すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 245 重兵衛寿司@佐世保(長崎県)

こちらは長崎県・佐世保にある鮨店です。

友人から薦められて長らく訪問したかったお店ですが、如何せん佐世保を訪れる機会が中々無く、訪問までに結構な時間を要してしまいました。

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お店はオープンされて16年目にあたり、佐世保に移転される前はハウステンボス近くの西彼(さいひ)にあったそうです。

カウンターは8席で、真っ直ぐではなく湾曲しているため、何処からでも親方との距離を近く感じられるデザインです。

カウンターは漆塗りで特別感があり、照明や内装も、静かに寛げる空間を演出しております。

 

親方は地の魚にこだわり、しかも西海市のみで仕入れると言う徹底っぷり。

修行は上方だったそうで、江戸前の仕事に大阪的な仕事が合わさっており、そこに創作鮨や野菜鮨が織り交ぜられている点が特徴となります。

流石に芽ネギの握りがあると未だに僕は怯みますが、地方で仕事を施した野菜の握りが出る分には楽しいと思えるようになりました。

何もガチガチに江戸前のタネでなくても、提供する必然性があれば魅力となります。

 

シャリは温度が少し低いものの気にならず、お米も加水率が高いけれどほどけ加減は良好です。

酸味は少し強めに付け、塩気は穏やか。

甘みも少し付けておられるように感じました。

トータルとして、今風の高級江戸前鮨とは異なりますが、昔ながらの味わいを良い形で残している握りだと思います。

 

頂いた後、人情、味、個性が揃っている事が地方の名店たる条件であり、如何に古典的であっても全国の何処にも無い魅力を持ちうるならば訪問の価値があると再認識しました。

 

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頂いた日本酒

重家酒造・横山五十・純米大吟醸、馬場酒造場・能古見・純吟、永山本家酒造場・貴

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前菜の盛り合わせ

ところてん、鯨の筋、イサキ、茗荷寿司、豆のクリームチーズ合え、アスパラガスともろみ。

ところてんはプチッと弾け、トゥルンとした食感が気持ち良い。

酢を利かせた胡麻ソースも個性的。

鯨を用いているところが長崎らしくて嬉しい。

 

この後、「おつまみももう少しいきますか?握りますか?」と聞かれたので、もちろん握りをお願いしました。

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ガリ

甘みしっかりだが、辛味も鋭い。

クラシカル寄りのガリ。

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肉厚ながらに繊維質のほどけは良い。

寝かせて旨味をしっかりと乗せている。

胡麻と酢橘は人によっては蛇足だと思うかもしれないが、これはこれで良い。

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鮪トロ

時期を考慮すると脂が多い。

よって、産地をお伺いしたところ、これも地元で驚いた。

長崎県は養殖鮪の生産量が日本一だが、脂の量と脂の質に関しては目を瞠った。

こちらのお店で用いる鮪は蓄養(半養殖)との事。

境港において小型の鮪を巻き網で乱獲し、個体数を激減させているのが日本の水産業の現状。

天然モノには香りや酸味などで及ばないと感じたが、サステイナビリティを考慮すると養殖の技術を高め、天然モノの魚体数はコントロールしていく必要性が極めて高いのではないだろうか?

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槍烏賊と海胆

両方の甘みが相乗効果で訪れた後、シャリの酸味がいなす。

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海胆

敢え無く海の都合で海外産であった。

いつか地物を頂いてみたい。

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車海老

なんと生で登場。

シャクシャクした快感とも言える食感に魅了され、間髪入れずに甘みが込み上げる。

塩は2種ブレンドし、親方のご出身である崎戸町の塩にトリュフ塩を嫌味なく使用。

養殖か天然か尋ねるのを忘れたが、仕事が良かった。

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車海老の頭

軽く炙って提供。

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力強い食感の鯵!

そして穏やかな脂が広がり、キレのある香りが高まる。

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脂が乗ったものをしっかりと〆、それでいてぷるんとした食感を残す。

白板昆布を使用されるのが、上方で修行された経歴を感じさせる。

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トコブシ

包丁が少なくコリコリ!

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〆た後、皮目のみを軽く炙っており、旨い。

生姜と酢橘を合わせているが、脂が強いため違和感は無い。

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完成度の高い鰻の鮨。

鰻を用いるところも上方らしい。

山椒は香りで引き締める役割で用いられており、痺れは非常に穏やか。

鰻については大企業(大型スーパーやチェーン店)に制限を設けて、美味しいお店だけに頼む!と感じた(笑)

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鮪赤身

軽い漬け。酸味もさる事ながら脂がしっかり!

酢橘の皮を用いているが、この鮪であればさして違和感が無い。

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赤身とトロのネギトロ巻き

トロの脂とシャリの酢が乳化して旨い。

そこに赤身の酸味も加わり上品に抑制される。

海苔の香りも良い。

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泉州水茄子

シャクシャクした食感に仕上げている点が嬉しく、フルーティなのは泉州モノならでは。

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カンパチ

ぶるぶるした食感に力強い旨味。

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梅、大葉、酢橘の果汁と皮と薬味を多用しているが、それに負けない旨味がある鱧。

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ハタ

2日寝かせているそうで、旨味が抜群。

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蝦蛄

大村湾産。しっとりふんわり仕上げておられ、香ばしい。

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山葵の千切りと大葉の手巻き寿司

山葵は千切りにする事で辛味が少し遅れて到達する。

スッキリした味わい。

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花オクラ

非常にシャクシャクした食感の後に、とろとろとろける。

変化球での締めとなったが、満足度が高かった。

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水菓子

 

創作性が高いので好みを分けるかも知れませんが、鮨不毛地帯の長崎においては訪問して損の無い一軒だと感じます。

前菜の盛り合わせ、19貫、水菓子、お酒3合を頂き、お会計は15,500円。

握りはタネがあるだけ頂きましたが、普通に食べて飲めば1万円くらいかと思います(笑)

養殖物も使用されておりますが、コストパフォーマンスは高いです。

味に加えて、 親方の人情味溢れる接客も印象的でした。

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店名:重兵衛寿司(じゅうべえすし)

シャリの特徴:酸味を少し強めに付け、塩気は穏やかで、甘みが少々。少しクラシカルだが食べ飽きないシャリ。

予算の目安:9,000円〜16,000円

最寄駅:佐世保中央駅から400m

TEL:0956-25-8078

住所:長崎県佐世保市栄町5-16

営業時間:要確認

定休日:要確認