロ中トロ

佐渡産。

香りはメジらしく淡いが、噛み締めるほどに脂が滲み、シャリの酸味と乳化する。

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桜鱒

加治川(新発田)産。

香りが抜群で、とろ~んと柔らかな身には旨味をしっかりと蓄えている。

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バイガイ

佐渡産。

包丁で細かく叩き、それが良い食感を生み出す。

歯切れが良いので強い甘みと旨味を満喫させてくれる。

また、自家製の海苔のパウダーが魅力的。

佐渡産の生海苔を乾燥させているそうで香りが良く、バイガイらしい磯の香りを緩衝し、それでいて阻害しない範疇の使用量。

素材の美味しさを引き出す完全な仕事だが、これだけ9人分を握り置きされた点が謎。

こちらに限らず、軍艦以外の握りは溜めない方が粋である。

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河豚白子の磯辺焼き(下には酢飯)

佐渡産。

これは問答無用に美味しいヤツ。

濃密でクリーミーな白子は香りが良く、臭み皆無。

河豚の香りを楽しませてくれる。

中に鰹醤油?を少量仕込んでいる模様。

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小鰭

食感はかなりしっとりソフトながら、水っぽさや臭みは無い。

しっとりながら鈍らな〆加減ではない。

個人的にはもう少し強めの〆が好みだが、地方の小鰭としてこれは良い。

なにせ、強めの〆と言っても単に〆すぎて小鰭の良さを引き出していない事も多いので。

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アラ(九絵ではない)

粟島産。

脂が非常に強く、また旨味たっぷり。

喉に残る程の強い余韻に、力強い香りが魅力だ。

クロムツやイシモチなどの強い白身のタネも用意しつつ、アラを最後に配置するストーリー性、構成力は親方の強み。

薬味は浅葱と生姜の合わせ調味料か。

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新潟東港(新発田の西)産で、1週間熟成。

浅葱と生姜の合わせ調味料を噛ませている。

熟成を掛けてもぷるんぷるんと大変力強い食感。

香りと脂も楽しませてくれる。

仕入れた当日は身がいかっていたそう。

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ムラサキウニ

八戸産。

口どけが良く、甘い。

スッキリした香り。

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南蛮海老

佐渡産。新潟名物。

海老味噌ととも和えにしている。

濃厚な甘み!そして、海苔の香りと実に合う。

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アカムツ(ノドグロ)

これも新潟名物。

提供方法が凡庸ではなく、炙って握った後に出汁茶漬けにする。

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薬味は手摘みの花山椒。

出汁はアカムツの潮汁だろうか?

一体感が非常に高く、シャリの酸味も合わさりスッキリした印象であった。

 

仕事の精度の高さに加えて郷土性を兼ねそろえているので、異なる季節に再訪したいと感じさせました。

 

店名:鮨 登喜和(すし ときわ)

シャリの特徴:米酢に赤酢をブレンドし、酸味を強調したシャリ。ご当地タネとの相性が抜群。

予算の目安:ランチ:握り10貫5,000円、13貫8,000円、夜:13貫8,000円、お料理と握り(全20種)10,000円

最寄駅:新発田駅から1,200m

TEL:0254-22-3358

住所:新潟県新発田市中央町3-7-8

営業時間:12:00〜13:30、18:00〜21:30

定休日:月曜