すしログ日本料理編 No. 84 ろあん松田@篠山(兵庫県)

こんにちは、鮨ブロガーであり蕎麦好きな、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

こちらは、かねてよりお伺いしたかった蕎麦懐石のお店です。

離れた場所にあり、お昼は3組限定の2部制と、少々ハードルが高いため、今回気合を入れて車を走らせました。

お店は篠山市内から数キロ離れた集落の一番奥に位置しており、周囲の雰囲気は非常に素晴らしいです。

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奥まった集落と言ってもうらぶれた雰囲気は全く無く、清々しさの漂う村でした。

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お店も外観からして雰囲気が良いです。

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店内に入ると、室内でも木々の香りを感じます。

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そして、入梅の水気を軽く含んだ風が穏やかに通り抜け、ウグイスを始めとした鳥たちの声と水の音が響きます。

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少々悲しい事ですが、都会に住む人間にとっては静寂も贅沢となる事を実感します。

こちらの御料理を頂いた感想としては、御料理の完成度は高く、特に野菜に妙を感じました。

 

そして、蕎麦についても複数種類の蕎麦をたっぷりと楽しむ事が出来、蕎麦をコースで頂く魅力を感じさせてくれます。

ご主人は「まだまだ」と謙遜されておりましたが、恐らく昔からツユなどを変えておられると思われ、創意工夫を実感させる味わいでした。

まだお若い方なので、将来が非常に楽しみです。

 

まずは黒豆茶で一息。

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自家製山椒オイルを用いたサラダ

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乾燥エノキの下は、マーシュマロウ。

古代ギリシアより珍重され、喉に効くとされているハーブです。

出汁で炊いているようで、エグミなどはありません。

他の野菜も面白く、左はセルバチコですが、右はモジャキララ。

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吉良さんと言う方のオリジナル野菜との事です(笑)

マスタードリーフ、日本タンポポの葉、北海道の友人のアスパラガスなども。

山椒オイルは香り、痺れ共に上品で、あしらいの蕎麦の実がアクセントになっている。

 

八寸

ろあん八寸

器は柴田慶信氏の大館曲げわっぱ。

1週間熟成させた鹿の背ロース、あしらいはスイートアリサムとヤロウ、マスタードレッド(下)。

ステビア、赤タマネギの甘酢漬け、スナップエンドウ、ハートシーズ、秋田のご親戚のネマガリダケ、ズッキーニ、秋田のじゅんさい、ナスタチウム。

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鹿は山椒と共に炊かれており、肉質は柔らかく、繊細な味付けにハーブの香りが良い。

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じゅんさいのクオリティは標準的だが、蕎麦ツユと醤油に加えてレモンを混ぜた味付けが良い。

タマネギの甘酢漬けもベッタリした味付けではなく、脱水加減も良くシャキシャキした食感。

サラダ、八寸共に食欲の高め方が穏やかで好印象でした。

 

もり蕎麦

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蕎麦は香りが良く、甘みも中々あり、水が美味しい事を実感させる。

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ツユは醤油をかなり強めに利かせ、出汁は穏やか。

たまり醤油の如きコクと、柔らかな甘みが根底を支える美味しいツユ。

友人が昔訪問した時はツユが弱かったそうだが、代替わりされて工夫されたと見る。

 

蕗の炊いたもの

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ご友人の有機栽培の梅干しのみで炊いた蕗とのこと。

梅は非常に立派で、ふくよか。

香りと塩気がしっかりと出ており、同時に蕗の風味を壊さない。

これは良いなぁ。

 

粗挽き蕎麦

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別料金1,200円で鴨汁を付けられると聞き、勿論オーダー。

蕎麦は甘みが非常に強く、見た目ほどゴワついておらず、滑らかで丸みのある口当たり。

咀嚼すると香りがグイグイと高まる点も印象深い。

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鴨汁には鴨の丸も2つ入っており、蓮根を混ぜ、完成度が高い。

出汁、醤油共に強めに利かせ、鴨の旨味が滲んだつけ汁が格別の一言。

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自家製の柚子胡椒は青唐辛子の辛みと柚子の苦味がストレートに感じられ、つけ汁との相性が抜群である。

折角訪問するならば、是非とも鴨汁は付けて頂きたい。

 

蕎麦寿司

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蕎麦はエッジを立て、硬めの仕上げ。

よって、リズミカルな食感が生まれ、寿司で頂く意味がある。

甘みと酢の塩梅も良く、穴子の風味が繋ぎになっている。

 

極細挽きぐるみ

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辛味大根、薯蕷、桜海老のかき揚げ(1,200円)を選べるので、辛味大根をチョイス。

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蕎麦自体も実に爽やかだったが、辛味大根が印象的。

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非常に辛い!

鼻に抜ける辛さで、久々に美味しい辛味大根を頂いた。

篠山産との事(もちろん時期によって収穫が限られるので注意!)。

 

蕎麦湯のアテ

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「蕎麦湯のアテ」とは面白い発想!!

辛味大根の実、自家製いぶりがっこ、梅干し、花山椒。

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蕎麦湯はナチュラルな範囲でとろみがついたもの。

 

水菓子

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よもぎ餅。蕎麦粉を黄粉風にあしらっている。

甘みが控えめで、柔らか、モチモチ。

蓬の香りも穏やかで、良い塩梅に大地の香りを楽しませてくれる。

 

お薄

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味わいのみならず、空間やもてなしにも大きな魅力がある、唯一無二のお店だと感じました。

いつか再訪したいと強く感じる名店です。

 

店名:ろあん松田(ろあんまつだ)

食べるべき逸品:印象的な野菜料理を組み合わせた、蕎麦の贅沢コース。

予算の目安:コースのみ、昼7,000円、夜9,000円

TEL:079-552-7755

住所:兵庫県篠山市丸山154

最寄駅:なし

営業時間:昼11:30~、14:30〜の2部制、夜は18時以降で要相談

定休日:火曜、水曜

※完全予約制となり、前日までに要予約です

 

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