すしログ日本料理編 No. 37 鮎一@新烏丸通二条上ル(京都府)【2016年11月に閉店されました】

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全国の鮎のお店をリサーチしていた際、こちらのお店を発見しました。

食べログのスコアは3.27と低いものの、あるサイトに載っていた写真から、間違いの無い鮎を使用しており、火入れも申し分無いと判断。

以来、鮎の時期に訪問しよう…と楽しみにしていた次第です。

中々ピンポイントで伺う事が出来ず、一人客は不可なので、訪問するのは厳しいかなと思っていたところ、京都の食友さんに賛同頂き、念願の訪問となった次第です。

自身の住んでいる都道府県以外に食の友がいると心底嬉しい。

 

事前情報によると、こちらは小さい魚体の鮎のみを使用されているとの事。

実際7種の料理を頂きましたが、全て小さいもので統一。

使用されている鮎は京都府北部の由良川。

由良川の鮎は東京の一流店でも使用されており、産地の中でも評価が高い鮎。

上品な香りが持ち味だと思います。

由良川の鮎は6月〜9月末までが解禁期間となっており、訪問したのは6月上旬。

無事にありつく事が出来てホッとしました。

なお、シーズン外は琵琶湖等の鮎を使用されているそうなので、安心かと。

 

尚、こちらのお店は既に開業から30年以上が経っているとの事で、驚きました。

お店は松彌さんにほど近い閑静な通りにあり、アパートメントを改修したような入り口。

お店の中もアパートの一室を改造したようなカジュアルな雰囲気で、これは意外でした。

おしぼりもウェットタイプ。

2人掛けのテーブルが4台と客席は少ない。

常連さんが多いようで、鮎のシーズンを待ち望んで訪問されているようでした。

よって、訪問される場合には、かなり前もって予約された方がベターかと思います。

 

料理の特徴としては、天然物の由良川の鮎を余すところ無く頂ける、これに尽きます。

家庭的な調理の料理も含まれておりますが、全体的に鮎の魅力を壊しておらず、様々なバリエーションで鮎を飽きずに食べさせてくれるところが魅力です。

超一流の火入れ、研ぎ澄まされた出汁などを求める方にはオススメしませんが、季節を愛でるには申し分の無い内容とコストパフォーマンスです。

コースは6,500円の一本で、鮎の追加をしても大きく値段が上がらないところは素晴らしい。

ビール1杯、日本酒1合、鮎の塩焼きを2尾追加で8,500円と言うのは、極めて良心的でした。

頂いた御料理は下記の通りです。

 

鮎のお造り

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関東では珍しい鮎のお造り。

瑞々しさの中に爽やかな苦味と甘み、旨味が絡まる。

意外性のある一品目。

ちなみに、骨と頭は後ほど煎餅になって登場。

 

鮎の塩焼き

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表面はカリッと、中はホロホロと良い火入れ。

流石専門店!と思わされるワンツー。

鮎は肝の香りが気持良く、かなり強い旨味。

魚体に対して強い存在感を示す鮎。

振り塩の塩梅も上々。

 

鮎の天麩羅、鮎の骨煎餅

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手前はアマゴ。天然物のアマゴとは、嬉しい。

アマゴは衣を少なめにし、カリカリッと揚げ、噛みしめるとねっとり感がある。

鮎は揚げると肝の香り、甘みが引き立ち、焼きものとは異なる楽しみがある。

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また、骨にも旨味がしっかりと存在し、質の高さを感じさせてくれる。

 

鰻の白焼き

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産地は聞いていないが、ねっとり絡む脂、柔らかく甘みの強い繊維など、中々。

純粋な白焼きというか、軽く醤油を塗っている。

 

鮎の餡掛け

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鮎の肝の苦味に、強い出汁(昆布)と甘みと利かせた餡をぶつけており、良き相乗効果。

特に苦味が強い魚体を選んでいるのでしょうか?

それ程までに、今までの鮎とは異なる面白さを提示してくれた。

 

鮎の一夜干し

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肝の香りが繊維質に沈着しており、噛みしめるとじんわりと広がる苦味。

最良のアテ。

 

鮎の南蛮漬け

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この鮎に最も強い甘みを感じた。

魚体がやや大きめで、高温で揚げても負けていない。

香りもしっかりと残っており、特に上半身が素晴らしい。

味付けも鮎の甘みに寄り添う塩梅だが、付け合せの野菜は何とかならないものか。

流石に、見た目的に魅力を損ねてしまっている。

茗荷だけでも良い気がした。

 

鮎の塩焼き(追加)

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料理を一通り頂いた後だと、冒頭とは異なる楽しみがある。

鮎は塩焼きが完成された料理なんだ、と。

これは他の料理の完成度も高く、構成力もあるための感想。

是非とも、これは追加して頂きたい。

 

鮎の炊き込みご飯f:id:edomae-sushi:20160712202543j:plain

この価格、この内容コースで土鍋ご飯を出してこられ、びっくり。

鮎の旨味、香りが活かされていて、無心で頂いてしまう。

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しかも、塩焼きが一尾付いてきて、これを二杯目のご飯と一緒に頂く。

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あっという間に平らげてしまいました。

 

水菓子

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ひやしあめゼリー。

関西ならでは…と言う味わい。

ひやしあめって関東では殆ど見かけませんよね。

 

前述の通り、料理は価格からすると非常に満足度の高い内容。

常連さんが多いようなので、お邪魔にならない形で訪問されるのがベターです。

お店の好みを分けそうなポイントとしては、日本酒の銘柄が少ない点(白瀧酒造純米魚沼だけ?)、料理の提供が結構速い点。

ある意味、京都に住んでいない僕には提供スピードはありがたかったですが、じっくり派の人にはネックとなるかもしれません。

しかし、こういった名店が眠っているから、食べ歩きは止められません。 

 

店名:鮎一(あゆいち)

食べるべき逸品:由良川の天然鮎のフルコース。

予算の目安:6,500円〜9,000円

最寄駅:京都市役所前駅から500m

TEL:090-3924-8429 ※完全予約制です

住所:京都府京都市中京区新烏丸通二条上ル橘柳町152

営業時間:17:00~20:30

定休日:日曜、祝日

3 COMMENTS

石土秀貴

あゆ一さんの現況(新店を出したとかご主人がどこかのお店にいらっしゃるとか)分からないでしょうか?どうしてももう一度食べてみたいので。

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すしログ

石土様

コメントを頂き、調べてみました。
ただ、残念ながら情報が全く見つかりませんね…
もともと情報が非常に少ないお店でしたが、その後が心配です。

返信する
石土秀貴

そうですか、ありがとうございました。閉店間際にお伺いした時御主人は耐震+リフォーム中は亀岡にある知り合いのお店にいるって言っていましたが。残念ですが本当にありがとうございました。

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