すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 279 鮨桂太@築地

鮨桂太

こちらは、親方・青山桂太氏の経歴を聞いた瞬間に、「訪問せねば!」と思ったお店です。

その経歴とは、札幌で僕が一番好きな鮨店である和喜智さんで修業された後、今は無き水谷さんで2年半、銀座の太一さんで3年半修業されたというもの。

 

これは、鮨好きであれば心惹かれるキャリアでしょう。

特に、硬派な鮨好きであれば、否応無しに期待が高まる筈。

とは言え、オープンは2017年9月なので、1年半ほど寝かせての訪問となってしまいました。

和喜智の田村親方も「是非応援してやってください」と力強く話しておられたので、申し訳ない限りです(笑)

ちなみに、青山親方は1987年生まれとの事で、お若い!

それにもかかわらず、2018年にミシュランを獲得されたので、今後が大いに楽しみです。

 

お店は築地の静かな場所にあり、数軒隣には紹介制のスッポン料理店である六寛さんがあります。

六寛さんは首相が通うような完全紹介制のお店ですが、いやはや、しかし、桂太さんの外観も実に素晴らしい。

f:id:edomae-sushi:20190413172735j:plain

期待を高めてくれる凛々しいデザインです。

そして、店内に入ると檜の一枚板のカウンターがお出迎え。

席と席の間隔も広く、大変寛げる上質な空間です。

f:id:edomae-sushi:20190413172713j:plain

肝心の味はと言うと、率直に秀逸。

赤酢のシャリとしては完成度が抜群で、味わい的にも温度的にも稀に見る美味しいシャリだと感じました。

赤酢のみ3種類をブレンドされており、横井2種に千葉・私市(キサイチ)醸造の酢を用いておられるそう。

硬めに炊き上げ、酸味を感じさせつつ、赤酢らしい旨味が広がりゆくシャリ。

お米は最初にぱらりと弾け、最後に大粒が残るような印象であったため、ブレンドされているのかと感じましたが、実際は単一で、佐渡島産のコシヒカリのみとの事。

つまり、お米のほどけ加減は完全に握りの技術のみによるものであり、これには感服致しました。

 

そして、酒肴も大変魅力的。

個々の味わいが良いのは勿論、鮨店の酒肴として行き過ぎない範疇で個性をしっかり表現されており、「引くセンス」が素晴らしい。

「凝った料理」にしていない点は、今の時代において大変好感が持てます。

 

本記事の後、再訪してランチのおまかせも頂きました(5,000円、10,000円の2本)。

もの凄いボリューム感のある内容でした(笑)

 

f:id:edomae-sushi:20190413172710j:plain

この度頂いた日本酒

ゆきの美人・純米、大信州・辛口純吟、惣譽・特純、大観・雄町純吟、信州亀齢・純吟無濾過生。

 

再訪記事もございます。

 

鮨桂太さんの酒肴と握り

f:id:edomae-sushi:20190413172711j:plain

真子鰈

甘みと香りが弾け、鮃との明確な違いを実感し、季節の変遷を楽しませる。

ああ、夏に向かっているんだな…と。

f:id:edomae-sushi:20190413172712j:plain

ホタルイカ

「カリカリ焼き」との事。

長時間焼いて下足部分をカリカリに仕上げつつ、肝はしっとり仕上げているところが良い。

様々な調理が出きった感のあるホタルイカで個性を表現されており、初手でセンスを感じた。

しかも、シンプルな調理で。

f:id:edomae-sushi:20190413172714j:plain

タイラギ磯辺焼き

肉厚な切りつけでレアに仕上げている。

これは、旨い。

f:id:edomae-sushi:20190413172715j:plain

鮪山葵和え

鮪は紀州。鮪の香りがじんわりと広がり、鉄の余韻が高まり、酸味がふんわりと漂う。

トロの方は旨味も強く、香りもある。

f:id:edomae-sushi:20190413172716j:plain

鰯の磯辺巻き

キリリと酢を利かせ、磯辺巻きとして特にサッパリ感が強い。

f:id:edomae-sushi:20190413172717j:plain

煮蛸

まず、切りつけられた瞬間に力強い店内が店内に広がった。

あたかも夏場の黒鮑のようで、感動。

蛸の香りは食欲を刺激する。

産地は佐島。

火入れは食感優先だが、絶妙な塩梅であり、決して硬くない。

f:id:edomae-sushi:20190413172718j:plain

鮟鱇のとも和え、花山葵の酢漬け

この組み合わせは大変良い。

鮟肝の強いコクを花山葵の酢漬けが流してくれ、この後の握りへ綺麗に連結してくれる。

とも和えにされているのも、ただ鮟肝だけで頂くよりも郷土性(北海道の)があり嬉しい。

f:id:edomae-sushi:20190413172719j:plain

ガリ
甘みは柔らかく、辛味を優先した味付けだが、決して辛すぎない。

f:id:edomae-sushi:20190413172720j:plain

鮪赤身

漬け。これは一体感が高い。

旨味の旨味とシャリの酸味が一体化。

包丁の入れ方も良い。

f:id:edomae-sushi:20190413172722j:plain

小鰭

オボロを噛ませているので甘みを感じ、小鰭はみっちり〆つつ、しっとりジューシィ。

これもまた素晴らしい〆加減。

そして、オボロの調味も良い。

f:id:edomae-sushi:20190413172721j:plain

個人的に甘みが強いオボロは現代には蛇足であると感じる事が多いが、イメージを改めた。

甘みを抑制したオボロと秀逸な〆加減が合致する事で、小鰭の印象を高めてくれる。

f:id:edomae-sushi:20190413172723j:plain

鮪中トロ

強い旨味に加えて酸味もあり、モノの良さを感じさせる。

これも赤身同様にシャリがタネを支え、感動的な味へと導いてくれる。

f:id:edomae-sushi:20190413172724j:plain

漬け込みが古風で泣かせる。

身に含んだ甘みがシャリの酸味を際立たせる。

よって、単に甘みが嫌らしく前面に出てこない。

煮ツメを軽く引いているが、漬け込みのみで仕事はほぼ完結している。

ご自身のシャリを活かした蛤であり、絶妙なバランスを実感。

f:id:edomae-sushi:20190413172725j:plain

定番の浅葱と生姜に加えて、更に大葉を叩いて混ぜている模様。

頂く前から調味料の香りが漂うものの、頂くと主張しすぎず、良い塩梅。

鯵はねっちりとした身から脂と香りを滲ませる。

包丁を深く入れる事で歯切れを良くし、強い味わいながら上品に着地させる。

f:id:edomae-sushi:20190413172726j:plain

アオリイカ

ごわっとした後にとろとろな食感のアオリ。

とろとろ先行が多いので、楽しい食感。

f:id:edomae-sushi:20190413172727j:plain

車海老

肝の軽い苦味を感じた後に味噌の旨味が広がり、ボディの甘みが満ちてゆく。

f:id:edomae-sushi:20190413172728j:plain

青柳

青柳らしい香りが広がり、噛ませた紐の力強い食感が加わる。

f:id:edomae-sushi:20190413172729j:plain

針魚

肉厚な閂サイズ。

これにもオボロを噛ませている。

針魚はぶりぶりばつばつした食感で、程良く脱水されており、旨い。

f:id:edomae-sushi:20190413172730j:plain

赤貝

閖上。頂く前から香りが伝わり、素晴らしい。

そして旨味の強さは閖上ならでは。

f:id:edomae-sushi:20190413172731j:plain

アカムツ

室温でじっくりと温度を慣らしておられ印象的だった。

頂いてみると、強い個性に驚いた。

アカムツ(ノドグロ)は今や鮨種として定着しており、仕事も出尽くされているような印象があるが、斬新な仕事を編み出されている。

炙りではなく燻しの仕事が巧み。

大変生っぽい食感であるが、香りの付与と脂の活性化はスモークならでは。

聞いたところ、藁ではなくヒバで燻されているそう。

f:id:edomae-sushi:20190413172732j:plain

海胆軍艦

大変口どけの良い海胆。

f:id:edomae-sushi:20190413172733j:plain

穴子

笹を敷いて加熱。

対馬ならではの脂の強さとトロトロした食感だが、香りを活かしており、穴子の野趣も表現されている。

f:id:edomae-sushi:20190413172734j:plain

玉子

しっとり、ふんわり、とろり。

食感の三重奏が魅力的。

海老の香りは上品。

表面の部分はしゅわしゅわ感やみっちり感が無く、大変軽やかに仕上げておられる。

 

また時期を見て再訪したいと強く感じました。

(冒頭でもご紹介しましたが、再訪しました)

 

店名:鮨桂太(すしけいた)

シャリの特徴:赤酢を3種、絶妙にブレンド。硬さや温度も抜群。

予算の目安:昼おまかせ5,000円・10,000円、夜おまかせ17,000円

最寄駅:築地駅から350m

TEL:03-6264-2234

住所:東京都中央区築地6-6-4

営業時間:火・木・金18:00~22:30、水・土・日11:30~14:30、18:00~22:30

定休日:月曜