すしログ日本料理編 No. 153 魚石@安土(滋賀県)

以前お伺いした時から、再訪を楽しみにしていたコチラ。

前回は初夏の訪問でしたが、今回は秋に訪問致しました。

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御料理を頂いた感想としては、矢張り独特のセンスが光る内容であり、滋賀らしさを懐石の枠組に落とし込む事に成功していると再認識しました。

僕は常々、郷土料理が廃れる危惧を抱いております。昔通りの郷土料理も大変魅力的ですが、廃れないため、多くの現代人の琴線に触れるためには、モダンな感性でちょっとしたアレンジを加える事が必要です。

そう言った意味では、ご主人・瀬海悠一朗さんの存在は滋賀県において貴重であり、普段モダンな日本料理を食べている人にも響く(であろう)御料理だと感じました。

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この度頂いた御料理(1万円)
・先付:柿の柿和え
・イサザの天麩羅
・「握らない鮨」2種
・お造り:鰹、鯛
・椀:鱧と白舞茸
・子持ち鮎の炊いたん
・炊き合わせ:銀杏真薯、鱧、松茸、里芋
・近江牛ミスジの焼きもの、信長味噌
・お食事:栗ご飯、香の物とイサザの佃煮、留め椀
・水菓子:いちじく、シャインマスカット、葡萄のシャーベット

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先付
「柿の柿和え」と言う面白い料理名。

熟成期間の異なる柿を、焼きと餡の2通りの調理法で組み合わせている。

これは素晴らしい味わい。

濃密な甘みの餡が焼き柿の輪郭を強める…

香ばしさに加えて酸味が引き立っており、柿を柿に対して調味料的に用いた素敵な一品。

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イサザの天麩羅

琵琶湖固有種のハゼであるイサザ。

今シーズン初物との事。

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ハゼ科特有の力強い風味に、ホロリと溶ける繊維質が美味。

「握らない鮨」

伊勢神宮の御神米(神に捧げるお米)であるイセヒカリを用い、赤酢の酸味を付け、甘みも加えた酢飯。

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一品目はウロリ(ヨシノボリ)。

ウロリは滋賀で甘辛く炊く事が多い郷土佃煮。

それを酢飯で上品にアレンジしている。

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続いて二品目は、炙り鮒鮓。

香ばしさに加えて脂が活性化しており、これは大変素晴らしい!

鮒鮓らしい酸味が底を支えつつ、生の状態よりもごく弱い酸味になっており、酢飯とのバランスが良好。

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お造り

登場した時には滋賀で戻り鰹!?と思うも、脂が乗っており、何よりも燻し加減が上手い!

付け合わせの醤油はコクが非常に強い。

なお、器は白井半七(の写し?)。

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鯛薄造り

滋賀県湖南の伝統野菜・弥平とうがらしを散らせて。

鯛は旨味が乗っており、熟成を掛けている模様。

そこに唐辛子のピリッとした辛味が良い小技。

ポン酢は出汁が美味しい。

唐辛子は単体で噛みしめると結構辛味があり、香りも強い。

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鱧と白舞茸。

鱧は肉厚でぷりぷり、旨味もしっかり。

割と力強い吸い地だが、白舞茸とミョウガがたっぷりなので一緒に頂くとピッタリと合う。

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子持ち鮎の炊いたん

極太!これは滋賀らしく、甘みを付けた炊き加減(甘みは伝統的なものよりは相当軽い)。

ひたすらプチプチと弾ける卵が気持ち良い。

器は尾形乾山(の写し?)。

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炊き合わせ

銀杏真薯、鱧、松茸、里芋。

銀杏真薯はねっちりした銀杏が堪らない。

キレのある美味しい出汁に松茸の香りが滲む。

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近江牛ミスジの焼きもの、信長味噌

信長味噌は豆味噌で、中国の豆豉的なフレイバーがある。

安土養蜂園の蜂蜜をブレンドしており、大変美味しい調味料。

山葵との相性も抜群。

勿論、牛肉自体の旨味、火入れも申し分なし。

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お食事:栗ご飯、香の物とイサザの佃煮、留め椀

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お米自体がかなり美味しい!

お世辞を抜きにして、瀬海さんは日本でも有数のお米を炊く腕だと感じた(笑)

粒が凛々しく存在感を放つ!

抜群の食感に加えて、甘みも印象深い。

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炊きの技術によって、お米の魅力を引き出している。

古来からお米の名産地である滋賀の強さを感じさせてくれる。

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雲井窯の土鍋を用いて炊かれている。

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味噌汁、イサザの佃煮、香の物もバッチリ美味しい。

最後になってしまったが、栗の甘みに癒され、大満足(笑)

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水菓子

いちじく、シャインマスカット、葡萄のシャーベット。

シャインマスカットは最近大人気を博す品種だが、葡萄のシャーベットも負けじと濃厚で美味!

またお伺いする日を楽しみにしております。

店名:魚石(うおいし)

食べるべき逸品:卓越したセンスに基づき再構築された滋賀の郷土料理たち。

予算の目安:旬の湖国懐石4,000円〜10,000円、白木六仕切松花堂2,500円〜

最寄駅:安土駅から450m

TEL:0748-46-2030

住所:滋賀県近江八幡市安土町常楽寺994

営業時間:11:00~14:00、17:30〜22:00

定休日:不定休

※完全予約制となります

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