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鮨仙八
こちらは熊本では大変貴重な、本物の江戸前鮨を愉しめるお店です。
親方の中原貴志さんは東京で10年修行され、既に独自の鮨を編み出されております。
魚はほぼ全て九州のモノを用い、江戸前仕事とそれをベースにした個性的な仕事を駆使。
【鮪頭肉(脳天)の燻製漬け】や【鮑のリゾット】など、変化球的な仕事もありますが、決して嫌味になっておらず、アクセントとなります。
強く印象に残った言葉は、「鮪を使うと、(赤身、中トロ、大トロで)3貫使っちゃうので使わない」との台詞。
熊本でやる以上、地元の魚を満喫して欲しいと言う気概を感じさせる言葉だと思います。
また、鮪の上物は築地に行くので、築地から引っ張ると価格が上がってしまいます。
なので、親方の言葉には地方で鮨店を営む現実性と将来性を感じました。
更に、シャリも面白く、熊本では稀有な赤酢のシャリ。
硬めで、酢が立ち、塩気も強め。
そして、握りの手数は多いものの、一手一手がかなり速いため、精度が高い。
パラリとほどけ、一粒二粒が口の中に残るという理想に近いシャリだと思います。
そして、シャリのみならず、ガリも個性派。
甘みは無く、かなり硬派な味わいのガリです。
その後、再訪した際の記事もございます。
こちらは握りの前に酒肴が数品出るため、日本酒を2合、東鶴・特別純米、産山村・純吟と頂きました。
鮨仙八さんのおまかせの詳細
シャリ入りの椀
こちらの定番の先付との事。
葛を打った潮汁に赤酢のシャリが映える。
出汁には恐らく兜も使用していると思われ、力強いゼラチン質の旨味と雄々しい香りを併せ持つ。
濃厚な甘みにシャリの酸味が相性良し。
良い名刺代わりです。
鰆のスモーク
鰆のスモーク自体は定番ですが、付け合せが面白い。
春菊を混ぜた辛味大根、和芥子と酢味噌のソース。
鰆は桜のチップで燻しているそうで、肉厚な身はしっとりと火入れがされており、燻香も主張し過ぎず、程良いアクセントに。
アカムツの炙り
胡麻のソースには甘醤油を上品に活用しており、胡麻と合わせているためか何処と無く中華的なフレイバーがある。
しかし、風味が強過ぎないため、鮨店で頂いても嫌味にならない。
酒肴のセット
これは酒飲み泣かせなプレート(笑)
僕は鮨、日本料理を頂く時は味覚を維持するため、お酒をセーブするようにしているのですが、
これはついつい飲みたくなってしまいます…握りが近いので耐えましたが!
一番下から時計回りに、タイラギ、ラ・フランスの白和え、塩海胆、摘果メロンの漬物(中心は茗荷)、甘海老昆布〆、牡蠣、中心は真鱈の白子。
牡蠣は天草産で、出汁を浸透させており、塩梅が良い。
一粒の実山椒が味を引き締める。
タイラギはかなり濃いめの味付けで、火もしっかりと入れており酒肴仕様。
面白かったのが、ラ・フランスの白和え。
更に、塩海胆と共に頂くと魅力が倍増。
超濃厚な塩海胆の風味とラ・フランス、豆腐の甘みが相乗効果をもたらす。
さらに、ラ・フランスの酸味が、塩海胆のコクをサラッと流す。
炊き合わせ
鮨店ならではの素材を組み合わせた炊き合わせ。
鯛の酒蒸し、〆たニシン、海老芋。
真鯛の旨味と海老芋の強い甘みを〆ニシンの酸味が引き締める。
ベースの旨味もしっかりしているが、鮨店の仕事の結晶とも言える一品。
この後、握りに移行します。
アオリイカ
非常にねっとりした食感の奥に、ほのかにゴワッとした食感があり、良い。
鮨に関して言うと、単にとろけるだけのイカはよろしくない。
針魚
〆加減が強めなので、身の薄さが少々気になる。
こちらの〆加減であればもう少し厚めの切り付けでも美味いだろう。
ツムブリ
関東では知名度が非常に低いが、暖かい海に生息する魚。
漢字ではでは「紡錘鰤」と表記する。
魚味としては、先ず爽やかな香りが漂い、ねっとりした身から強い甘みが滲み出て、軽やかな酸味を漂わせる。
カマス
優美な甘みが広がり、余韻も強い。
それを、軽く炙ってるのが味を引き締めていて良い。
鰆
かなりの旨味に驚いて聞いたところ、2週間熟成しているそう。
熟成仕事を嫌味無く混ぜているのは面白いストーリー性。
鰹
強い甘みに軽やか酸味…
旨味に加えて「血の荒々しさ」が協奏する鰹。
鮪頭肉(脳天)の燻製漬け
食感は超トロトロで、旨味が凝縮されている。
故に、燻製にした後に漬けると言う仕事でも、味覚的バランスが良い。
地方で鮪を出すには…と考えて編み出された、東京へのアンチテーゼとも感じさせる完成度の高い仕事。
車海老
茹で上げで、肉厚。
やや強めの火入れではあるが、美味(茹ではお弟子さんによる)。
そして、噛まされたオボロが絶妙な量。
個人的には甘いタネに甘いオボロは良い相乗効果を生まないと考えているが、使用量やシャリの味わいとのバランスが良いと、海老を引き立てる。
鮑のリゾット
鮑はぷりぷりでありながら、歯切れが良好。
味わいは超濃厚で、チーズや黒胡椒を用いつつも腑に落ちる。
シャリの味わいに合っており、握りの構成が良いからだろう。
穴子
これは完全に江戸前の仕事。
トロッと柔らかく仕上げている。
煮ツメは薄過ぎず濃過ぎず、赤酢のシャリに合わせた味わい。
鉄火巻き
海苔のクオリティも良く美味。
玉子
ふわっふわで、甘み控えめ。
ほのかな海老の風味に表面のかすかな苦味が加わり、良きバランス。
熊本で随一の鮨店である事は間違い無いでしょう!
店名:鮨 仙八(すしせんぱち)
シャリの特徴:赤酢を用い、酢が立ち、塩気も強め、塩気は程々。米粒のほどけ加減が抜群。
予算の目安:12,000円~ →16,000円〜
最寄駅:花畑町駅から170m
TEL:096-322-9955
住所:熊本県熊本市中央区花畑町13-23 花畑ビルB1F
営業時間:17:00~24:00
定休日:日曜、祝日
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