すしログ No. 131 日本橋蠣殻町すぎた@水天宮前

都内の鮨店の中でも、特に予約難度の高いお店として知られる、こちら。

2015年10月末に現在の住所に移転するまでは、屋号は「日本橋橘町 都寿司」でした。

この度の移転先は、奥様のご実家のステーキ店跡地。

すぐ近くに先代の修業先である「都寿司」があるため、移転後は屋号を変えられたとの事です。

移転に際しては「都寿司」の親方自ら勧められたそうですが、とても広い度量の方だと感じます。

 

「橘町 都寿司」時代には、僕も何度か予約を試みましたが、全く歯が立たず。

移転後は更にハードルが高くなったと聞いて半ば諦めておりました。

しかし、この度ありがたいお誘いを頂き、念願の訪問が叶った次第です。

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ただ、実は、訪問前は期待よりも不安の方が大きかったというのが率直なところ。

こちらのお店が云々と言うよりも、予約難度の高い鮨店には、一部のお客さんが「予約権」欲しさに固執しているケースや、握り主体の鮨店とは裏腹な「飲み寿司屋」と化しているケースが多いためです。

両方のケースとも人の好みではないかと思われるかもしれませんが、然にあらず。

悲しきかな、それによってご主人に妥協や慢心が芽生え握りの精度が落ちてしまう事はザラです。

しかし、すぎたさんは、訪問してみて期待を大きく超える満足度となりました。

お任せの金額を昔の12,000円から、15,000円、17,000円と上げてきておられるようで

すが、

タネのクオリティやご自身の仕事を踏まえ、自信に裏打ちされた価格改定かと感じます。

酒肴7品、握り14貫、日本酒1合を頂いて22,000円と言う価格は、内容的に高過ぎるとは感じませんでした(執筆時点の情報となります)。

 

シャリは米酢に赤酢を穏やかに使い、硬め。

赤酢のクセはありませんが、酸味を立たせており、塩気もやや強めなので、男らしいシャリです。

温度は程良く、タネに合う。

左手の親指の使い方に特徴があり、船底を大きくつけられるため、

シャリはググッと沈みます。

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金目鯛の茶碗蒸し

寒い日なので…と一品目に茶碗蒸し

とろりと柔らかに仕上げており、金目鯛はゴロッと登場。

握りのタネも大きめで有名ですが、茶碗蒸しの方も同様とは。

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帆立

北海道・野付。非常に肉厚ですが決して大味ではなく、香りと豊かな甘みに舌鼓。

塩で軽く〆ているようで仕事の妙を実感しました。 

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カワハギ

千葉。肝醤油の旨味は勿論だが、身自体にしっかりした旨味が宿っている。

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蛸の桜煮

恐ろしく柔らかで驚嘆を覚えました。

それでいて柔らかさの中に香りの腰が内在。

印象深い逸品。

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鯖の海苔巻き

定番の酒肴との事だが、確かに旨い。

薬味は大葉、浅葱、ガリを使用しており、どれかが主張し過ぎていない。

鯖は酢を利かせしっかり〆ており、濃厚な脂が凝縮されている。

その脂をガリの酸味と海苔の風味が抱擁する。鯖は銚子のものだった。

 

なお、こちらのガリはソリッドな味わい。

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酸味がかなり強めで、食感もハードなため、キレがある。

雄々しく美味いガリだが、追加して頂いた際に食感の違いがあった点は気になる。

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牡蠣の味噌漬け

かなりしっかり目の味付け。

正しく酒肴と言った感。 

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マナガツオの西京焼き

こちらもしっかり目の味付け。

火入れも強いので、好みを分けるかもしれない。

 

この後に握りに移行します。

なお、「もう少しつまみますか、握りますか」と聞いて頂けたので、お任せでも安心です。

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小鰭

熊本・天草。一貫目が小鰭とは嬉しい。

しっとり柔らかな〆加減で、香りが上品。

そして、独特の甘みが漂い、印象的な小鰭だった。 

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真鯛

兵庫・淡路。昆布で〆ており、香り、旨味の塩梅が良い。 

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千葉・飯岡。飯岡の鰆は初めて頂いた。

ねっとりとした甘みに穏やかな藁の香りが混じり、印象深い。

燻香の加減が良い。

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墨烏賊

神奈川・小柴。包丁は短いスパンで多く、深く入れている。

サクサクした食感ではなく、ねっとりした食感のもので、これは好みから外れる。

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鮪赤身
鮪中トロ

青森・大間。ともに本鮪らしい甘み、酸味のバランスが良く上々!

赤身の方は円やかな甘みで、中トロは更にふくよかな甘み。

 

尚、お茶の差し替えのタイミングは非常にナイス。

鮪のタイミングで差し替えられたし、随所随所で困る事が無かった。

周囲は飲んでいる人が多かったので逆に好印象を抱く。 

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兵庫・淡路。香りは上質で、甘みもたっぷり。

鯵の旨さは余韻で分かるが、非常に良好。

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赤貝

産地は聞かなかったが粒子が細かく上物であった。

礒の香りの後に甘みが充満し、食感はしっかりだがシャクシャクとほどける。

こちらのみタネに対してシャリの量がやや多かった。

モノの味わいを考慮すると少なめにした方が貝として映える印象。

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海老

茹で上げで素晴らしい火入れ。

芳醇な甘みが口腔を支配する。

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海胆

青森。明礬の収斂味がやや気になる。

 

お任せの握りは12貫との事なので、金目鯛と煮蛤を追加しました。

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金目鯛

友達のアドバイスに従って頼んだところ、大正解。

煮キリを弾く程の脂で、皮をパリッと炙っており、食感と風味の妙が素晴らしい。

今まで頂いた金目鯛の握りの中でも間違いなくトップレヴェル。

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煮蛤

しっかりと漬け込んでおり蛤自体が濃厚な味付けなので、

煮ツメは比較的濃いめながらにさっぱりと感じる。

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穴子

ふわふわと柔らかく仕上げており、煮ツメとのバランスは良好。

やや骨が気になる。

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玉子

海老の香りが非常に強く、山芋を使いしっとり仕上げている。 

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大きな蜆の味噌汁で、出汁の如く蜆の風味が滲み出ている。

 

日本酒は羽根屋、勝駒と富山の銘酒を半合ずつ頂きました。

トータルで考えて、質、量ともに食べ応えのある内容。

街場の鮨店から高級店へ、そして高級店の中でも独自の握りへと、進化を遂げておられる足跡を感じる握りでした。

確かに、多くの人の心をつかむ理由に納得。

 

そこで、他の季節の握りも食べてみたいと感じ予約をしようとしましたが、現在は前からの常連さんの予約であっても全てを受け付けていない状況との事。

ご主人いわく、予約が過密過ぎる状況も如何かと思い、数日前に電話して入れるようにしていきたいとの事でした。

鮨店らしく、と。

正に同感で、鮨業界の一部のお店への人気集中には辟易しておりますので、是非ともご主人のご希望が成就される事を願っております。

その上で、再訪する日がくれば幸いです。

 

なお、お会計は前述の酒肴7品、握り14貫、日本酒1合で22,000円弱でしたので、追加一貫あたりの目安は1,500円くらいかと思います。

単品で考えると銀座並の価格なので注意が必要かもしれません。

 

店名:日本橋蠣殻町すぎた

シャリの特徴:赤酢を穏やかに使い硬め。塩気もやや強めなので、男らしいシャリ。

予算の目安:18,000円~25,000円

最寄駅:水天宮前駅から100m

TEL:03-3669-3855

住所:東京都中央区日本橋蠣殻町1-33-6 ビューハイツ日本橋B1F

営業時間:火~金17:30~、20:30~、土・祝17:00~、20:00~、日11:30~、13:30~、18:00~

※回転制となっております

定休日:月曜

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