すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 265 鮨弁慶 海 銀座店@東銀座

鮨弁慶 海 銀座店

かつて六本木で人気を博した鮨店、山海(やまみ)。

創作性の高い仕事を多数繰り出し、酒肴にはルッコラ、ズッキーニなどの洋野菜に始まり、ミモレットやオリーブオイルまで用いたと言います。

極めつけは【海苔巻きチャーハン】!

当然のことながら賛否両論を呼びつつも、連日満員に次ぐ満員の人気を誇ったそうです。

その山崎親方が縁あって新潟(佐渡)の回転寿司店である「弁慶」の高級ブランド鮨 弁慶 海を経て、ここ銀座店の漬け場に立たれております。

あまりにも「創作性の高い鮨」は個人的に苦手とする範疇ですが、硬派な江戸前仕事を好む同士が高評価されていたため、狙いを定めて訪問しました。

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お店はビルの5階に入っており、EVを降りたらすぐに店内となります。

箸置きは佐渡ヶ島の形状を模しており可愛らしい。

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山崎親方の仕事について

さて、山崎親方の仕事としては【鮪の漬け】が有名です。

しかも、クロマグロに比べて値の安いインドマグロ(ミナミマグロ)をニンニク醤油に漬けると言う、荒業。

訪問前から、中々チャレンジングだな…と思っておりましたが、実際に訪問すると【大トロの燻製】なる更にチャレンジングな握りも出てまいりました。

そこで、結論から言うと、これは「アリ」。

鮨の創作性をどこまで許容するかは食べ手の好みに依拠しますが、生命線であるシャリと基本的な江戸前仕事が徹底されているので、個人的には「アリ」だと感じた次第です。

 

シャリは米酢を立たせて塩もそこそこ強めに用いつつ、米の甘みを感じさせる仕様。

砂糖は不使用。

そして、米粒は滑らかで、はらはらとほどけます。

温度管理も申し分なし。

 

そして、仕事としては光り物の〆に塩麹を用いて独特の味わいを生み出しております。

奇抜な手法ではなく、塩と酢による〆を把握されて実行されているのが分かる塩梅。

聞いていた昔の創作性に比べると、極めて腑に落ちる創作性だと感じました。

付け焼き刃で創作性を付加(足し算)したのとは訳が違います。

 

ただ、唯一気になった点は提供スピードの速さ。

今回は15貫(+椀、巻物、玉子)のコースを予約してお伺いしたのですが、所要時間は僅か17分(笑)

唐津・つく田さんの12貫で9分(笑)とまではいきませんが、如何に言うても速いな…と感じました。

せめて30分掛けて頂ければ、もう少し楽しんで咀嚼出来たように思います。

しかも、お客は僕だけだったので尚更です。

また、僕は構いませんが、

親方とのコミュニケーションを求める方にも向かないかもしれません。

とは言え、コストパフォーマンスは圧巻だと感じました。

佐渡に本拠地のある資本系がバックボーン故か、銀座に店を構える個人店だと中々成し遂げられないCPであると思います。

かなり個性的なタネと仕事が揃っており、この価格。

そして、10貫3,000円のコースも用意。

このような「郷土色」と「CP」を併せ持つ鮨店が東京にも増えると、また新たなシチュエーションになるだろう…と期待が持てます。

 

鮨弁慶 海 銀座店の握り

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トマト

新潟・たくみファームさんの【天使の唇】。

フルーティーな香り、甘み、酸味が魅力的。

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ガリ

これもシャリと同じく甘みを感じさせない硬派な仕様。

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鮪赤身

旨味、酸味ともに穏やか。

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カンパチ

脂がとろっとろで、ビックリ。

強い旨味を滲ませながらとろけ、シャリの酸味と合致する。

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小鰭

しっかり〆でありながら、塩気も酸味も感じさせない。

柚子皮を使用。

柚子皮が味覚的に浮かない理由は件の塩麹漬けであるからだろうか。

塩で〆るよりもまろやかな印象を受ける。

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イサキ

穏やかに、しかし力強い旨味が込み上げてくる。

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海松貝

水管ではなく、下の部分。

通常、鮨店では水管を用いるものなのでちょっと驚いたが、甘みは強く満足。

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九絵

これまた強い旨味で、食感もまた魅力。

寝かせているようだが、バツバツと力強い身を噛みしめると、旨味と香りがグイグイと高まる。

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赤海老

赤海老は標準和名「ホッコクアカエビ」だが、要は「甘海老」。

新潟らしいタネではあるものの、東京の「洗練された鮨店」ではあまり使わない。

しかし、これを昆布〆と言う仕事を用いて、「洗練された鮨店」でも通用する魅力的なタネとして提示。

脱水され力強い身は食感が気持ち良く、甘みが高まり、強めの昆布〆が旨味と香りを補強する。

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槍烏賊

細切りの包丁が奏功し、トロトロで甘い。

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春子

みっちりした食感で、塩麹で〆た事による甘みが印象深い。

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恐らく藻塩を使用。

旨味が強い鮃。

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鮪中トロ

これがニンニク醤油漬けだろうか。

「ニンニク醤油」と言っても昔から香りは気にならない程度との事なので、判別は出来なかった。

味わいとしては良く、生では味わい得ない魅力を与えている。

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イカのつみれと笹掻きごぼうの味噌汁。

何気に完成度の高い味噌汁だった(笑)

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鮪大トロ

前述の通り燻製。

筋に包丁を入れる際、ジャクッジャクッと聞き慣れない、しかし小気味良い音がした。

燻製とは、築地に在った鮨つかささんの【脳天のスモーク】を思い出す。

燻製の香りは強すぎず香ばしく、脂が程良く落ちているため、美味い。

オリジナリティを鮨に落とし込んでいると感じる。

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北寄貝

大変肉厚で、甘い。

今回は「甘い」と言う表現が多く恐縮(笑)

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海胆軍艦

濃密な海胆。

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干瓢巻

柔らかく甘く炊いた干瓢。

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穴子

皮目のにおいが気になったが、煮ツメが非常に濃厚でパンチがある。

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玉子

みっちり且つしっとりな食感で、上質な練り物のような趣がある。

芝海老ではなく赤海老を用いて、ブランデーを少量使用されている模様。

 

店名:鮨弁慶 海 銀座店(すし べんけい うみ ぎんざてん)

シャリの特徴:米酢のみ使用し、酢を立たせ仕事との相性が良い味付け。炊き加減、温度も良い。

予算の目安:お昼のおきまり【10貫】3,000円、【15貫】5,000円

最寄駅:東銀座駅から100m

TEL:03-6278-7050

住所:東京都中央区銀座4-12-1 GINZA12 5F

営業時間:11:30~14:00、17:30~23:00

定休日:日曜、祝日