すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 274 二鶴@小倉(福岡県)

江戸前鮨 二鶴

北九州で…と言うよりも福岡県全体で、かなり前から伺いたかった鮨店です。

鹿児島の野村さんからオススメ頂いたので、一度訪問を試みたものの、予定が合わず…。

なので、今回は悲願の訪問となります。

なお、皆さんご存知の通り、北九州には天寿しさんが始めた「九州前」の鮨店が複数あり、最近では「ヴァえる」照寿司さんがインスタでフィーバーするなど、ユニークな鮨店の印象が強くあります。

その北九州において、こちらは生粋の江戸前仕事をベースとするお店です。

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親方の船橋節男さんは創業50年超の鮨店の3代目として生まれたそうですが、ハタチの頃に東京の二葉鮨を修行先として選ばれた方。

二葉鮨(東銀座の本店)は創業1877年の老舗であり、東京きっての「江戸前鮨の源流」にある名店。

かの名職人・藤本繁蔵氏や中田一男氏と言った手練れを輩出し、更には鮨職人の組合を作り、東京から全国に江戸前鮨を広めたお店でもあります。

親方は平河町にある1977年に暖簾分けされたお店での修行されたそうですが、北九州生まれで二葉鮨を選ばれたとは、凄い心意気!

※ちなみに、平河町二葉鮨の初代親方は三原橋・二葉鮨の3代目・小西三千三氏のもとで修業し、3代目のお姉さんと結婚、暖簾分けに至った模様

 

二葉鮨での修行後、他店を含めて12年間修業され、2012年に当地でオープンされました。

そして、開店から2年後の2014年に早くもミシュランの2ツ星を獲得。

頂いてみて、確かに九州屈指の名鮨店だと、味を以て実感しました。

 

親方が自身の鮨に対して心がけておられるのは「引き算」。

「足し算」の鮨が多い北九州においては、真逆の方向性です。

その上で「地魚を使った九州ならではの江戸前鮨」を追求されているそうで、硬派ながらに郷土性がある鮨に仕上げておられます。

 

そして、親方は非常に流麗な本手返しで握られます。

美しく、速い。

船底も素早く付けておられ、初手からかなりの腕前だと感じました。

シャリは砂糖を用いず赤酢と塩のみで調味。

しかし、酢と塩の塩梅は絶妙で、お米の甘さを甘みとして活かしておられます。

お米は小粒主体ながらやや大粒で食感が異なるものがあったので、伺ったところ、2種類ブレンドされているとの事でした。

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更には、杯を傾けながら、親方の話を聞くところによると、赤酢はなんと地元の蔵元さんとの共同開発!

完成まで2年かかり、更に2年経った現在、「安定した」と仰る自信作です。

全体的にタネの多くは地物を用いておられ、酢もまた然りとは恐れ入りました。

個人的には「江戸前仕事」と「郷土性」を確立されているこちらは、北九州で最も伺う価値のある一軒だと感じます。

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この度頂いた日本酒

寒北斗・吟遊純米大吟醸(グラス)、寒北斗・喜平太純米酒しぼりたて生、船中八策・しぼりたて超辛口純米生

 

二鶴さんの握りのコース

この度は一番上の握りのコース15,000円をお願いしました。

酒肴は先付1品のみで、すぐに握りに突入します!

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鰤大根

調味料よりも出汁を利かせた味わいなので、大根の甘みを最大限楽しませる。

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ガリ

大変シャープな辛みで、酸味はスッキリ。

甘みが付けられていないのは、修行先と同様。

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ノドグロ(アカムツ)

昆布〆。とろとろな脂の後、皮の食感がこみ上げ、皮目の風味が広がる。

今や一般的となったアカムツで、個性的な仕事。

浅葱を噛ませている。

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鮪赤身

漬けの塩梅が良く、旨味、酸味、香りが引き立つ。

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車海老

肉厚な車海老を茹で置きで。

実に噛み応えのある車海老で、咀嚼する事で甘みと香りが高まりゆく。

手練れの茹で置きの仕事を味わうと、必ずしも茹で上げが真ならず、と思える。

活きの車海老を握る前に茹でる「茹で上げ」を絶対視する職人、食べ手も多いが、全てが全て正解ではないと、最近感じている次第。

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鰹は戻り鰹でも初鰹でもない「春の鰹」との事。

漬け。これまた、皮目の食感がジャキジャキと面白い!

そして、香りが良く、酸味は初鰹よりも淡い印象。

とにかく、香りが印象深かった。

浅葱を噛ませている。

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赤イカ

包丁の入れ方が面白い。

両脇と上下が幅広であるために、甘みが迅速に伝わるとともに、食感も楽しませてくれる切り付けとなっている。

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口の温度と咀嚼により、乳化が進む。

名残と言えども美味しい鰤。

産地は対馬。

シャリの酸味とピッタリ合致する味わい。

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トリ貝

豊前。しゃくしゃくと小気味良い食感で、甘く最後に漂う香りが良い。

豊前のトリ貝漁期が短く、2月下旬から3月中旬までとの事。

頂けて至福である。

有名産地ではなく、地方で知る人ぞ知る上質な素材を、季節の合間に頂く喜びたるや格別。

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トリ貝の殻(美しい!)

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鮪中トロ

脂がストレートに伝わる中トロ。

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小鰭

有明。十分に〆ているのにしっとり感があり、小鰭の甘みと旨味を引き出している。

そして、小鰭の香りが上品。

親方の仕事が、伝統的な〆仕事の延長線上にある事を実感する。

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海胆海苔巻き

夏場は流通量の少ない地物を用いておられるそうだが、今回は浜中小川の海胆。

なお、産地によって海苔の使用方法を変えられる模様である(味が異なるので)。

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炙り漬け。炙りの香りは最初ちょろりだが、中盤から高まる。

初手から強すぎないのが、良い。

そして漬けにより鰆の脂も活きている。

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白甘鯛

非常に力強い旨味。

元来の食感を活かしているが、腹寄りの身はしっとり。

大変印象深い味わいであったが、長崎の漁師から直送される釣りモノとの事。

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浅葱を噛ませている。

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蝦蛄

子持ちで、印象的なのが火入れ。

超しっとり。

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美味しい赤だし。

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肉厚ながらに柔らかな火入れ。

蛤らしい滋味と苦味を感じる。

これは千葉産で、地物はほぼ獲れないとの事。

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穴子

しっとり且つほろりとした食感。

塩でさっぱりと。

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玉子

みっちりとした食感が独特な玉子焼き。

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胡麻のソルベ

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苺羊羹

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柚子餅

まさかの水菓子(デザート)3連発!

しかも、全て自家製で、完成度が高い!

和菓子専門店でも少ない個性を持った水菓子に大満足。

 

良いお酒も飲みつつ、お会計は2万円少々。

地方のお店としては高額でしょうけれど、味わい的には大都市の一流店に匹敵します。

総合的な満足度は高く、間違いなく「こちらでしか頂けない味」を高次元で確立するのに成功してされています。

また訪問するのが楽しみなお店です。

 

店名:江戸前鮨 二鶴(えどまえずし にかく)

シャリの特徴:赤酢を非常に上品に用い、砂糖は不使用。硬派なシャリに高度な握りの技術が光る。

予算の目安:握りは1万、1.2万、1.5万、おまかせ1.2~2万円

最寄駅:香春口三萩野駅から2,000m

TEL:093-531-2442

住所:福岡県北九州市小倉北区足立1-4-31

営業時間:12:00~14:00、17:00~22:00

定休日:水曜、第1火曜