すしログ:湯島に光る名鮨店!ビギナーから通まで楽しませてくれる鮨真菜(すしまな)

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鮨真菜さんに初めてお伺いしたのは、2018年3月下旬でした。

つまり、今回は約3年ぶりの訪問だったのですが、予約のお電話の際に自分を覚えていてくださり、驚いた。

流石に3年も覚えていてくださった方は初めてです。

 

緊急事態宣言下だったので、少し早めの17時45分にお伺いしました。

再訪して実感した事は、親方の金井淳さんは酒肴で季節を味わわせる手腕に長けていて、〆ものが特に美味しいと言うことです。

ありそうで無い、独特の魅力を確立している鮨店だと思いました。

鮨真菜さんの立地と雰囲気

お店は上野と不忍池の南「湯島」にあります。

湯島と言えば昔からの歓楽街。

江戸時代(寛政年間頃)から続く歓楽街とは言え、少し妖しい雰囲気が漂う街なので、上質な鮨店があるなんて意外に思う方も多いでしょう。

お店は大通り沿いにありますが、喧騒は気にならず、ゆったりした空間です

店内はカウンター6席のみ。

内装も什器も質素ですが、それが逆に「食通好みの店」と言った風情を醸し出しています。

「隠れ家」と言う言葉は似合わず、「旨い鮨屋」と言う方がしっくりくるように個人的に感じます。

とは言え、高級な鮨店としてはハードルが低いので、鮨ビギナーでも友人と一緒に訪問するときっと楽しめるかと思います。

自分が20代前半でも寛げただろうな…と感じる鮨店です。

鮨真菜さんの酒肴と握りの概観

初回の訪問から期待値を上回る仕事を楽しませて頂きました。

金井親方は酒肴に独自の感性を働かせ、旬の食材を楽しませてくれます。

例えば、春子を酒肴として出すところなど、大変渋くて素敵。

春子は握りとしては一般的ですが、海苔と三ツ葉と合わせて酒肴にするなど、渋いセンスが無くては選ばないでしょう。

しかし、こう言った酒肴が鮨店らしくて良い。

とは言っても決して「古臭さ」は無く、ノレソレ(穴子の稚魚)を温製で提供し、絶妙な食感を楽しませてくれるようなサプライズもあるので、若手職人さんのお店に通っている方でも楽しめると思います。

そして、肝心の握りも独特の存在感を感じさせます。

シャリは硬すぎず普通の硬さ、もしくはむしろ柔らかめと言えますが、ほどけ加減は良好です。

使用するお酢は赤酢。

かつては穏やかな印象で「塩気と酸味は穏やか」と感じたものですが、この度は酢と塩が共に強めに感じました。

しかし、バランスは良く、赤酢の旨味と仕事と調和しています。

炊き加減や味覚のバランスは結構独特なので、赤酢好きであればヒットする事は間違いないでしょう。

親方は4手で素早く握られ、掌ポンも捨てシャリも無し。

ご提供のテンポも非常に良いので、鮨に没入できます。

鮨真菜さんのおまかせコースの詳細と予算(実際に頂いたもの)

おまかせとお酒4杯で24,000円でしたので、おまかせ20,000円、お酒は1杯1,000円かと思います(初訪問時もほぼ同額だったので、値上げをほとんどされていないと思われます!)。

再訪時のおまかせコースの詳細

2021年1月下旬の訪問

日本酒

お酒は季節ごとのお酒をご用意されていて、お酒好きも気になる銘柄があるかと思います。

 

茶碗蒸し

茶碗蒸し

アオサ入り。プチプチと気持ち良い食感の魚卵があり、不思議だったので聞いたところ、飛び子とのこと。

普段は使わないそうだが、常連さんが所望しつつ、やっぱり要らないと言われたそう。

期せずしての登場であったが、加熱してもプチプチする事を発見できて、個人的に嬉しかった。

 

春子

春子

みっちりした身は、すぐにしっとりとほどける。

〆による緊張と、緊張がほどけるギャップが魅力だ。

その上、春子の香りも楽しめる。

海苔、三ツ葉との相性も良い。

 

子持ち槍烏賊

子持ち槍烏賊

身はコリコリで、中の卵は完全にねっちり!

このコントラストは秀逸。

火の入れ方が良く、コントラストを色濃く生み出すのに成功している。

過去の記事を読み返してみたところ、火入れの腕を上げられていると実感した。

 

煮鮹

煮蛸

香りが良く、むっちりして、ほろり。

噛み応えを重視する煮加減だが、柔らかくほどける。

これは良い。

香りが良かったので産地を伺ったところ、神奈川だった。

佐島ですか?と尋ねたところ正解。

また、付け合わせの塩は舌に触れただけで塩味とミネラル以外の旨味があった。

伺ったところ、昆布などの出汁も合わせているそうだ。

 

鮪

和芥子醤油漬け。

赤身は香り、中トロは程よい脂と口どけをそれぞれ楽しませてくれる。

 

煮鮑

煮鮑

食感が強めの煮鮑で、みっちりした後にくにゅっとよじれる。

表面が強めの食感でくりっ、こりっと反発しつつ、気付いたらしっとりと切れる鮑。

 

鮟肝最中

鮟肝最中

中には定番の奈良漬のみならず海苔。

鮟肝の味付けは甘すぎず、香りも良い。

 

キュウリと沢庵

キュウリと沢庵

 

太刀魚の棒寿司

太刀魚の棒寿司

炙る事で皮目を香ばしくさせ、皮下脂肪を溶かし、旨い。

大葉を噛ませ爽やかに感じさせ、すっきりとこの後の鮨に連結する。

唯一残念な点は酢飯が焦げてしまっている点。

 

ノレソレ

ノレソレ

こちらが前述の温製。

ぷるん!とノレソレらしい食感を感じた瞬間に、ホロッとほどける。

二重の食感は火入れが奏功している事を実感させる。

ホロホロすぎるとノレソレを使う意味が無い由。

 

ガリ

ガリ

非常に旨いが、使用しているのは赤酢ではなく米酢。

これはビックリ。

塩の塩梅が良いのだろう。

辛味はピリリと強すぎず、旨味が後を引くガリ。

 

墨烏賊

墨烏賊

バツバツな食感の後に、とろりととろける。

食感としては定番の墨烏賊であるが、太刀魚の棒寿司の後の1貫目と言うのが良い。

食感でリセットされる感じ。

 

鮃

むっちりと旨く、シャリとのバランスが良い。

比較的強めの赤酢だが、鮃も楽しめる点は魅力的だ。

 

針魚

針魚

昆布〆で、むっちり感を楽しませた後に滑らかに流れ行く食感、脱水加減。

昆布の旨味をしっかりと利かせている。

 

鯖

脂がたっぷりでシャリの酸味と乳化し、非常に旨い。

しっかりと〆ながら食感はしっとり目で、鯖の香りをふんわりと楽しませてくれる。

 

鮪赤身

鮪赤身

旨味が強い赤身で、その後、酸味が味わいを引き締める。

 

鮪中トロ

鮪中トロ

時期ゆえに香りは弱くなっているが、シャリの旨さで牽引する。

 

小鰭

小鰭

これも強めに〆ているものの、しっとり且つジューシィ。

絶妙な加減だったので伺ったところ、なんと40分・4分!

 

春子

春子

酒肴とタネが被っているのは少々残念では会ったが、別の楽しみがある事を教えてくれる。

シャリと頂くと、しっとり感を強く感じる。

 

金目鯛

金目鯛

金目鯛は安定感のある味わいだが、寝かせ方と脱水の仕事が良いため、脂に頼り切っていない。

 

海胆軍艦

海胆軍艦

スッキリ味の海胆。甘いのだが爽やかな印象で、香りも良い。

 

穴子塩

穴子塩

穴子煮ツメ

穴子煮ツメ

しっとりふわりと繊維がほどけ、しゅわっとろける。

絶妙な煮加減。

味付けの甘みは控えめで、穴子自体の脂も程良いため、やりすぎていない。

 

干瓢巻

干瓢巻

柔らかめだが、コリコリ感も味わえる干瓢。

味付けがしっかりしていて、これはクラシカル。

シャリの酸味と旨味と合わせ、山葵で味を引き締める。

これは赤酢のシャリの干瓢巻として秀逸!

 

玉子

玉子

極めて軽い玉子で、エアリー。

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初訪問時に頂いたもの

2018年3月下旬訪問

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白魚

白魚らしい旨味と爽やかな苦みがじんわりと広がる。

白魚のほのかな苦みは春を感じさせてくれる。

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新タマネギのすりながしと蛤

タマネギが甘い!

伺ったところ、炒めた後に昆布出汁と牛乳を合わせておられるそう。

これには意表を突かれた。

布出汁と牛乳も塩梅が良く、あくまでもタマネギを活かしている。

蛤はぷりっとしており、これまた淡い苦みが序品にアクセントとなる。

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針魚

昆布〆にして卵黄を絡めている。

〆方と味付けのバランスが絶妙。

バッチリ〆ているので、濃厚な卵黄に十分合う。

塩は皮目のみに当てているため、身質にはむっちり感があり、これが活き活きした躍動感を感じさせてくれる。

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太刀魚の焼きもの

脂が乗っており旨い。

レアな火入れが面白い。

ポン酢も上品な使用量。

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海松貝の串焼き

山椒入りの醤油で。

甘みがしっかりあり、食感も快感。

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甘鯛の焼き浸し

ゼラチン質が滲み出ている。

これも柔らかな火入れ。

柚子皮が極々少量で好印象。

吸い地が濃厚な旨味なので伺ったところ、甘鯛のみならず金目鯛や鮃のアラも使用されているそう。

味わいにやや雑多な印象を受けるので、好みを分けるかもしれない。

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子持ち槍烏賊

卵はねっちり、トロトロで、身も柔らかく仕上げている。

非常に濃密な子持ち槍烏賊。

これは印籠詰めで頂くのとは異なる魅力がある。

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河豚の白子と鮟肝

白子は焼き方が良い。

鮟肝を用いると風味が席巻しがちだが、頼り切っておらず出汁でバランスを取っている点にセンスを感じる。

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キュウリと沢庵

キュウリ主体の瑞々しさが良い。

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ガリ

旨味と辛味がしっかり。

故に甘みもそれなりに加えつつ、バランスは良好。

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墨烏賊

パツパツした食感で、これぞ墨烏賊。

包丁の入れ方が良い。

山葵を強めに利かせている。

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強めの昆布〆で脱水している。

しかし、昆布の香りは低く、〆の塩梅が良く、旨味もしっかり。

シャリとの相性が良く、鯛の脂が活きている。

鯛は基本的に生が好きだが、この仕事は魅力的だった。

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塩も酢もしっかり用いて〆ているが、旨味がグイグイと広がる。

鯖の匂いやクセは皆無で、〆が巧みだと感じた。

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鮪赤身

ねっちりした身質に極弱い酸味が滲むが、これは時期的な要因が大きい。

寧ろ、このタイミングとしては旨味と酸味のバランスが良く、不足しているインパクトをシャリが活かしていると感じた。

下田の定置網で191kgの魚体との事。

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鮪トロ

大トロ寄りの中トロ。

脂はクドくなく、それでいて乗っており、酸味も楽しめる。

これはモノの良さを感じさせる。

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鮪カマトロ

かなり濃厚な脂で、酢飯と合わさり乳化的な妙を味わわせる。

国産鮪で今の時期にこの味わいとは大満足である。

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小鰭

これは旨い。

しっかりした〆加減で、皮の食感は強めに残し、香りを最後に漂わせる。

小鰭の持ち味をバッチリ楽しませてくれる。

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春子

ねっちりした食感に加えて、ぷりぷり感もある。

そして、こちらは昆布でしっかり〆ており、旨味も移っている。

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赤貝

特大サイズ!

訪問時点は走りのタイミングであったが、旨味はしっかりしており、香りも中々のもの。

旨味の粒子で閖上産である事は明白。

旬になれば旨味は更にきめ細かくなり、香りも強くなるだろう。

このサイズを頂けたのは嬉しい。

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海胆(紫)

口溶けが良く、明礬は弱い。

海苔も美味。

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海胆(バフン)

濃厚。これも明礬は弱い。

シーズン的に紫とバフンを2連発で頂けるとは思わなかった。

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トリ貝

これまた超巨大!

そして、甘い!

爽やかな香りと強い余韻を満喫する。

やはり、産地は三河であった。

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金目鯛

これは熟成を掛けておらず脱水のみ。

よって、パツパツした身から金目鯛の脂をダイレクトに感じさせてくれる。

熟成と炙りを組み合わせる事が多いので、これは一周回って新しい。

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穴子

トロトロに煮て、軽く炙っている。

煮ツメが濃厚な点は大変嬉しい。

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玉子

エアリーな食感の玉子で、甘みは控えめ。

海老の香りが上品に舞う。

派手さは無いものの、確かな実力を持ったお店だと感じました。

光物が良い時期に伺い、親方の〆の仕事を最大限楽しませて頂きたいと思います。

鮨真菜さんのお店の情報と予約方法

予約方法はお電話のみとなります。

店名:鮨 真菜(すし まな)

シャリの特徴:バランスに優れた仕上がりで、旨味もあり美味しいシャリ。→赤酢の旨味に加えて、お酢の酸味と塩気をやや強めに利かせつつ、白身魚とも相性の良いシャリ。

予算の目安:おまかせ20,000円、お酒1,000円ほどが目安

最寄駅:湯島駅から30m

TEL:03-6803-0190

住所:東京都文京区湯島3-46-6 TS天神下ビル1F

営業時間:17:30~22:00

定休日:不定休

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