富山が誇る鮨会のラーメン二郎!ミシュラン獲得の「鮨し人(すしじん)」

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こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

こちらは富山で飛ぶ鳥を落とす勢いの鮨店です。

「富山県の寿司」と言えば【鱒の寿司】が全国的に有名ですが、江戸前鮨ならばこちら「鮨し人」さんの名が挙がります。

フランスで権威あるガイドブック『ゴ・エ・ミヨ』が日本初進出を決めた際、親方の木村泉美さんは「イノベーティブ賞」を受賞されました。

県外のファンも多数おられるお店なので、結構早めに予約を押さえて訪問しました。

すしログ

結果的に、イメージとは異なる鮨に翻弄されました。

※昼のおまかせ5,000円の頃の記事で、現在は16,500円のようです

すしログについて

★全国6,000軒以上を食べ歩く食好き
☆鮨の食べ歩きは15年以上のキャリア
Twitterでは幅広く、インスタでは鮨・魚介料理日本酒
☆「すしログ鮨会」のご案内は、すしログの公式LINEにて
★noteに、鮨に詳しくなれる「鮨カレンダー」を連載しています

富山のミシュラン店「鮨し人」の魅力と握りについて

意外にも、「鮨し人」さんの雰囲気は街場寿司っぽく、ざっくばらんで肩の力を抜けます。

席数は予想外に多く、カウンター10席に加えて座敷もあります。

それが全て埋まっていたので、入店時点では不安を抱きました。

 

しかし、実際には杞憂に終わり、全てご主人が握られてホッと安心しました。

しかも握りは4~5手と素早く、脱サラして独学で体得されたとは思えません。

親方の流麗な握りのフォームときめ細かい接客は終始印象に残ります。

シャリは高確率で崩れていますが、好感が持てます。

 

ただ、店内は妙に騒然としており、落ち着かなかったと言うのが素直な感想。

じっくり食べているところに背後から手を伸ばされて器を下げられたり、食べている途中の器をガサガサ下げていかれたり…

サッカーならばホイッスルが吹かれるくらいの接触です。

その割にお茶の差し替えはしないなど、アラが目立ちました。

結果的に、終始、急かされて食べさせられている印象が拭えませんでした。

 

そして、提供方法についても調理面での疑問が残ります。

例えば、富山名物の海老は握り置きの2貫出しで、前のタネとほぼ同時に提供されます。

さらに、香りの強いノドグロの串焼きとカニの握りが同じ小皿で供される点には、驚きました。

料理をする身として、この組み合わせはありません。

トータルとして提供方法や調理センスに疑問が残ります。

 

そして、肝心の握りについては、恐らく好みが分かれるのではないかと思います。

きっと大半の方が「美味しい!」と感じる反面、その「旨さ」こそが「長所であり短所」となっているように感じました。

 

こちらのシャリは赤酢主体で、非常に強い味わいです。

酸味が割と強めで、塩気も強めながらに、赤酢の旨味でバランスを取り、塩辛く感じさせないシャリです。

そして、米粒の粘度はかなり高めですが、ほどけ加減は中々良いです。

このシャリは個性があるので富山に於いては良い試みだと思います。

しかしながら、タネの「仕事」と合わさると「強烈な個性」となります。

 

仕事は熟成と昆布〆を多用して旨味を強く打ち出しているため、旨味と塩味が強いシャリと合わさると、人によっては強すぎると感じるのではないでしょうか。

赤酢・與兵衛は諸刃の剣…劇薬。

 

更に、シャリ、仕事のみならず煮キリも強い味わいで、風味の強い醤油を使用されており、【かぶす汁】や【ノドグロの串焼き】などの旨味や脂が強い一品が挟まれるので、全体的に旨味と塩味が波状攻撃的に覆いかぶさる構成となっております。

全国でも、ここまで強い味わいの鮨店は少ないかと思います。

誤解を恐れずに形容するならば「鮨界のラーメン二郎」だと感じました。

「鮨し人」のおまかせの詳細(実際に頂いたもの)

頂いた握りのコース(5,400円)は下記の通りです。

 

ガリ

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赤酢を用いており酸味と旨味が強めで、甘みも強めのガリ。

 

ズワイガニのばらちらし

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海胆、いくら、海苔。

海苔が味付け海苔とは驚いた。

民宿やビジネスホテルのサービス朝食の方向性である。

せっかくの高級食材に味付け海苔は使用しない方が良いのではないか?

 

白海老と甘海老

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定番の昆布〆。

富山らしい季節の一品で嬉しいのだが、前述の「ばらちらし」とほとんど同時に提供されたのは残念だ。

デフォルトで握りが崩れているところ、時間差になることで更に瓦解している。

混雑しているとは言え、富山を代表する食材を供するならば、是非とも1貫ずつ出して、しっかりと味わわせて欲しい。

 

コチ

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寝かせているようだがプリプリした食感があり、これは美味。

 

茶わん蒸し

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富山の湧き水と梅のみを使用されているとの事。

非常に滑らかな食感。

 

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寝かせているようで、食感はとろとろで、旨味が強い。

 

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寝かせてから昆布〆。

非常に強い旨味で、身はとろり。

これは自身の好みから完全に外れた。

白身魚は食感が強く、同時に旨味も強いものが理想的。

つまり、自然の状態で旨味が強い魚体を選び、朝〆から1日弱寝かせる程度が望ましい。

僕は熟成の要諦は食感、香り、旨味の3つにあると考える。

特に白身魚は3要素をバランス良く構成しなければ、手を加え過ぎの創作寿司になってしまう。

 

アオリイカ

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今回頂いた中でベスト!

包丁を細かく入れて、食感はトロトロ。

口溶けと甘みを強調した仕事であり、強いパンチのシャリとの味覚的相性が良かった。

シャリの塩気と酸味をイカの甘みが包み、口の中で瞬時に一体化する。

 

かぶす汁

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氷見の郷土料理。

濃厚な魚の旨味と海老やカニの風味が渾然一体となっている。

郷土料理を出す心意気は見上げたものであるが、血液の除去やトリメチルアミンの除去は念頭に置いて頂きたい。

 

鮪トロ

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下田産(やま幸)。

脂は口の中でとろーっと溶け、いかにもなトロ。

 

ノドグロの串焼き、カニ

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みんな大好きなノドグロをガード下の焼き鳥スタイルで提供。

炭火焼きなのが良い。

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カニに炭の香りがかすかに転移していた点が極めて残念。

冒頭の海老と共に、何故同じ皿で提供されるのか、心から理解に苦しんだ。

 

穴子

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これはアオリイカと並んで印象深いタネ。

皮はとろっととろけるが、身はしっとり切れる。

繊維質を程よく残し、トロトロ過ぎない点が個性的な煮加減。

煮ツメは独特の香りがあり、酒を多めに使用しているのだろうか。穴子の旨味を凝縮した煮ツメと言うよりもタレないしソースと言った印象の煮ツメである。

 

塩のアイスクリーム

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秀逸な味わい!

アオリイカ、穴子に次いで印象深かった。

餅米で作った皮は直前に焼かれており、香ばしい上にサクサクした食感が軽やかで、口溶けも抜群。

塩の塩梅も良く、頂いている時は気にならないが、最後にキリっと引き締めてくれる。

「鮨し人」のお店の情報と予約方法

WEB予約については、オマカセ経由で可能です。

鮨し人(OMAKASEのリンク)

 

鮨し人(食べログのリンク)

店名:鮨し人(すしじん)

シャリの特徴:赤酢を力強く用い、塩気、酸味ともに強いシャリ。粘度は高め。

予算の目安:お昼のおまかせ5,000円 →16,500円・満寿泉ペアリング27,500円、ディナー17,600円+満寿泉ペアリング28,600円

TEL:076-422-0918

住所:富山県富山市新根塚町3-5-7

最寄駅:西中野駅から1,200m、富山駅から2,800m

営業時間:12:00~14:00(第1部12:00~、第2部13:15~)、18:00~21:30

定休日:日曜

 

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※すしログ No. 229にリライトしました

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