すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ日本料理編 No. 164 うを弘@小田原市(神奈川県)

うを弘

小田原周辺で「郷土性が高く」「上質な味わい」の和食を探して、こちらに出会いました。

料理写真から盛り付けや包丁のセンスが感じられ、ご主人のブログを見たところ、地物の魚介類を使っておられたので、否応なしに期待が高まります。

駅は小田原ではなく鴨宮であり、帰りの電車が大変ですが、食欲と開拓欲が上回った次第です(笑)

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お店に到着すると暖簾が風にはためいており、何やら「食わせる」匂いを発しております。

そして、その印象は先付を頂いて確信に変わりました。

お料理は程よく洗練されつつ、誰しもが「美味い!」と感じるような味わい。

薬味の使い方や食材の取り合わせなどにセンスが感じられ、頂いていて終始安心感があります。

特に食材の取り合わせは気が利いており、凡庸な組み合わせでない点が嬉しいところ。

ご主人は藤沢から銀座に移転したミシュラン一ツ星店「喰い切りひら山」さんで修業されたそうですが、高い技術とセンスをもとに都市部ではなく地元で奮闘されている点が素晴らしいです。

相模湾は上質な魚介類が獲れる日本有数の深海であり、山の幸も豊富なエリアなので、季節ごとに訪問する魅力のある一軒だと思います。

 

刺身は切り付けてからの盛り付けであったので当初は少々疑問を抱きましたが、時間差で訪問する5組をテンポ良くさばいておられ、お一人でこなすためのテクニックとして納得致しました。

反面、山葵は直前にすられておられ、きめ細かい調理を行っておられます。

(ちなみに、おろし金は「鋼鮫」を使用されております)

うを弘さんのメニュー

コースは4,000円、6,000円、8,000円と分かれておりますが、今回は一番上のコースを予約して訪問しました。

内容的には懐石料理の流れを崩されており、椀が無い、油ものが続く、お食事に香の物が付かないなど、原理主義的な日本料理ファンの方は怒りそうな流れですが(笑)、これはこれでアリだと思います。

また、店名の前に「肴とお酒」を謳っているだけあり、日本酒も美味しいものを揃えておられます。

特に燗酒は良い温度でつけられており、熟成酒もあり、お料理を引き立てます。

価格は1合が大体800円~950円で、1.5合は1,200円、1,300円と良心的です。

 

この度頂いたお酒

中瓶(ラガー赤星)、いづみ橋恵純米吟醸、丹沢山二年熟成純米秀峰、リエスタイル山廃特別純米二度火入れ

 

おまかせコース(8,000円)の内容

・先付:生シラス、土佐酢のジュレ
・お造り:カマス、鮃、アオリイカ、金目鯛
・八寸
・焼きもの:鰆の西京焼き
・油もの:唐墨餅、みぞれ餡
・油もの:桜鱒、筍、うるい、餡かけ
・お食事:桜海老ご飯
・水菓子

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先付

生シラスは大衆的なお店でも頂ける湘南~小田原の名物だが、調味が巧み。

土佐酢のジュレと山葵の醤油漬けを用い、キリッと提供。

ジュレはシラスの甘みを引き立て、モノ自体も苦味がほとんど無い。

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お造り:カマス、鮃、アオリイカ、金目鯛

焼き霜造りのカマスは脂が乗っている。

故に温度を室温で馴染ませてから提供しても良いかなと感じた。

アオリイカは包丁が良く、半身に細かく入れ、半身はそのまま。

鮃は恐らく寝かせているよう。

旨味を上げつつ香りも楽しませてくれる。

金目鯛は脂がしっかりと乗っており、腹と背の異なる部位を頂けるのが嬉しい。

醤油が土佐醤油である点も良い。

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八寸

稚鮎、アオリイカの鉄砲和え、タラノメ、ウドと芹の胡麻酢和え、玉子焼き、ホタルイカの沖漬け、菜の花の芥子和え。

オーソドックスな組み合わせであるが、随所にセンスが光る。

タラノメは直前に揚げており、香ばしく、甘い。

稚鮎は南蛮漬けではなく出汁の揚げ浸し。

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玉子は帆立を用い、ふっくら、しっとりした仕上げで、よくある和食八寸の玉子とは異なる。

胡麻酢の塩梅などにも味覚的なセンスを感じさせる。

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焼きもの:鰆の西京焼き

熱源はサラマンダーであり、オーソドックスと言えばオーソドックスかもしれないが、良い漬け加減と火入れ。

表面はしっかりと焼いているが、中心部はジューシィに仕上げ。

甘酢漬けがロマネスコなど、さらりと面白い。

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油もの:唐墨餅、みぞれ餡

唐墨餅は餅を焼く事が多いが、こちらは揚げて提供。

餅の柔らかさと唐墨の旨味を引き出している。

みぞれ餡は出汁がしっかりで、酒肴に良い。

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油もの:桜鱒、筍、うるい、餡かけ

淡泊な桜鱒を活かす調理法と餡。

足し算だが足す分が抑制されている。

こちらの餡も鰹出汁が強めながら、桜鱒の酸味と香りを活かしている。

山椒がまぶされているが、香り付けとしての役割を逸脱しない範疇で、少々。

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お食事:桜海老ご飯

今年は不漁が叫ばれている桜海老だが、惜しげもなく使用。

香りからして、これぞ!桜海老!

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素揚げして桜海老の香りを引き出し、出汁の炊き込みご飯に合わせている。

フキも良い仕事。

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おかわりも出来るが、お焦げの出汁茶漬けを留め椀代わりに頂く。

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鰹出汁が強く利かされており、キリッとした味わい。

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水菓子

林檎のシャーベット。

皮の風味と苦味も活かしており、硬派な味わいのデザート。

 

荒削りな部分もありますが、現状で既に洗練を感じ、エリア的に大変貴重なお店だと思いました。

またお伺いするのが楽しみです!

 

店名:肴とお酒 うを弘(さかなとおさけ うおひろ)

食べるべき逸品:相模湾、駿河湾の幸を活かし、お酒が進む佳肴と土鍋ご飯。

予算の目安:コースは、4・6・8,000円の3つ

最寄駅:鴨宮駅から280m

TEL:0465-49-0350

住所:神奈川県小田原市鴨宮164

営業時間:17:30~22:00

定休日:不定休

※完全予約制ではありませんが、事前の予約が望ましいです