すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 221 鮨猪股@川口(埼玉県)

鮨の達人からのオススメがあり、かねてより訪問したかったお店。

鮨不毛地帯・埼玉県の川口に在って、今や全国から人を惹き付けておられます。

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この度お伺いしたところ、実際にかなり行き辛い立地だと感じましたが(笑)、逆にそれが良いのではないかと感じました。

親方の握りを本当に頂きたい方のみが集う地理的ハードルは、求道的でストイックな親方に最適なファクターなのでは?と思った次第です。

 

親方の握りは、王道の江戸前のタネに加えて、昨今出されるようになった日本津々浦々のタネも織り交ぜて展開されます。

コースは握りのみで、王道の江戸前のタネが主体と言う点が硬派。

江戸前で勝負しようとすると表現の制約が加わりますが、創作的調理や味覚の足し算に走らない点は粋だと感じ入りました。

 

タネは全国10箇所くらいから直仕入れされておられ、海胆などは特に河岸(築地)を通さずに入れるものが多い模様。

シャリは硬めであるが硬すぎず、噛み締めると自然に潰れます。

酢もシャリの色の割に強すぎず、米の甘みに対してバランスが良好。

米粒は素晴らしいほどけ方を示し、大ぶりのタネを軽妙に支えます。

 

頂いた握りは下記の通りです。

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ガリ

甘みはごくごく弱く、辛みが立つ。

旨味は上品に用いておられ、余韻として残る。

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墨烏賊

小柴産。厚切り!

かなりバツバツした食感で雄々しい。

その所以は包丁を表面のみに入れている点。

6日熟成を掛けておられるそうだが、過度にトロッとしておらず、総じてタフな印象を残す。

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五島列島産。1週間熟成。

旨味を引き出しつつ、香りが十分に残っており、最後にふわんと残る。

熟成を掛けた墨烏賊、鯛を頂き、親方の熟成の勘所を認識。

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九絵

五島列島からの直仕入れで、17日熟成。

食感が面白く、バツバツ、ねっちり、バツバツ。

熟成種でありながらあくまでも九絵らしい食感を残し、それでいて頂きやすい。

そして、食感のみならず、圧巻の旨味。

さらに、高まる香り。

余韻も素晴らしい。

端的に、白眉!な熟成であり、今までに頂いた九絵の握りでベストだと確信。

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針魚

横須賀走水産。重ねて。

浅葱と生姜を叩いた小笹寿し発祥の調味料を噛ませ、身から透けて実に美しい。

魚味としては走りの印象であるが、嬉しい一貫であった。

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海胆

ダイセンの海胆。

口溶けは中々で、甘みが強く、軽い明礬の収斂味を感じる。

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ノドグロ

対馬産のアカムツ。1週間熟成で、かなり脱水されている。

アカムツは五島列島からも入れているが、対馬のモノは脂が違うとの事。

確かに強く、脂の旨味が尽く舌に絡まる。

パンチの後にはサラッとした食後感があり、クドくない。

今やアカムツはオーソドックスな鮨種になったが、これは個性的なアカムツの仕事。

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鮪赤身

戸井産の255キロ。名残中の名残だが、味わいは秀逸。

旨味がしっかりで、酸味は軽やかに漂い、鉄の雄々しい野趣が残る。

そして、3年継ぎ足して使用されている煮キリがコクと風味を強める。

これによって獣的な印象を与える赤身に仕上げている。

かなり独自性のある赤身漬けの仕事である。

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〆加減が強めだが、脂が超えてきて、強い香りを放つ。

食感はまずバツッと弾け、とろりと馴染む。

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シマエビ

バツバツとトロトロの二重奏。

甘みにシャリの酸味が加わり、ミソの旨味と香りも協奏。

味覚が波状的に来る。

これにはかなりの計算を感じた。

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小柱

野付産!個人的に好きな産地。

そして、頂いて感動。

シャキッ!!と目の覚めるような食感に加えて、香りが超爽やかに抜ける。

青柳らしからぬ爽やかさなれど、あくまでも青柳。

何よりも初手の食感の素晴らしさと甘みに感動を覚えた。

親方に聞けば、なんと築地で当日剥いているものとの事。

小柱でこの処理は珍しい。

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子持ち槍烏賊の印籠詰め

青森鰺ケ沢の槍烏賊。時期限定の嬉しい一貫!

クラシカルな仕事を独自にアレンジ。

酢飯には胡麻と干瓢を混ぜている。

烏賊がパツパツした火入れな点が良い。

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もちろん、子のプチとろな食感も言わずもがな。

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鮪中トロ

ひたすらに脂の旨味が強く、サラッと血の香りを残す。

このバランスは時期を考慮すると素晴らしい。

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鮪大トロ

旨味が強いものの、それでいてクドさがない脂質。

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小鰭

かなりクラシカルな〆加減。

しかし、塩気はそこまで強くなく、酢が強い。

2日寝かせておられるそう。

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牡蠣

岩手陸前高田市小友産。

主張しすぎない香り、しかし、風味がしっかりと残る。

5~6時間漬け込んでおられるそう。

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鉄火巻

部位フルメンバーで圧巻。

海苔は直前に炙っておられ、良い鮪を活かす。

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干瓢

シャキシャキ!そして甘みが強めな干瓢。

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玉子

芝海老とヤマトイモで仕上げ、卵は青森長谷川自然牧場さんのもの。

しっとり方向で攻めない玉子。

海老の香りもまた行き過ぎず、それでいてスイーツっぽさも感じさせる。

独自性が高いので、意外に好みが分かれそうな玉子である。

 

季節を変えて再訪したいと思います!

 

店名:鮨 猪股(すし いのまた)

シャリの特徴:赤酢を巧みに用い、色合いほどには強くなく、米の甘みを活かす。

予算の目安:おまかせ18,000円 →おまかせ33,000円前後に変更されました…

最寄駅:川口駅から900m、川口元郷駅から850m

TEL:048-211-4175

住所:埼玉県川口市幸町1-12-23 サンリーブ幸町コートハウス

営業時間:第1部17:00~19:30(火・木・土のみ)、第2部20:00~22:30

定休日:日曜、祝日