すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

全力で鮨の魅力を伝えるブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。Since 2015

すしログ No. 12  すし通@六本木

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こちらは確固たる個性を持ち、鮨の新たな地平を開拓されている職人さんのお店です。

※その後、親方は2017年4月に鮓ふじながを独立オープンされました(会員制)。

聞くところによると「東京で一番高い鮨店」を目指しているそうです。

 

「顕微鏡を覗いて繊維を取り除き、12日間熟成させ、包丁を50回入れる鮪」などは、

もはや「鮨界の分子ガストロノミー」と言えるかと思います。

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一見すると、過剰な仕事のよう…

当初は僕もそのように感じましたが、伺ってみてイメージが一新しました。

理由は、圧倒的な美味しさと、「握りとしての調和」があるためです。

決して、奇をてらった「創作鮨」などではありません。

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こちらの握りは、一貫一貫にストーリーがあり、頂いていて心から楽しい。

私見といたしましては、古い江戸前の仕事を押さえた上で、希有なセンスに基づいて現代風にアレンジしている握りのように感じます。

地に足の着いた開拓者。

ご主人の藤永大介氏はお話を伺うとコミカルな口調ながらに、確固たる哲学を持った職人さんだとしみじみ思います。

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シャリは赤酢の極極硬めで、エッジの利いたもの。

それでいてタネとの調和が素晴らしい。

逆を返すと、アグレッシブなシャリと競演できる仕事がある、とも言えます。

 

僕はお昼にお伺いして感銘を覚えたため、夜に再訪しました。

お昼は貫数とタネのクオリティが異なる二つのコースを用意。

夜はお昼とは異なり、酒肴と握りが交互に繰り出されるスタイル。

お値段的にはお昼はリーズナブルで、夜は超高級。

好みが分かれるところですが、僕は酒肴と握りが交互に出されるスタイルに、

どうも馴染めないため昼の方が好きです。

 

余談となりますが、酒肴と握りが交互に出てくるスタイルは握りに集中出来ず、お酒を進めるための装置のように思えてしまいます。

こちらのお店は違いますが、お酒に合わせて仕事も華美になってしまう…

「鮨屋は握り」と考えている者にとっては、握りだけでストーリーを展開して頂いた方が楽しめます。

まして、こちらの握りは、握りだけでも唯一の物語を紡ぐ事が出来るものなので。夜であっても、握りに専念したい!と言うのが僕の率直な願望です。

 

あるお昼の握り

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鮪中トロ

繊維を全て取り除き、12日間熟成させ、50回包丁を入れたという鮪。

絶妙にとろける食感に、誰しも魅了される事でしょう。

 

縞鯵 前掲

鯖 前掲 

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甘海老

特有の強い甘みとシャリの赤酢が素晴しく調和。

僅かに湯霜に掛けており、甘みと食感が強調されています。 

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鮪赤身

甘み、鉄分、香り、食感の全てが合致する赤身の漬け。 

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喉黒(アカムツ)

肉厚ながらに焼き加減と塩加減が良く、喉黒の勢いを痛快に楽しめます。

昆布で〆た後に炙るという個性的な仕事。 

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 汐っ子(ショッコ)

小ぶりな魚体の勘八の俗称です。

ぷりぷりと肉感的な食感と、熟成によって引き出された旨味。 

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白海老

甘海老とは異なる甘みを持つ。

もしかすると、北陸の鮨店で頂くものよりも旨いかもしれません。 

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ずわい蟹

シャリが見えない握り。

これだけ見ると鮨好きは敬遠してしまうかもしれませんが、

一連の握りで技術を見せつけられた後だと、

口腔を満たす蟹の巨大な存在感に感動するほかありません。 

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海胆

非常に鮮度の高い海胆を贅沢に二色使い。

シャリに乗せられたそばから身を崩す海胆は鮮度の証。 

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梅肉手巻き


ある夜の握りです。

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鮪中トロ

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ボタン海老

三日間熟成したボタン海老。

未体験の蕩け具合。それでいて、大ぶりなので海老らしい食感も楽しめます。 

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皮剝

昆布〆、肝醤油乗せ。絶品。

食感のギャップが素晴らしく、重層的に織りなす旨味は見事の一言です。 

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喉黒(アカムツ)

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熟成によって、優雅な変化を遂げております。

鰤の脂を嫌味なく満喫出来る仕事。 

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漬け加減が良く、蕩けるような食感です。

旨味の余韻が非常に長い。 

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墨烏賊

食感は、とろりとしながら弾ける。

タネの底面に隠し包丁を入れており、計算された包丁によって個性的な食感を生み出しています。 

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ずわい蟹

店主のお茶目付き。

友人に左が提供され、自身に右が。

ネタでされているのかと思いきや、修正版サイズが出てこず、結構驚いた。

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鮪赤身

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イクラ軍艦 

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金目鯛

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海胆

お昼よりも増量。

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穴子


【酒肴】

・ずわい蟹と酢味噌

・鰆の昆布〆

・キンキの焼き物、西京味噌

・白子ポン酢

・甘鯛の焼き物、バター醤油

・ツブ貝

・スルメイカ

・鯖の梅紫蘇揚げ


お昼の完成度が高すぎるため、お昼と夜を比較すると、どうしても割高感を抱いてしまいます。
夜は握り13貫、酒肴8品、ビール1杯、日本酒1合で、約26,000円。

タネの違いは分かるのですが、それでも…。

唯一無二のセンスを持つ職人さんなので、定期的に訪問することは必至ですけど。

 

と言うわけで、初訪問の方には間違いなくお昼をオススメします。

ただ、それでも高い方のコースの方が確実に面白いかと思います。

 

店名:すし通

シャリの特長:極硬めで、味付けも尖っている。こちらの仕事にしか調和しないアグレッシヴなシャリ。

予算の目安:【昼】4,000円~6,000円、【夜】20,000円~30,000円

最寄り駅: 六本木駅から507m

TEL:03-3404-2622

住所: 東京都港区西麻布3-1-15 RFビルB1F

営業時間:平日11:30~13:30、18:00~24:00、土曜11:30~13:30、18:00~23:00 

定休日:日曜、祝日