すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ日本料理編 No. 130 ひみつくじら@根津

※現在、店名は「食滋楽(くじら)」となっています(その前は薫滋囉(くぢら))

こちらは巷では今のところ「知る人ぞ知る」お店ですが、下手な予約困難店をも凌ぐ魅力を持つお店です。

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全国区で戦える、こちらの最大の武器はクジラ。

クジラ料理は大阪のどおぞのさんや、長崎で頂いた事があり、どちらかと言うと西日本の方が強い食材だと思います。

しかし、東京でここまでのクオリティのクジラ料理を頂けるとは、ツユにも思っておりませんでした。

 

まず第一に、クジラで大切な点は鮮度であり、それは仕入と同義であり、更に言うと生産者や仲卸との関係性に等しい。

ご存知の通り捕鯨問題によって流通経路が極端に限られている食材ですので、もともとの産地でも頂きにくいのが実情です。

そのような中、こちらは独自のルートを持ち、産地や他県で頂けないクオリティのクジラを入れておられます。

今回頂いたクジラは下記の5種。

・ツチクジラ(小型鯨類)

・ザトウクジラ

・スジイルカ(小型鯨類)

・ハナゴンドウクジラ(小型鯨類)

・ミンククジラ(コイワシクジラ)

 

食材を愛する方であれば、このラインナップを見ただけで、期待と好奇心がググっと高まる事でしょう。

クジラに加えて野菜の味わいも奥深い。

そして、素材の力のみならず、こちらは調理技術も高く、お造りから創作的な料理まで豊富な引出しを持っておられます。

雰囲気はカジュアルですが、「鯨割烹」と形容するに相応しいお店です。

出汁や調味料も選りすぐりのものを使用されており、ハッキリ言ってやり過ぎのレヴェル(笑)

もちろんお客として嬉しい「やり過ぎ」ですが、細部へのこだわりに気付くお客はどれくらいいるのでしょうか…

 

更に、こちらはクジラのみならず日本酒の品揃えも変態的。

今回はクジラに合わせてペアリングをお願いしましたが、クジラの魅力を高める素晴らしい内容でした。

ご主人曰く、ペアリングとは、オーケストラではなくジャズ。

合わせる事が前提ではなく、個性と個性がぶつかる事で更なる魅力を帯びる。

チョイスされる酒蔵は地元の米を使用している事を重視され、ツチクジラが揚がる千葉のお酒も多数使用されております。

 

今回頂いた日本酒

丹沢山・山廃純米2011、郷乃譽・生酛純米大吟醸、無窮天穏・山陰吟醸、上望陀・特別純米、七本槍無有・無農薬純米、岩の井総の舞・山廃純吟、総の舞腰古井・純吟、上望陀・特別純米(米違い)、小笹屋竹鶴・生酛純米大吟醸、悦凱陣・讃州山田錦純米吟醸、山桜桃・純米大吟醸

 

通常訪問した場合は、アラカルトとなりますが、今回の記事を見て気になった方は、人数や予算を含めてご相談されてください。

大体1万円~1.5万円で満足度の高い内容になるかと思います。

僕自身、ツチクジラがピークを迎える夏に再訪したいと思います。

 

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玉村本店・志賀高原苦い人生(IPA)

円やかさと広がりのある苦み。

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季節の前菜

南房総の契約農家が育てた無農薬セロリ、黒胡麻のソース。

南房総産手作り豆腐の厚揚げ。

三浦半島・長井港の定置網にかかったと言うザトウクジラ!

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12月25日から1ヶ月半熟成したものを、いすみのチーズ工房IKAGAWAのジャージー牛モツァレラチーズと丹沢山の酒粕で和えている。

ザトウクジラの肉質は滑らかで、意外にもサッパリした味。

そこにチーズの柔らかな酸味と酒粕の風味ならびにコクが補強する。

セロリは甘みが非常に強く、胡麻のソースが食欲を刺激。

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ザトウクジラの鹿の子の生ハム

九十九里浜の手作り揚げ浜式の塩、セロリの葉にはIKAGAWAのムチュリ(スイスの伝統的なチーズ)と。

生ハムは生感が強く、しっかりとした食感でもぎゅっもぎゅ。

噛み締める喜びがある。

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お造り1

反時計回りに、和歌山のスジイルカ、ツチクジラの背中肉、レタスの上は和歌山のハナゴンドウクジラ。

色が淡いものから食べた方が良いのは、クジラでも同様だろうか…

ハナゴンドウクジラから頂いた。

これはホロッとした繊維質で、鉄分の風味が上品に香り、サッパリ。

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ツチクジラは舌にまとわりつく素晴らしい繊維質で、上質な牛ハラミのよう。

酸味やクセはほとんど無い。

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スジイルカもまた、クセは無く酸味が軽かに漂う。

それでいて奥から主張する脂の旨味が印象的。

押しなべて、唸る程に旨いクジラの刺身である。

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付け合わせの鹿北製油の黒胡麻油も美味。

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お造り2

ザトウクジラ。

無凍結で、部位は背中と鹿の子。

文旦を添えて。

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旨味の後に酸味を感じ、噛み締める毎にて旨味がグイグイと広がる。

赤身なのに強い旨味。

鮪の赤身を牛肉に近づけたような印象を受ける。

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鹿の子は背中の肉よりも当然脂が強く、舌の熱で溶かしつつゆったりと頂けば、口に甘みが満ちてゆく。

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野菜の炭火グリル

勝浦の鰹節と下総醤油を用い、鰹を利かせた自家製ポン酢で。

野菜はブロッコリーに蕪、菜の花。

菜の花はとにかく甘く、ほろ苦さが気持ち良い。

ポン酢は極めて上品な使用量で、このあたりでもセンスを実感する。

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ツチクジラの竜田揚げ、ふろふき牛蒡のゴンドウクジラ巻き

竜田揚げは、相変わらず最高クラスの味わい。

衣はサックサクで、クジラは味わい深い。

ふろふき牛蒡はカリッじゅわっ!

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ツチクジラ尾鰭(おばけ)の酢の物

おばけ(尾羽毛)に富津産青混ぜ海苔とモッツァレラチーズを合わせている。

海苔の香りが各素材を繋ぎ、モッツァレラと酢が相乗効果を発揮。

おばけは超上質なクラゲのような繊細質と歯に反発する食感を持つ。

シャクシャクシャクッ!

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鯨ベーコン

こちらのベーコンは、笑っちゃうくらい美味しい。

提供温度帯もバッチリ。

そして、しっかり目の燻蒸香も魅力。

もう片方はねっちりとした食感で、クジラの香りが強い。

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遂に、メインの鍋であるクジラしゃぶしゃぶのスタート!

七輪の炭火でやるところが素晴らしい!

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タレは村田さんの練り胡麻を使ったもの。

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ネギも房総産。甘く香り良いが、キリッとした辛味もある。

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鍋をセッティング。

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これは圧巻。

上質な素材であるからこそ活きる料理、それが鍋。

最初は鰹節がやや強めだと感じたが、最後はクジラの旨味や脂と調和!

クジラの鉄分すら、出汁になるようである。

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最初の肉はザトウクジラの背中肉と鹿の子。

しゃくっ!とした最初のほどけ加減が牛肉には無い食感。

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小笹屋竹鶴の熱燗とともに!至福。

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続いての肉はゴンドウクジラとスジイルカ。

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イルカは香りがやや立ち、この流れは非常に通好み。

野趣の後に甘みがぐわっと広がる。

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そして、野菜のしゃぶしゃぶも実に美味しく、特にレタスが甘い!

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卵もまた抜かりなく、極めて濃密。

稲葉ナチュラルファームの卵との事。

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千倉産ミンククジラの背中の皮の味噌漬け、ツチクジラのモツ

味噌漬けは味噌の発酵感が活きており、脂はとろっとろ。

ツチクジラのモツはニンニクとたまり醤油に漬けて、寝かせてから卵黄と和えている。

 

雑炊

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餅入で。

この餅が非常に甘く、米と合う。

炭火で炙っているところもミソ。

別の甘み同士が合わさり、ダブル炭水化物ながら感慨無量。

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お茶

お茶まで自家ブレンドで、実に変態的。

ビワの葉、六畳麦、ドクダミをブレンドされているそう。

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ひらが有精卵のアイスクリーム

オーボン・ヴュータン河田勝彦シェフのレシピを参考にしているそう。

ミルク、生クリーム、卵に加えて、使用する砂糖は種子島の手作り砂糖。

更に、館山・磯部源治のニホンミツバチの蜂蜜を掛け、宮崎産ワイルドミントを散りばめている。

ポンカンは和歌山産で樹上熟成したもの。

アイスクリームは超濃厚であるが、ベタッとしておらず、美味。

蜂蜜は実に良い香り。

ポンカンの軽い苦味がアクセントとなり、引き締める。

ポンカンはお酒と砂糖で炊いてる模様。

 

圧巻です。

 

店名:ひみつくじら →食滋楽(くじら)

食べるべき逸品:上質なクジラを駆使した特別コース!

予算の目安:要相談

最寄駅:根津駅から550m、東大前駅から900m

TEL:03-5834-7157

住所:東京都文京区根津1-27-7 フジホーマンション1F

営業時間:18:00~21:00(ディナータイム)、21:00~23:00(バルタイム)

定休日:日曜、第1・第3月曜