すしログ日本料理編 No. 136 うつお荘@白山市(石川県)

こちらは石川県白山市の山間にある山菜料理の名店です。

セイモアスキー場のそばにあり…と言うか、お店はゲレンデのすぐ横。

到着すると「本当にここなのか!?」と驚きました(笑)

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その立地と使用する食材故に営業シーズンはスキーのオフシーズン。

オフシーズンのスキー場なんて寂しそう、と思われるかもしれませんが、広い空間を占有しているようで朝の散歩も含めて楽しかったです。

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お店の前には手取川が流れ、清流はキラキラと美しい。

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夜には空に満点の星が輝き、都会では見られない夜空を楽しませてくれます。

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その上、宿で源泉100%の河内千丈温泉に浸かれるところも嬉しい。

星空と温泉で十分幸せを感じられますが、本当の幸せはもちろん食にあります。

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こちらの山菜料理は卓越した専門技術に裏打ちされており、一般的な「山の料理店」とは次元が異なります。

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食通の友人から話は聞いておりましたが、いざ頂いてみると期待以上!

包丁、味付け、出汁など全てが懐石料理店のそれであり、ご高齢の女性がお一人で作られているとは、驚嘆を覚えます。

「女の仕事なので」と力強く語られる姿を見て、料理への愛情と力強い自負を感じた次第です。

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お酒は全て菊姫酒造のものとなり、今回頂いたのは、純米・鶴乃里、山廃・呑み切り原酒。

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先付

濁り酒、蕗の薹辛味噌、カタクリ、ヨモギの葛寄せ。

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濁り酒は乳酸に日本酒的な苦みが利いており、大人味の旨さ!

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カタクリは甘酢味噌で和えているのかと思いきや、麹を使用している模様。

食感は大変シャキシャキ。

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蕗の薹は香りしっかりだが、辛味を利かせており良き酒肴。

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ヨモギの葛寄せも香りが心地良く、口溶けも良好。

先付を頂き、使用されている水のクオリティも高いと確信する。

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木ノ芽とアケビの新芽の和えもの

アケビの新芽なんて頂くのは初めてだが、香りが独特で香ばしい。

塩気を利かせエグみを除去し、木ノ芽でアクセントを付与している。

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鮎の山椒炊き、土筆、ノカンゾウ

土筆は苦みが皆無!

ノカンゾウは軽妙な食感!

力強い香りと甘みもあり、醤油を用い甘みを引き立てている。

鮎は飴炊きにされており、肝の風味と苦味が活きている。

(鮎については元々は保存食であったのではないかと思われる)

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岩魚のお造り

手前は皮の湯引き、あしらいは山葵の葉と花。

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身は脂が抜群に乗っており、香りは繊細。

いや、力強い香りはあるのだが、川魚的なクセを感じさせない。

皮は白眉。

トゥルトゥル美味い。気付いたら…溶ける!

身の方も骨が全く当たらず、ご主人(女性)の腕を感じさせる。

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椀種は自家製飛竜頭で椀妻は椎茸、吸い口は三ツ葉と木ノ芽。

吸い地は上品で、まろやか且つ旨味たっぷり。

尖ったところが無く、ご主人の人格を表しているかのよう。

囲炉裏で焼いた椎茸が香りのアクセント。

自家製の飛竜頭は大変美味しく、銀杏、木耳、黄人参と彩り豊か。

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コゴミの胡麻和え

超濃厚で香ばしい黒胡麻の和えもの。

コゴミはみっちりした食感で、素晴らしい火入れ。

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岩魚の焼きもの

振り塩が上品で、火入れは巧みにしっとり。

近隣の天然モノとの事で、味わい深い岩魚だった。

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山菜の天婦羅

手前から小豆菜、蕗の薹、タラノメ、コシアブラ、独活、ニワトコ、モミジガサ、コゴミ。

香りと風味が全て全く異なり、贅沢!

衣は薄くサックサクで、油切りも良い。

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擬宝珠とウルイのぬた

擬宝珠は瑞々しく、トロトロで、軽い苦味が良い口直しに。

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なお、こちらの器はほとんどは山菜が描かれており、面白い。

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お食事

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土筆の炊き込みご飯が心から美味しい。

香の物は「おくもじ」と言う白山の郷土料理で、前の年に塩漬けした菜っ葉を塩出しして炊いたもの。

魚の干物の出汁が利いていた。

味噌汁の種は何とアザミ。

勝手にイメージしたエグミは皆無で、野趣としての香りを楽しませてくれる。

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朝食もまた格別。

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アザミのお浸し

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右下の緑の野菜は独活で、ほの甘く炊いている。

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ご飯は土鍋炊きで、美味しい。

全て素朴…しかし他には決して無い味わいに昇華させておられます。

しかも、味覚的バランスが上品であり、見事と言う他ありません。

おもてなしの心も素晴らしいです。

店名:うつお荘(うつおそう)

食べるべき逸品:絶品山菜料理。

予算の目安:1泊2食付き23,250円

最寄駅:なし

TEL:076-272-1392

住所:石川県白山市河内町内尾ロ35

定休日:要確認

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