すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 112 鮨舳(すしとも)@瓦町(香川県)

f:id:edomae-sushi:20151014223751j:plain

若手ながらに香川で注目を浴びている職人さんがいる…と聞いて、かなり期待して訪問しました。

それと言うのも、ネットで見る握りの写真が端正だったので。

しかし、伺ってみて、期待を遥かに超える満足度で、驚嘆を覚えました。

その後、2回再訪しました。

 

まず素晴らしいのが、店内の香り。

実は、都内の高級店でも香りに乱れがあるお店はザラにありますが、こちらは清浄な空気に酢の香りが滲み、大変気持ち良い。

 

次に素晴らしいのは、お茶の差し替えのタイミング。

こちらほど正確にお茶を替えられるお店を、僕は他に知りません。

決して差し出がましくなく差し替えて頂けるのですが、さりげなく、きめ細かい。

特に、強い味わいのタネの後、確実に新しいお茶に替えて頂けるのは気持ちが良かった。

 

そして、肝心の握りの方も面白い。

シャリは、前半は米酢のもの、後半は赤酢のものと使い分けられるのですが、違和感無く、両方のシャリの完成度が高い。

2つのシャリを使われて違和感が無いお店は少ない。

ご主人の握りは精確で、捨てシャリをする事は無く、手元に乱れがありませんでした。

仕事の方も瀬戸内の素材を江戸前の枠組みで解釈されており、独自の世界観を提示してくれます。

 

なお、シャリは口に入れるや否や鳳仙花の如く米が弾ける。

硬めに炊き上げ、握り加減が良い。

味付け的には、酢がやや強めで、現代的な味わいです。

赤酢のシャリの方は、ヨコ井の酢を使用されているそうです。

 

最後に、山葵の管理も良かった。

こまめにすりおろされ、乾かぬよう慎重に皿を返す。

 

…とどのつまり、全てにおいて「もてなしの心」が顕れた稀有な鮨店だと感じました。

 

f:id:edomae-sushi:20151009212611j:plain

ガリ

甘みが無くスッキリした味わい。 

f:id:edomae-sushi:20151009212621j:plain

真鯛

歯応えがあり、香りが強く、抜群の甘みを楽しめる。

一貫目で確信を覚えるタネのクオリティ。 

f:id:edomae-sushi:20151009212607j:plain

アイナメ

昆布で〆ているが、塩梅が良い。

昆布の香りと旨味を移し過ぎず、アイナメの魅力を高めている。 

f:id:edomae-sushi:20151009212609j:plain

エボダイ

珍しい、酢橘〆。

酢橘は抑制が利いており、上品な香りを残す。 

f:id:edomae-sushi:20151009212612j:plain

ハリイカ

江戸で言う墨烏賊。

厚みのある切り付けだが、歯切れは良く、甘みたっぷり。 

f:id:edomae-sushi:20151009212626j:plain

昆布〆だが、鮃の香りは非常に強い。

聞けば青森産との事。

噛みしめると滲む甘みは鰈とは異なり、季節の移ろいを感じる。 

f:id:edomae-sushi:20151009212623j:plain

鮪赤身

漬け時間は1分程度(計りましたw)。

ここから赤酢のシャリに変わります。

産地は大間ですが、特にこだわりは無く、一番美味しいと思うものを使うとの事。

甘みの引き立て方が巧く、食感はねっちり、シャリとの相性が抜群。 

f:id:edomae-sushi:20151009212619j:plain

小鯵

小鯵とは珍しい。所謂ジンタか。

程良い酢加減で〆ており、合わせた調味料が良い。

葱とすりおろした生姜をペースト状にしたもの。 

f:id:edomae-sushi:20151009212613j:plain

ミル貝

ミル貝も赤酢とは驚いたが、甘みを引き立てている。 

f:id:edomae-sushi:20151009212608j:plain

いくら軍艦

浅い漬け加減で、粒たちは爽やかに溶ける。

上品な口当たりと広がりのある余韻。

f:id:edomae-sushi:20151009212610j:plain

カマス

炙ってあり、とにかく懐かしい香り。 

f:id:edomae-sushi:20151009212617j:plain

脂、香り共に中々時期を考慮してか〆加減は弱めで良い。 

f:id:edomae-sushi:20151009212627j:plain

漬け。甘めの煮キリを使用しており、面白い。 

f:id:edomae-sushi:20151009212624j:plain

鮪中トロ

温度の戻し加減が良い。 

f:id:edomae-sushi:20151009212620j:plain

小鰭

皮目の食感は瑞々しく、酢をそれなりに用いつつ香りを活かしている。

シャリは米酢の方で。

f:id:edomae-sushi:20151009212618j:plain

煮ツメは濃い口でタイプ。

f:id:edomae-sushi:20151009212622j:plain

赤海胆

淡路産で、訪問の翌日から禁漁になるとの事でラッキー…

苦味が無く非常に美味しい。 

f:id:edomae-sushi:20151009212625j:plain

真鯛のあら汁

f:id:edomae-sushi:20151009212614j:plain

車海老

茹で上げ。肉厚ながらに甘みを活かす良い火入れ。 

f:id:edomae-sushi:20151009212628j:plain

今度は軽く炙ったもので、皮はとろとろ、脂が滲む。 

f:id:edomae-sushi:20151009212616j:plain

穴子

ふんわり柔らかな仕上げ。

f:id:edomae-sushi:20151009212615j:plain

玉子

良質の練り物のような食感。甘く無い。

 

非常に満足度の高い内容だった上、トータルで19貫(+椀、玉子)なので、お会計を待つ間、「覚悟」しておりました。

しかし、お会計は14,000円。

タネのクオリティを考慮すると圧倒的なコストパフォーマンスです。

味わい、サーヴィスを兼ね揃えた名店である事は間違いありません。

全国で鮨を食べておりますが、個人的に三ツ星クラスの地方江戸前鮨店かと思います。

 

店名:鮨舳(すしとも)

シャリの特徴:タネに合わせて、米酢(白)と赤酢を駆使。硬さ、ほどけ加減ともに抜群のシャリ。

予算の目安:14,000円~20,000円

最寄駅:瓦町駅から150m

TEL:092-726-6289

住所:香川県高松市瓦町2-8-17

営業時間:お昼12:00~14:00(基本的に二人以上から)、夜18:00~22:00

定休日:日曜、祝日